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バーチャルポスターの巨乳女子と結ばれたい3
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新しい朝がきた、いつも通り的な感じでモーニング到来である。しかし今朝の葵は一味も二味もちがった。目覚ましが鳴ってそれを止めるところかしてすでに元気。
「ん!」
がばっと勢いよくフトンから立ち上がると、すぐさま買ったばかりの美愛ポスターと向き合う。
「あ、おはよう葵くん、スパっと起きられるんだね。そういう男の子って好きだよ」
美愛がクスっとやわらかく笑って言ってくれる。その格好は白のパーカーにロングスカートって格好である。ほんとうはビキニ姿がいいのだけれど、そればっかり拝んでは美愛の魅力を一部分しか満喫しない事になってしまう。それは最愛の女子に対して失礼だと葵が紳士的に思ったせいだ。
「お、おはよう……」
朝起きると自分の部屋に自分好みの女子がいる。なんとすばらしい事だろう、もう本日の朝は歴史に刻んでもいいくらい特別だと葵は顔をデレデレさせっ放し。
「葵くん」
「な、なに?」
「おしゃべりもいいけれど、そろそろ着替えた方がよくない?」
「あ、そ、そうだね」
葵、キブンはまるで新婚さん! とかホクホク気分を味わう。そしてパジャマのボタンに手をかけたとき、見られるのは恥ずかしいなぁとドキドキを満喫。しかし調子に乗るとダメというのはあるらしい。
「な、なんならさぁ美愛」
「なに?」
「ぼくの着替えるところ見てもいいからさ、み、美愛のブラジャー姿とか見たいなぁって」
葵は美愛が「もう!」 とかかわいくやってくれるのを大いに期待した。この流れならそれしかないでしょう! と本気で思った。でもそう簡単にはいかない。
「あぁ、葵くん……サイテー」
「え?」
「いきなりブラ姿が見たいってどういうこと? なんで? 愛情育っていないのにどうして見せなきゃいけないの? 逆にいえば愛情も育てていないのに何でそんな事が言えるの?」
「ご、ご、ごめんなさい! つい調子に乗ってしまいました!」
「わかってくれたらいいんだけど」
「お、お願い、嫌いにならないで、嫌われたくないよ」
こんなに早くソッコーで嫌われたら悲惨だと葵は必死に頭を下げる。
「いいよ、わかってくれたなら」
「よかった……」
「葵くん、今日は何時に帰ってくるの?」
「えっと、今日は5時間授業で予定もないから……3時半までには帰ってくる」
「じゃぁ、待ってるから、早く帰ってきてね」
美愛がそう言ってやさしい恥じらい笑みを浮かべると、まるで最愛の妻に見送られる男の快感を味わうみたいな気がする葵だった。だからまたちょっと気が大きくなる。
「あ、あのさぁ……美愛」
「なに? どうしたの?」
「お母さんとかが部屋の掃除に入る可能性はあるから、だからぼくが帰ってくるまでは動けなくしておくけれど許して」
「わかった」
「じゃ、じゃぁ……あ、握手……」
おっぱい触りたいっていきなり言ったら破局するだろうけれど、握手ならいいんじゃない? って思わずにいられない葵が言った。
「いいよ」
美愛は心地よく応じてくれた。握手は求めてもいいんだなと、葵はホッとして手を合わせるが……それはなんとも言えない心地よさをもたらしてくれる。
(あぁ……)
あったかくてやわらかくてキモチいい……なんで美愛の手はこんなにやさしいのだろうと、一瞬頭の中が真っ白の空っぽになる葵だった。そして男子らしくついでに思ってしまった、もしおっぱいを触ったらどんなにキモチいいの? なんて事を。
「葵くん?」
「あ、いや、何でもないよ、うん、何でもないから」
アハハと笑ってごまかした。そして葵は生まれて初めて、今日も学校をがんばるか! なんて単純だけれど爽快ってキブンを胸に家を出ることができた。
(美愛……)
頭の中、ひたすらに美愛、美愛、美愛、美愛、美愛、美愛、美愛、美愛、美愛、美愛、美愛……となった。
(早く帰りたい……)
美愛が待ってくれている家に早く帰りたい、甘い時間をもっと楽しみたい、そう思ったら時間がとても長く感じた。まるで恋する人間から大事なモノを長く奪うイジワルがこの世を支配しているみたいだと言いたくなるほどに。
「よぉ、葵、今日はずーっとボーッとしてるな」
昼休みになったらグランドの隅っこに座ってポケーっとしている葵の横に友人がやってきた。
「あぁ……」
心なんてここにあらず……が丸出しな声で返事をする葵、その目はもう今という時間をまったく見ていない。
「あ、もしかして葵……」
「ん?」
「好きな女が出来たとか?」
「ちがうし……」
「ほんとうに? だったらさぁ、どういう女が好きなのか、たとえばああいう感じ……とかで言ってみろよ」
友人がたのしそうな顔で指さすグランドという領域には、あっちこっちに女子もいる。
「いや、別に……好みなんて……」
「なんだよイチイチつまらないな、たとえばああいう感じの彼女が実は欲しいんだよなぁとか言えよ」
「だって……」
葵、心を美愛に傾けている以上、いかなる女子を見ても心は岩のように固くつめたい。しかしとなりの友人があんまりにもしつこいから、だったら一度正直に言ってみるか? という気にさせられた。
「美愛……とかすごい好みだな」
「美愛? え、誰だよそれ、もしかして上の学年か?」
友人、大いに興味があるぜ! と大乗り。が、しかし愛野美愛というアニメキャラだと聞かされたらテンションがグッと下がってしまう。
「アニメキャラぁ?」
「愛は奪い取って燃やすモノって作品のヒロイン」
「ブッ! なんだよそのダサいタイトル……引くわ」
「いいだろう、大事なのは中身だしヒロインの魅力なんだから」
美愛を侮辱することは許さない! として、葵はポケットからスマホを取り出す。そして美愛がアニメで披露したさりげなく悩殺度が高い魅惑のビキニ姿って画像を友人に見せた。
「へぇ……」
友人のどっちらけ! って声を聞いた葵、かわいいと思わない? と突っ込むように聞く。
「いやまぁ、たしかにかわいいとは思うけど……それでこんな魅惑の巨乳でおれらと同じ中学生ってあざとい。健康にいいとか言って虫歯になるのが避けられない砂糖たっぷりな有害ジュースみたいなもんじゃん」
「ふん、ロマンスのないやつ」
葵は不愉快千万! と立ち上がってこの場を去ろうとする。すると後ろから友人に言われた。
「葵、ロマンスとか言っても、そういうの報われねぇから。想えば想うほど、のめり込めばのめり込むほど傷つくのはおまえだから、せいぜいがんばれよ」
背後から言われた葵、ギュウっと手をにぎり心の中でつぶやいた。自分に美愛がいる、あの幸せと思うキモチを知らない気の毒な男が何を偉そうに……と。
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