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23・姉妹裁判3
しおりを挟む「妹のくせに生意気言うな」
椎名、翠名の手に谷間を押されながらけっこうな不機嫌モードになってしまった。一応それは自覚しているので、早くキモチを立て直し格好悪い自分を晒したくないという努力も始めている。
「それを言うんだったら、わたしにだって言いたい事がある」
「な、なによ……」
「お姉ちゃんはお姉ちゃん、そうでしょう?」
「はぁ? 何が言いたいの?」
「つまり、お姉ちゃんはお姉ちゃんであってお母さんではないってこと。お母さんみたいに口うるさく言うのは止めましょうってこと」
言った翠名、椎名の谷間をクッと押した状態で手を止める。これはけっこう効いた、姉妹のほほえましい関係にヒビが入るんじゃないかと姉は本気で心配し始める。
「姉が妹の事を心配したらいけないっていうの?」
「だから、心配されなくてもだいじょうぶって言ってるじゃん」
「子どもくせに……」
「子どもって、わたしとお姉ちゃんはたった1歳ちがいなんですけれど」
次第に場の空気は翠名が有利という感じになっていく。椎名からすると、翠名がしっかり者の妹みたいになるのはマジで面白くない。だから不機嫌の温度がグワーっとすごい勢いで上がっていくが、それを察知した翠名、姉の谷間を軽く押しながらやさしい声で言い伝えた。
「お姉ちゃん、だいじょうぶ! わたしちゃんとお姉ちゃんのこと好きだから、これからもずっと大好きなお姉ちゃん! と思うから、そしてお姉ちゃんがわたしの巨乳に甘えたいって思ったら、たまには甘えさせてあげるから」
「最後は余計なんだよバカ!」
ご立腹! となった椎名、妹の手を払いのけて立ち上がる。人がいろいろ心配してやっているのに! と吐き捨てたあげく、姉より巨乳だからっていい気になるなよ! なんて、普段は言わない事まで声にする。
「お姉ちゃん」
「うるさいよバカ、ホルスタイン」
「そんなひどいこと言うなら、おっぱいに甘えさせてあげないぞ!」
「バーカ、翠名のバーカ! おっぱい爆弾!」
「お姉ちゃんて子どもだよね、子ども巨乳だね、恥ずかしいったらありゃしない」
「うっせーよバーカ!」
くっそぉ! と叫んで部屋の床を数回ドンドン! と踏み荒らした椎名、翠名をにらみ死ね! とか暴言をこぼして部屋から出た。そしてマイルームに戻ると、ギリギリっと怒りの表情を浮かべギュウっと両手をにぎる。
「おのれ翠名……子どものくせに優しい姉のキモチを裏切ったりして……」
言った、しかし言っただけでは沸いた負の感情が収まらない。そこでベッドに歩み寄ると、枕を目掛けて正拳突きをかまし始めた。
「おのれ、翠名、翠名、翠名、翠名、翠名、翠名、翠名、翠名、翠名ぁ!!」
怒りの声を出しながら、ドスドス! っと枕を殴りまくる。妹のくせに、子どものくせにとか、Fカップだからって調子に乗るなよ! とか、とにかく思いつく限りあれこれ言い並べながら枕を殴りまくった。
「ハァハァ……」
枕を無慈悲に殴りまくったことで、息を切らす椎名はちょっとだけ気が収まりかけた。そして、わたしとしたが事が取り乱してしまった……と、冷静な女子に戻りかけた。
が、しかし……椎名は長々と居座る台風みたいに、けっこう粘着質なところがあり、府の感情に関しては実はしつこい女だった。
「やっぱり腹が立つ! 翠名、翠名ぁ!」
収まりかけた怒りを蒸し返した椎名、また再び枕に向かってドスドスと正拳突きをくり返し始める。もはやそれは100年台風みたいなしつこさ。
「ハァハァ……くっそぉ、翠名め……」
さっきよりつよい息切れに陥った椎名、額に浮かぶ汗をティッシュで拭ってから、組んだ両腕をDカップのふくらみに当て姉らしい思考に入る。妹をやさしく応援するではなく、いかにして妹の恋をやさしく潰すかという風に。
「椎名はメスモードになりつつある。メスモードになると女はおかしくなった頭をかんたんには戻せなくなる。ではどうするか……男子、彼氏とかいう男子が翠名から離れるように仕向ければ……」
お! いい感じで考えがまとまりそう! と、椎名は腕組みしながらへへへとやりかける。だがDカップの胸を腕で刺激しながら、翠名みたいな巨乳女子を男子がそうかんたんにあきらめるわけはないかなぁとも思う。
