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jun( ̄▽ ̄)ノ

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ベージュって色のブラからお願いされて2

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 「やっとついた……」

 お目当てのランジェリーショップに到着し由美はホッとする。

「もう着いたのか、もっと由美に引っ付いていたかったのになぁ」

 そんな事をとっても残念そうな口調で放つ真央は怖いとか思いながら、由美は女のまぶしさに満ち溢れた店内に入った。

「そう言えば由美、わたし前から思っている事があるんだけど」

「なに?」

「由美って巨乳な割には色っぽいブラをしないなぁと思って。それっておっぱいが可哀想じゃないかなぁって」

 真央に言われた由美、自分が密かに思っている事を他人に横から突かれ、思わずグラっとよろめきそうになってしまう。だから適当に流す。

「いや、別に……色っぽいブラなんていらない」

「えぇ、わたしが由美だったらブラのおしゃれに命かけるけどなぁ」

 となりを歩く真央の声を耳で拾うとき、ほんとうはブラのおしゃれをしたいんだよ! と心の中でつぶやく由美だった。

「来た、ブラ売り場。由美サイズのCカップがいっぱい」
 
 真央はずらっと並ぶフルカップを見ながら、Aカップの自分から見ればCカップはかなりデカく見えるなどとよくしゃべる。

「Cがデカいとか言っていたらさぁ、あっちはどうなる?」

 由美はちょっと離れた所にあるFからJまでってコーナーを指さす。真央がどんなモノか見たいって顔をしたから、見てきたらいいじゃんかと煽る。

「FからJとかめっちゃデカいんだろうね。でも将来の由美がおっぱいを包むのに必要なサイズなんだろうね」

「イチイチわたしのこと言わなくていいから、早くあっちいって好きなだけ眺めてきたらいいじゃんか」

 こうしてよくしゃべってうるさい真央を追い払い静かな中でブラを見つめる由美だった。と、その時だ、突然にスーッと脳の中に声が響いた。それは外の音色を耳が拾い体内に入ってきたというより、いきなり脳内直通というめずらしい感を持った響き。

「え……」

 誰かいる? と近くを見渡そうとしたが体が動かない。そしてちょっと緊張して胸のふくらみにドキドキが沸いてきたら、由美の前にあるフルカップの並びから……ベージュ色のフルカップというモノからクゥーっと人の顔が出て来た。

(あぅ!)

 由美は絶叫したくなったが不思議と叫び声を出すことができない。年齢25歳くらいだろうか? って、そんな風に見えるエレガントっぽい女性がスーッと腕を伸ばし、ドギマギしている由美の両肩をつかんで接近。ブラから出てきた! というその人は、由美を少し後退させてから真正面に立って
向き合ったのだった。

「ぶ、ブラから人が……」

 由美がなんとか小さな声を出すと、向き合う女性が自己紹介した。

「わたしはブラって下着に宿るモノ。名前はないのだけれど……でもいま思いついた。わたしはベージュ色のブラに宿るモノだから、瞑需米子(べいじゅべいこ)にする。これなら今どきのキラキラネームになるでしょう?」

 女性がにっこり笑って言うと、聞いていた由美は胸の内で思った。瞑需米子? そんなキラキラネームがあるか! むしろ超シワシワネームって感じの響きでしかないんだけれど? と。

「あなたの名前は?」

「ゆ、由美……」

「由美、あなた小学6年生くらいでしょう? それからするとかなり豊かなおっぱいを持っている、巨乳だよ、今のところは」

「中2なんですけれど……」

「あ、そうなの? なんか子どもっぽいから小学生かと……ま、まぁいいわ、由美の乳が豊かな事に変りはないから」

「そ、それで何の用……なんですか?」

「由美、ブラを買うんでしょう? だからこのコーナーに立っているんでしょう?」

「そうだけれど……それが何か?」

「ベージュのブラを買って、お願い!」

「え……なんで……」

「なんでって……ベージュのブラは不思議なくらい売れないのよ。だからこのセールが終わって売れ残ったら、ベージュの名誉は失われてしまう。だからお願い、ひとつでいいからベージュのブラを買って!」

 瞑需米子の真剣にして切ないって目を見せつけられると、由美の胸のふくらみはキュウっと感じさせられてしまう。

「由美、どうしてベージュのブラを買わないの? なぜ!」

「な、なぜって……べ、ベージュなんてダサくてババアみたいな色って思うから」

「それはちがう、由美は大きなカン違いをしている。ベージュは女の色なの、わからない? 黄色は子どもの色、金は金持ちの色、そしてベージュは豊かな心の色なのよ」

 マジかよ、そんなの初めて聞いた……と由美は内心思ったが、瞑需米子はどんどん攻め込んでくる今日はブラを何枚買うの? と聞き、2枚の予定と由美が言えば、1枚くらいベージュにしてもいいんじゃないの? と、粘着な正論を突き付ける。

「い、いや……ブラは女の生命線だから好きだと色だけを買えばいいのだと思う」

 由美は女子力を用いて反論しようとした。すると瞑需米子から世界が狭いとか、それでは大人の女になれないと突き返してきた。

「由美、たった1回ベージュのブラをやっただけで女が上がると思う? ちゃうちゃう、何回もやっキモチを噛みしめてじっくり自分の中に落とし込んで女は磨かれる。由美が今からやれば女子高生とかいう頃には色っぽくなれるよ。でもそれをやらなかったら、由美って子どもっぽいまま大人になってしまうと思う」

 子どもっぽい、それは由美にとって言われたらイヤだ! と思う事のひとつだった。だからゆっくり引き寄せられるようにして、相手の言う事が正しいのかなと折れていく。

「由美はいまCカップだけれど、女子高生の頃には絶対今より豊満な巨乳になっていて、18歳ぐらいには最低でもFカップくらいに到達していると思う。それなのに……女を磨くって努力が不足していたら恥をかくと思うよ?」

 瞑需米子がそう言ってズイっと由美に近づいた。そしてドギマギしている中2女子のTシャツ、下
にプクッとやわらかい谷間があるって所に右手の平を当てた。

「ぅ……」

 谷間を軽く押され由美の顔面が桃色に赤面。

「由美、お願い……ベージュのブラを買って。女を引き立たせるはずの色なのに、女からダサい色とか言われるベージュのせつなさ……わかって、お願い!」

 由美の谷間を押す瞑需米子の目にツーっと涙が流れる。それを見たらもう拒めない。買う、買うよ! と明言。

「2枚買うつもりだったから、1枚はベージュにする、それでいいでしょう?」

 由美が言うと瞑需米子の顔にパーっと明るさが浮かぶ。それは女のために役立ちたいとしながら活躍できなかった色が太陽の光をめいっぱい反射するかのごとく。

「由美のおっぱい……わたしがちゃんとサポートするから」

 そう言った瞑需米子の姿がスーッと消えていきながら、棚に並んでいるベージュブラのひとつに吸い込まれるように流れていく。

「ん……」

 由美は思った。このベージュブラには瞑需米子とかいうモノが宿っている……そんなブラを着けるのはどうなんだろう……と少し悩む。だがまた瞑需米子が出てきてあれこれ言われたらうるさくてかなわないから、覚悟を決めてブラを手にして買い物カゴに入れた。

「由美」

 ここにタイミングよく真央が戻ってきた。Jカップのブラって信じられないほどデカいね! とか、由美も将来はあれくらいのブラをするようになるのかな? とかコーフンを隠さない。

「あれ?」

 真央は由美が持っているカゴを見て言わずにいられない。白はわかるけれど、もうひとつはベージュにするわけ? と。

「ま、まぁね……」

「見たい、由美のブラ姿、ベージュブラの由美を見たい。試着するんだよね? ほら、店員さんにお願いしよう」

「い、いや、試着はしなくていいかなって……」

「あ、由美って女子力が低い。女子力の低い巨乳ってダメダメじゃん! 女の命ともいえる胸のふくらみを気遣わないなんて、常にチェックして心配しなきゃいけない事をしないなんて、そんなの女としては失格!」

 真央は何がなんでも由美のブラ姿を見たいらしく、手首をにぎって離さない。普段はクールっぽいキャラだが、今ここではキャラ崩壊みたいなキャラになっている。

「わかったよ……試着するよ、見せるよ」

 なんで同じ女にブラ姿やおっぱいを見せねばならないのかなどと思いながら由美が試着室に入った。すると真央はカーテンに首を突っ込んで室内の女子をハァハァやりながら見つめる。

「由美、早く、早く脱いで」

「あぁ、もうわかったわかった……」

 おまえはおっぱい星人の男子かよ! なんて真央に対して思いながら由美は両腕をクロスさせTシャツをグッと捲り上げる。そうすると白いフルカップってふくらみがフルっと揺れ、プクッとやわらかい谷間が顔を出す。

「おぉ、由美のむっちり巨乳って悩め香しい! わたしが男子だったら絶対告白する!」

「おっぱいだけ目当てで告白するようなやつは願い下げだつーんだよ!」

 ったく……とあきれながら……露骨にガン見されながら由美はゆっくりとC80というサイズのブラを外す。

「おぉ、魅惑の由美パイ、いいモノ見れて幸せ! ついでにちょっとだけ乳揉みさせてって言ったらダメ?」

「させるかバカ!」

 左右のふくらみを出した由美、試着用のベージュブラを手に取る。そしてじっくりと女子力を煮出すようにして丁寧に身に着けバストを収納していく。

「ん……完了!」

 着け終えて自分の左手を谷間に当て真央を見る由美。

「うぉ! 由美がいつもと少しちがう感じに見える」
 
 真央は続けてこう言った。由美の中にある女というのがベージュブラによってジワっとにじみ出ている気がすると。

「由美が色っぽく見える」

「え、ほんとう?」

 色っぽいと言われて悪い気はしない。ムフ! っと顔を赤らめた由美、ちょっとキブンがノッたついでにフッと思いついた名言チックな事を言ったりした。

「真央、黄色は子どもの色、金色はお金持ちの色、そしてベージュは女心に寄り添う色なんだよ、だからいまのわたしは色っぽいんだよ」

 決まった! いまの名言チックなセリフは真央を感心させたはず、ほめたたえられるはずと、由美はチヤホヤされる瞬間を待つ。

「ぷっ! 由美が急にオバさんみたいな事を言ってウケる。それってベージュブラを着けたせいなのかな?」

 ケラケラっと笑う真央を見たとき、由美はググっと手をにぎりしめ、やっぱりベージュのブラを買うのは止めようかな! と思った。だがまた瞑需米子が出てきたらイヤだということで、仕方なくベージュブラを買うのだと自分に言い聞かせるのだった。
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