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バーチャルポスターの巨乳女子と結ばれたい1

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 バーチャルポスターの巨乳女子と結ばれたい1


「いやぁ、それでさぁ……」

 となりの友人は下校ロードを歩きながらよくしゃべる。しかもどの女子がどういう風に好みかって事を、まったく恥ずかし気もなくペラペラと清々しいクズ! みたいな勢いで語る。

「なぁ、葵よぉ……」

 ここで友人は左隣の葵にチラッと目をやり、おまえどんな女が好きなんだよ? と聞く。

「いやまぁ……別に……」

 葵は午後3時過ぎって青天の下でぶっ放してみたかった。要するに、ショートヘアーがよく似合っていて色白むっちりでふっくら豊かでやわらかそうって巨乳女子がすごい好み! と。

 しかし……葵の男子としてのたましいはまだ半熟であり、素直砲をぶっ放す事に恥じらいを覚えてしまう。だから、別に……などとつまらない返しに甘んじてしまうのだ。

「葵ってさぁ、中2になっても小学生みたいだよな」

「なんでだよ!」

「どういう女が好きとか聞かれたら恥ずかしくて答えられない、だからクールぶって別に……とか言うんだろう?」

「ぅ……く……」

「あ、図星! 葵はいまだに小学生♪」

 友人はケケケと笑ってから突如大マジメって顔になって、葵にアドバイスとかいうのを施し始める。

「葵さぁ、言っとくけど女なんて美化してもロクな事がねぇぞ。だからさ、おれはこういう女が好きだ! と言えないピュアな男ほど不幸になる。そして女って生き物はピュアな男を結局は恋愛の対象にはしないんだよ」

 友人は少しえらぶった感を浮かべたが、言われた葵は当たっているような気がして言い返せなかった。それは心臓に小太刀をブッ刺されたみたいな衝撃だった。

「葵、おまえも早く好みの女にアタックしろよ」

 まるで兄貴分みたいなフィーリングいっぱいに言った友人が別の方向に去っていく。

「ふぅ……やっと消えた」

 葵、急にグワーっと元気を出す。なぜならこれからが本番としてひとりで行きたい場所があったからだ。それはブックオンの近くにライバルみたいな感じで新規オープンした「百花繚乱ワールド」とかいう名前の店である。

 ブックオンとちがい、百花繚乱ワールドはオタク系アイテムが夢のごとく充実しており、特に萌え系は目がつぶれるほどのまぶしさを誇っている。

 さきほど葵と話をしていた友人、彼は百花繚乱ワールドみたいな店はサイテーと嫌っていた。二次元の女に萌えてどうするんだよ! というのが彼の言い分。よって葵はひとりになるのを待っていたのだ。

「なんかいいのがあったら買いたい」

 美女いっぱいな竜宮城みたいな店内に入ったら、たまたま店内を歩いていた女性店員に声をかけられた。

「あ、きみ、いらっしゃい」

 店員はよく来る葵とかいう少年の顔を覚えてしまっていた。なんせほぼ毎日のように訪れるのだから、それの顔を覚えられないってわけはない。

「あ、あぁどうも……」

 アハハと頭をかいてテレ笑いする葵、本来なら恥ずかしくて退散となるところが、なぜか今日はキモチが太くたくましい。だから勇気を出して大学生くらいのお姉さん店員に聞いた。

「なんかいい品とかあります?」

 するとお姉さん店員はフフっと怪しげな笑みを浮かべて、それがあるんだよぉとつぶやき、こっちこっちと手招きしながら葵を案内。

「これだよ少年」

 たどり着いてみれば縦160cmの巨大ポスターがあって、その真ん中に葵のハートをズキュンとさせる女子がひとりいる。

「こ、これって」

 葵、ポスターに密接したい! という高ぶりを抑え、お姉さんの前では冷静ぶってつぶやきを続ける。

「こ、これって愛野美愛……こんな等身大ポスターなんかあったんですか」

 葵がデレっとしたくなる対象こと愛野美愛、それはアニメ「愛は奪い取って燃やすモノ」のヒロインである。そして美愛は葵の好みにドストライク! な14歳だった。

 ショートレイヤー、色白むっちり、バスト94cmのFカップ(F80)そしてノリのよいキャラであり、ビキニ姿での豊かさや谷間の揺れは葵のハートを何回燃やしたかわからない。サービス回にいたってはフルカップブラという姿まで見せてくれた、まさに葵のために存在するみたいなエンジェル! なのである。

「で、でも……」

「ん? どうした少年」

「たしかに等身大っていうのをグッと来るし……なんかやけにリアルで前に出て来そうって感じもいいんだけれど……」

「これ、出てくるよ? そして動くし喋るよ? 」

「えぇ、マジでですか?」

 葵、一瞬顔がパーっと幸せモードになりかけたが、おほん! と冷静ぶって話を続ける。

「たしかに美愛はどんな格好でもかわいいし、おっぱいが大きくてやわらかそうって見えるからウルトラ級に魅力的だけれど、だけど白いパーカーにピンクのロングスカートってかっこうは、ちょっとつまらないかなぁって」

 葵の主張はもっともだった。どうせならビキニ姿を見せてよ! というピュアな男心からすれば、ポスターの美愛が等身大で生々しいリアルでも普段着とかいうのはつまらない。

「甘い、甘いぞ少年!」

 ここでお姉さん店員はDカップくらいはあるのかな? って胸のふくらみに組んだ両腕を当てた。葵はおっぱい星人なので、そのお姉さんは基本としてアウト・オブ・眼中だ。

「甘いって……なにがですか?」

「21世紀のクオリティーを甘くて見てはいけないって事だよ。このポスターはただの紙とはちがうんだ」

 お姉さん店員はそういうとポスターの裏に手を当て、ここにスイッチがあるとか言った。

「スイッチ?」

「色々あるんだけどさ、ノーマル状態の今がAボタン。で、アニメで見たあのビキニ、少年をドキドキさせた美愛のピンク色三角ビキニ、あの姿にさせるためにはBボタン、今からそれを押してみよう」

「お、押したらどうなるんですか?」

「ちゃんとビキニ姿になってくれるよ。いまは静止画モードにしているから動かないけれど、それも解除。ちゃんと動いてしゃべってくれるエクセレントモードに切り替え」

「え、えぇ……」

 葵、グーっと呼吸困難になりそうなほどドキドキした。ほんとうに? マジでポスター内の美愛が動いてビキニに着替えてくれるんですか? と、男のピュアが太陽レベルに熱く燃え盛って逝く。
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