「わたしが男子だったら翠名みたいな女を自分から手放さないよなぁ。あんな巨乳はめったにいないしなぁ」
どうする? どうする? と数回つぶやいたら、ここでふっと思い出す。それは本日において突然発生したイベンたる相合傘での男子の事だ。
「ん……」
燃得に渡された名刺をサイフから取り出して見てみると、スマホの電話番号もしっかりと書いてある。
「ちょっとあいつと話をしてみるか。あいつちょい性格が悪そうだから、なんかいいアイデアを出してくれるかもしれない」
そこで椎名、スマホを取り出し電話番号って数字を入力。それからサクッとテンポよくダイヤルボタンを押して電話を耳に当てる。
「はい、もしもし」
「あ、燃得? わたしだけれど」
「はぁ? 誰だよおまえ、人の名前を気安く言うんじゃねぇよ」
「佐藤翠名の姉だけど、さっき雨の中で相合傘した者だけれど」
「こ、これはお姉さん! 失礼いたしました! だってぇ、お姉さんから電話がかかてくるなんて考えてもみなかったから」
今からオナニーでもしようかなと思っていた燃得、思いもしない女子から電話がかかってきたので心が躍った。これまで数人の女子と付き合ったことはあるが、電話がかかってきてめっちゃドキドキするなんて思うのはこれが初めて。
「そ、それでお姉さん、いったい何の用で? まさかデートの誘いとか」
「ちがうし、ちょっと相談したいだけだし」
「お姉さんの話ならいつでもいくらでもよろこんで聞きます!」
燃得はオナニーしようかと思っていた自分をすっかり忘れて椎名の話を真剣に聞いた。それは翠名の彼氏たる田中望の特徴を教えてくれって内容だった。それを聞く理由は望と翠名の関係にヒビを入れて破局に追い込みたいからだという。
「お姉さん、おれ性格の悪い話って大好きっすよ」
「性格悪いとか言うな、これは姉が妹を思っての事なんだから」
「そ、そうですよね、失礼しました」
「で、望とかいう男子になんか弱点とかないの?」
「弱点……あ、ありますよ」
「それってなに? 教えて」
「教えてもいいけどぉ、タダでですかぁ?」
「なに、パイズリでもしろっていうの? あんたエロに正直っぽいからそういう事を言いそうな気がする」
「パイズリしてくれるんですか!?」
「するかバカ……」
「いや、別にパイズリとかそういうのではなくて、もちろん可能ならして欲しいですけれど、いまおれが言いたいのはそうではなくて、おれと仲良しになって欲しいって事です」
「えらくかわいい要求だね」
「だってぇ、お姉さんみたいな巨乳女子ってすごい好みで」
「翠名の方が好みなんじゃないの?」
「いやまぁ、あっちも好みだけれど……あっちの方がおっぱい大きいとは思うけれど、キャラ的にはお姉さんの方がいい女! と思っていて」
「まぁ、仲良くするくらいならいいわ」
「きゃうん! めっちゃめっちゃうれしいっす、燃得カンゲキっす!」
「で、早く話を始めなさいよ」
「あ、そうでした。望の弱点はプレッシャーに弱いって事です」
「プレッシャーに弱い?」
「昔からそういうやつだとおれは見ていました。それにほら、たましいがゲーマーモードになると暴言吐きまくりっていうのは幼稚な証拠ですよ。幼稚なやつはプレッシャーをかけられるとすぐ弱くなる。弱いからギャーギャー吠える、それがおれの見解ですけれど、これまちがっていますかね?」
「なるほど……言われてみれば……」
椎名ここで無言になってちょっと考えてみた。そしていい事を思いついた! として、電話を切ろうとする。
「あ、お姉さん、ちょっと待って!」
「なに?」
「せっかくひらめきのお手伝いしたんだから……一回お姉さんと2人で過ごす時間とか与えて欲しいなぁと」
「そうね、ウォーキングしながらおしゃべりとかいいかもね」
「え、マジで、いつ? 明日、もしかして今宵?」
「100年後くらいにね、じゃぁ!」
言って翠名は電話を切った。そしてスマホを机の上に置くと、ちょっと力を込めながらひとりつぶやいた。
「思いっきりプレッシャーかけてやる、覚悟してなさいよ、望とかいうやつ」
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