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6・女子力スイッチON!
しおりを挟む「ん……んぅ……」
午前6時30分ごろ、後もうちょいしたら目覚まし時計が叫びだすという頃、ベッドの上で翠名が身悶えする。
「はん……んぅ……」
くぅっと自分をなめらかに丸め込むような声、うっすら浮かぶ汗、でもって寝ながら乱れているパジャマ、ボタンがいくつか外れているので、下にある谷間が顔を出している。そして何回も色艶のよい悶え寝息をこぼす。
「は……ぅんぅ……」
翠名はどうしたのか、熱でもあるというのか、春の風邪を背負ったとでもいうのか、しかし悶える表情にはどっかしら楽しいと言っているような感もある。実際のところ、声を出して寝返りを打ちながら時にふっと寝顔がニヤけたりするのだから。
「そんな……魅力的な巨乳に甘えたいとかいきなり言われても困るんだよぉ……」
翠名が色っぽい寝言をベッド上に落としながら、おそらくは見ている夢の内容という魔力のせいだろうが、トロっとした寝顔のまま片手が動く。そしてそれは開けているパジャマの下にある、クゥッと豊満な白いナイトブラに当てられ、ゆっくりとかみしめるような手つきでまさぐり始める。
「やだ……田中って……甘えん坊……」
うにゅっと練るような声で言った田中が誰かは断言できないが、もしかすれば、いやかなり高い確率で、昨日において翠名に告白した男子こと田中望なのかもしれない、その可能性は激高だ。
「あんぅ……ぅ……」
翠名の声が大きくなった。いったいどんな内容を見ているのかはわからないが、かなりピンク色なドリームなのかもしれない。
「ぁ……」
ふっくらな寝顔がキュッと悩め香しい表情をこしらえた。それはもしかすると、夢の内容がこうなってああなってそうなって……という展開をたどっているのかもしれない。別の言い方をすれば、いよいよ! みたいな事なのかもしれない。
しかし! 夢とは得てして破れる風船みたいなモノ。甘くとろけまくっているって翠名の事情なんかアラームが配慮するはずもない。
「ん……」
寝ながらクッと寝ブラを捲り上げると、片方の……中2にながら94cmって豊かなるふくらみがフルっとこぼれ出る。それを寝ながら自ら愛撫しようとしたそのとき、まさに絶好調! とか思われたそのとき、騎上のアラームが女子の幸せを破壊する。
―ジリジリジリジリジリジリジリー
「はんぅ!!」
目覚ましの暴力的な音色が女子の夢を壊した。ハッと両目を開くと、その瞬間にピンクドリームは跡形もなく消滅。それはまるで心身を捧げようとした瞬間に見捨てられる悲劇みたいなモノ。
「あぁもう……ちょっとは気を利かせて欲しいなぁ」
のっそり立ち上がって一生懸命仕事をしている目覚ましを職務停止状態にする。そして残念無念という感じにひとつ息を吐いたら……目を下に向けて軽い赤面。パジャマが開いている、寝ブラの右側がまくれ上がっていてふっくら乳房ってふくらみが思い残し一杯という感じで外に出ている。
「ふぅ……」
どうせ着替えるのだからと外に出ているのはそのままにし、惜しかったとかもうちょいだったのにとかぼやいてから小さい方のカーテンを開ける。
「おぉ、いい天気」
ぐぃーっと背伸びをした翠名、学校に行ったら彼氏とどう接してどんな会話をしてたのしもうかとさっそくとばかり考える。
「あっと……」
女子力満載ってな感じのピンク色タンスの上段中央を開け、F80ってサイズのフルカップ並びに伸ばした手の動きが止まる。
佐藤翠名、中2でバスト94cmのFカップってこの巨乳女子は、学校がある日は周囲があれこれうるさいからって理由で、ブラは白もしくはベージュと決めていた。他の色は基本として学校外、もしくは下のブラが透けて見えない格好をする(できる)時と決めていた。
「ん……」
しかし今……ほんのり胸に湧く感覚に従うのであれば、彼氏が出来たという事実の甘い感覚を重要とするのなら、学校があるからどうと考えなくてもいいじゃないかと思えてきた。
別にブラ姿を彼氏に見せるわけではないが、これは女子の重要なキモチの問題とすれば、ここらで考えを変えてもいいのでは? って思えてならない。
