34 / 44
34・縁日デートしよう(女子力の補充)8
しおりを挟む「ふざけるな!」
男はここで敗北しそうなになっていたフンイキを打ち破らんと大きな声を出す。そして人が困ったときは切り札とするが多い逆ギレを始めた。
「この巨乳、すごい巨乳っておっぱいの持ち主がぶつかってきたんだ。言うなればおれは被害者。なんで被害者が悪者扱いされなきゃいけないんだ。さぁ説明してみせろ、なぜ被害者がガマンせねばならないのかを」
男、これで敗北しそうな空気を押し戻せるとニンマリ。こうなったらもう引き去るなどせず、すごい巨乳の持ち主って女子をゲットするしかないと腹をくくっている。
「あ、そう、翠名」
椎名はクイクイっと翠名に手招きをし、一言でいいから謝ってとか、それでこの話は終わりになるからとかいう。
「ちょっと待て! 一言謝るくらいで済まないぞ」
男は慌てた。どうももう一人の女子(椎名)とは戦いづらいと思い、なんとか状況を打破できないかと必死に考えもする。
「謝ってもダメって脅迫じゃん。ねぇ、聞いてもいい? 被害者なら脅迫してもいいっていうの? それって被害者というよりチンピラじゃん」
男が考えている間にも椎名が攻め込む。だから男は思う、この女きらい、こういう女はたとえ巨乳でもきらいだ! と。
「ぅ……」
負ける、このままでは押し負かされてしまう。そう思いながら男は何気に周りを見渡した。するとあるモノが目に入ったのである。だから攻め方を変更。あまりにやっかいな椎名ではなく、すごい巨乳の彼氏とかいう男子の方を見て言ってやる。
「おい、おまえ、おれと勝負しろ」
「は? 勝負?」
「そうだ、あれを見ろ」
男はそう言って体の向きを変え、やけにデカい2つのモニターがあるところを指差して言ってやる。
「あそこはゲーミングPCが2つあって、あのデカいゲーミングモニターで対戦できるんだ。どうよ、彼氏たるおまえが責任とって勝負するっていうのは」
「責任ってなんですか? 言っている意味が分かりませんけれど」
「おまえの彼女がおれにぶつかったんだ。なのに今おれが悪者扱いされている。だったら彼氏のおまえがゲームで勝負すればいい。おまえが勝ったらおれは潔く引き下がろう。だがおれが勝ったら……」
「勝ったら……なんだって言うんですか」
「おまえの彼女はおれがもらう。そしたらおれはその巨乳女子にパイズリしてもらって、でもって生の中出しで愛し合って結婚までこぎつける」
それはハッキリ言って逆ギレの極みみたいな申し出であった。そして望にはけっこう危険を伴う話だった。なぜなら、ゲーム好きだのプロゲーマーを目指しているだの言っても、すべてのゲームで才能が発揮されるわけではない。いまの望の実力というのは、自分が得意とする一点でしかエースになれないモノだ。
しかし浅はかなキャラがひとりいた。それは燃得であり、ゲームと聞いただけで実直な反応に出てしまう。
「望、おまえゲーム得意じゃん、まさにおまえの出番じゃん。こんなやつコテンパンにやっつけてしまえ!」
燃得が言ったら、望、翠名、椎名の3人はさーっと青ざめてしまった。バカかよ、おまえ単細胞かよ! と言いたくなったが、こぼした水こと発言は元に戻せない。
「うっほ! いまのは挑戦と受け取った! おい望とやら、おまえ今さら逃げるとかさせないぞ、おまえ彼女を賭けておれと勝負だ、土下座して謝っても許さないからな」
場が男のペースになってしまった。どうやら男はゲームが好きらしく、腕にも自信があるのだろう。だからもう翠名って巨乳と愛し合う絵が頭の中でグルグル回っている。
「バカ? あんたバカ? 一回死ねば? この単細胞!」
椎名、燃得の胸倉をつかんで揺さぶる。
「そ、そんな……おれは友人として見てきたから、だから望なら負けないだろうと確信していたから」
「ったく……」
椎名、燃得から手を離すとものすごく速く、電気のスピードを超えるような速度で考えた。 望はゲーム好きだ、そして望がレースゲームに夢中となっていて、それなりにうまくなっているらしいんだと妹から聞いたりした。つまり、そのレースゲームなら望は勝てるかもしれない。勝負するならそれ以外でしかない。
「レースゲーム、特にデス・アスファルトとかだったら……」
椎名、思わせぶりなセリフを意図して小さめの声でつぶやいた。翠名という巨乳女子を手に入れたい男とすれば、そのセリフを耳にすると興奮度が上がる。もし望がデス・アスファルトが苦手というなら最高だし、逆に自信があるというのであればその勝負を受けてやったってことで自分という男の面目が立つ。
「よし決まりだ! おまえ、おれとデス・アスファルトで勝負しろ」
「デス・アスファルト!」
「もうイヤとは言わせないからな。安心しろ、おれはやさしい男だから一応気を使ってやる。おまえの得意な車とステージで勝負してやる。決まりだ、もう決まりだ!」
「なにを勝手に話を決めているんですか!」
翠名という女子をそっちのけでグイグイ話を進め決めてどうするんだよ! と望は怒った。こんな勝負をするわけがないと拒否しようとする。
「望……」
ここで翠名が望の腕を軽く突いた。望は自分の彼女が、こんな勝負を受けるわけないよね? と言うのだと思った。ところが事実はちがったりする。
「わたし……望を信じているから」
「はぁ? 翠名? なに言ってるんだよ」
「だいじょうぶ、望は負けない。だって望はわたしの彼氏だもの。そうだよね? 負けないよね? あんなやつ……やっつけてくれるよね? わたし……望が勝つってところを見たい、見せて欲しい」
翠名が心に少し無理をかけにっこり微笑んだりすると、望は生まれて初めていとしい彼女のために戦うなんて事をやらなきゃいけなくなった。責任が信じられないほど大きい、まさに命懸けの戦いだ。
「わ、わかりました……勝負します、受けて立ちます」
「よっしゃぁ! これで巨乳はおれのモノだぁ!!」
こうして縁日の夜はまったく思いもしないバトルへと発展していった。恋の勝負というには足りないかなり重い戦いが幕を開けようとしている。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う
もぐのすけ
青春
神童と言われた天才サッカー少年は中学時代、日本クラブユースサッカー選手権、高円宮杯においてクラブを二連覇させる大活躍を見せた。
将来はプロ確実と言われていた彼だったが中学3年のクラブユース選手権の予選において、選手生命が絶たれる程の大怪我を負ってしまう。
サッカーが出来なくなることで激しく落ち込む彼だったが、幼馴染の手助けを得て立ち上がり、高校生活という新しい未来に向かって歩き出す。
そんな中、高校で中学時代の高坂修斗を知る人達がここぞとばかりに部活や生徒会へ勧誘し始める。
サッカーを辞めても一部の人からは依然として評価の高い彼と、人気な彼の姿にヤキモキする幼馴染、それを取り巻く友人達との刺激的な高校生活が始まる。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる