短編集

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由美の脳内彼氏カード2

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「彼氏……彼氏がいないと乳がデカくても意味無しかぁ……」

 体育の着替え時に言われた事を学校帰りの由美はまだ引きずっていた。見た目はさっぱりまろやかな巨乳女子であるが、意外と粘着だったりするのが由美だ。

「しかもなぁ……性格のいいおっぱい星人は存在しないとか真央は言うんだよなぁ。だったら乳がデカいって悲惨な事なんじゃ……」

 ぶつぶつやりながら歩いていたら、向こうからやってきた大学生2人組のひとりが由美に聞こえるくらいの小声でつぶやいた。

「おい、あいつってけっこう乳があるんじゃね?」

 そう聞こえたとき、そうです、わたしCカップですけれど? と由美は心の声で返す。しかし男のもう一人がよろしくない事をつぶやいて会話が成される。

「ん……でもあれってCカップくらいじゃねぇの? そんなに言うほど巨乳でもないという気がするけれどなぁ。それにあれだ、なんかあいつ中身はガキっぽいって気がする。それに粘着質な性格という気もする。そういう巨乳って食えそうで食いにくいのが多いからイヤだな」

「えぇ、おまえってすごいな、よくそこまで見抜くな」

「だっておれ天才おっぱい星人だから」

 こんな会話を聞いた由美、ブレザーの上からふくらみ部分に手を当て小声でつぶやかざるを得なかった。

「おまえみたいなおっぱい星人なんか絶対にイヤだし大嫌いだし……」

 くっそ! どいつもこいつも! と由美は足で固いコンクリートをガシガシ踏みつけたいと思いつつ、それをガマンして歩き続けた。すると怒りに意識がとらわれすぎていたせいなのか、気がつくと普段はあまり歩かないコースに乗っていた。

「ねぇ、そこの女の子、CかDっておっぱいの持ち主」

 不意に女の声がした時、え、自分か? と思って由美が立ち止まる。そして声がした方に顔を向けると、そこには路上販売とかやっている……ちょっと怪しそうだけれど、同時にすごい美人ですごい爆乳さん! という女性がいた。栗色でやわらかそうなロングヘア、そしてホワイトのニット×パープルのタイトスカートという格好でメガネという、色気をまったり詰め込んだようなオーラがあり、その豊満なふくらみ具合は由美のCカップってボリュームを小魚レベルに突き落としてしまう。それで小さなイスに腰かけ路上販売なんて事をやっているのだから、あんまり近寄りたくない人って感じもムンムン。

「な、なんか用ですか?」

 ドキドキっとしながら、すごい爆乳……と思ったりしながら由美が返す。

「いやぁ、なんていうか……女子力に満ちたネガティブなオーラが巨乳ちゃんに浮かんでいるから、どうしたのかなぁと思って声をかけたんだ」

「わ、わかるんですか?」

「わかるよぉ、だって同じ女だしね。さらに言えば、巨乳ちゃんは昔のわたしに似ているからねぇ、放っておけないと思った」

「えぇ……」

「いや、わたしも中学のときはそんな感じの巨乳でさぁ、色々悩んだりしたもんだよ。後になったら全部くっだらねぇ! って話なんだけど」

「ん……」

 眼前のあやしい爆乳さんに似ているとか言われてチョー複雑な心境に陥る由美だったが、理解してもらえるという喜びが勝り女に近づき尋ねた。

「何を売っているんですか?」

「まぁ、色々だね。でもって巨乳ちゃんにはこれなんかどうかなぁ」

 女は色白うつくしいという手でカードケースを差し出した。受け取った由美が見ると、中にはカードが数枚入っていて、一番上にはイケメンよろしく! な男子の顔がある。

「カード?」

「そ、脳内彼氏カードだね。他人には見えなくても巨乳ちゃんとは通じ合えて触れあえて、その気になれば心身共々愛し合う事だってできるよぉ。って、その顔は信じていないね?」

「ま、まぁ……」

「よし、こうしよう。そのカード5枚セットだけどさぁ、ほんとうはそれが商品なんだけれど、1枚だけ巨乳ちゃんにタダであげるよ」

「え、なんでそんな事をしてくれるんですか?」

「さっき言ったじゃん、昔のわたしみたいだって、だから放っておけないって」

 由美、胡散臭い話だなぁとちょっと恐れつつ、タダという言葉に強く惹かれる。そしてステキな彼氏と愛し合うって、早くもエロい想像までしてしまっていた。
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