「そうだよ、女だから胸がふくらむわけで、だからブラって下着が必要なわけで、ちゃんとしたブラなら色がどうので騒ぐ方がおかしい。そんなの気にしていたら女として生きていけないじゃん、根暗な女になってしまうじゃん」
自分で自分の背中を押すようにつぶやいた翠名、プライベート女子力の切り札としていたピンクブラをつかむ。今日はこれに自分の巨乳を任せ、人知れず女って言葉をかみしめようと決意。
「さて、今ごろ田中くんは何をしているやら、ちゃんと起きているかな」
そんな事を言いながらパジャマをクッと脱ぐ、そしてピンクな夢で乱れてしまった寝ブラを外す。するとどうだろう、フルっと息継ぎするように揺れ動いたは、誰にとっても一度見たら一生忘れられないような美巨乳ってふくらみ。まだダイナマイト発育中ってそれは、円錐型と釣鐘型のうまみ取りをして融合したような、まさにスーパー美巨乳と呼ぶにふさわしい形状がとにかくまぶしいのだった。
「どんな会話をしようか……」
頭の中は田中望の事ばっかりって翠名、色白むっちりな上半身にピンクブラを纏い始める。と、そのとき姉の椎名が部屋のドアをノックしてきた。いつもは寝ボスケが多い姉だが、今日はたまたま早くに目が覚め潔く起きたのだった。
「ちょっと待って」
翠名、上半身裸であせる。しかし、そういうのを感じ取った姉がドアを開けないって選択肢を取る事はない。
「翠名、起きてる?」
うにょ! っとドアを開けて部屋の中を見る椎名。
「ちょっと待ってって言ったでしょうが!」
ピンクブラを纏う途中だった翠名、巨乳ってふくらみを出したまま顔を赤くして怒る。なぜ姉は女なのに同じ女に配慮しないのか! と。
「おぉ、今日も翠名の豊満なおっぱいは絶好調!」
妹の豊かな生乳を拝めてまずは良し! とする姉だが、しかし話の本題はここからだったりする。
「翠名、そのブラは何?」
「な、何って何?」
「今日は学校があるじゃん、休日ではないじゃん。なのになんでピンク色のブラを着ける? それは翠名の巨乳ポリシーに反する行為のはず」
「いちいち巨乳って言葉を付けないでよ」
「いいから質問に答えなさい、早く!」
朝からテンションの高い姉は、まるで女子力養成所の先生みたいな口調を放ちながら、翠名のふくらみをがっちり見続ける。
「ブラの色くらいは別にどうでもいいじゃんか」
「それ返事になってない。人に言えない理由でもあるわけ?」
姉の椎名はちゃんと知っている。学校のある日に白もしくはベージュ以外のブラをしていると周囲に知られ騒がれるのを翠名はイヤがるのだと。だったらなぜそれをやるのか? 所有するブラの多くは白とベージュだから、何か理由があるはずだと婦人警官のごとく妹を問い詰める。
「翠名……」
「な、なに?」
「まさか男が出来たとか言わないよね? 男ができたから学校がある日にピンクのブラをやって女心を高めようとか、そんな考えじゃないよね?」
いま椎名が言った事はまさにドストライク。170kの剛速球でど真ん中に突き当たったかのごとし! だがここでの翠名は超ファインプレーをやった。ほんの一瞬だが歪みそうになった表情を動かさなかったのだ。平静の装いというのを超見事にやってのけたのだった。
「はぁ? 朝から何言ってんの? お姉ちゃんアタマだいじょうぶ? お姉ちゃんこそ男が出来たんじゃないの?」
「む! そんなわけあるか」
「っていうか早く出て行ってよ、こっちはブラを着けたくてたまらないんだから」
「見届ける」
「見届けなくていいつーんだよ!」
「翠名、今日は見逃してあげるけど、明日からは学校のある日にピンクのブラとかダメだからね? 明日からチェックを強化するからそのつもりで」
まるで女看守とばかりに言い捨てた椎名、早く着替えなさいよ! と、自分が翠名の着替えを遅らせたことはそっちのけなセリフで残して部屋から出て行った。
「あぁ……疲れた……」
体力をごっそり奪われたみたいになった翠名、なんかもう1日を過ごす気力がなくなったとぼやきながら、豊満でやわらかい弾力いっぱいな乳房をピンクブラに収納し整える。田中とどんな会話をしようかなぁ……なんて事で頭を埋めながら。
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