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怪異
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ニン…ゲン…
タス……………ケ…………
脳裏に響く気味の悪い声。
タノ………………ム………
汚らしく、かつこれ以上無いほど低音のその声は徐々に大きくなっていく。
血ヲ…………
ケイヤ…………クヲ……………
アァ…
アア……
アァアアァアァアァァァア!!!!!!!!!
「うわぁぁぁぁぁ!!…………」
………夢……か…
私はどうやら気を失っていた様だ。
地面に倒れていた。
辺りを見回す。
何も起きていないようだった。
空の色を見る限り時間もさほど経っていないようだ。
唯一変わった事と言えば体がどっと重く感じる事だった。
貧血…かな…
フラフラと立ち上がって家へ帰った。
誕生日だって言うのに災難だ…
「ただいま…」
母が出迎える。
「おかえり恋、…ん?顔色悪いけど大丈夫?」
「あぁうん、大丈夫だよ」
私はニコリと笑う。親には心配かけたくない。
「もう…それカラコン?中2臭いから辞めなさい!」
「え……?」
私は一瞬困惑したが、すぐに冷静に対応した。
「あぁ、これね、友達に誘われて試しにやってみたんだ、でも大丈夫、ダサいからもうやらないよ」
(なにが起きてる…?)
「まったく…お母さんがそういうの嫌いなの分かってるでしょ?」
(目の色が変…?)
「うん、…ごめんね」
私は急いで洗面所へ向かった。
(… !!)
「なに…これ……」
右目の虹彩が真っ赤になっていた。
よく見ると不思議な紋章のような柄も刻まれている。
いてもたってもいられず眼球を擦る。
何度擦っても変わらない。
カラコンなどでは無い。
私は咄嗟にガーゼで目を隠して誕生日の夜を過ごした。
親には「カラコン付けたら目が痛くなった」と言い訳し、情けない子だと呆れられた。
夜、ベッドに横になり眠りにつくと、またあの声が聞こえてきた。
クル…シ………
クエ…………ナイ……………
モ…エル…ゼンブ………
血ヲ…………………
ヨコセ!!!!!!
首がギュッと絞まる。
(うっ…苦…しい…)
涙が溢れ出てくる。
無理矢理目をこじ開けるが闇しか見えない。
動き回ろうとするが何かに押さえつけられているような感覚だ。全く動けない。
うっ…ぁあぁああ!!
首の付け根が猛烈に熱い。
(熱い……苦しい……助けて……)
私は再び意識を失った。
翌朝
「恋…大丈夫?夜うなされてたわよ?」
「心配で声かけたけど全く起きなかったし…」
「うん…大丈夫、悪い夢見ただけ。」
私は再び鏡の前へ向かい、目を確認する。
やっぱり変だ…このままじゃ学校でも変な目で見られる
私はこれ以降、前髪をおろして右目を隠して生活するようになった。
あれから1ヶ月たった。
その間特に変わったことは起きなかった。
このおかしな目にも少しずつ慣れて行った。
いつも通り1ー4の教室に入り、いつも通り授業を受け、いつも通り帰った。部活には最近顔を出していない。
と言うのも、囲碁将棋部と言うだけあって女子が自分とあと一人しか居なかったから、ちょっと居心地が悪かった。
まぁ、部活に入っていたっていう称号が欲しかっただけだから別に良いんだけど。
昇降口から出ようとした時、誰かに声をかけられた。
同じクラスで囲碁将棋部の獣本暁吾(ししもときょうご)だ。
「秋月さん、ちょっとこっち来てくれる?」
「いきなりなに…?」
「ごめん、ちょっと話したいことがある」
私たちは昇降口近くの花壇の影で2人きりになった。
「急にごめん、ちょっと気になっただけなんだけど…」
「なに?」
「秋月さん、“操者”って知ってる?」
アニメかなんかの話?だけどこんな真顔で話すことかな?
普段から真顔の獣本がもっと真顔だ。
ちょっとだけ気になったから、適当に話を聞いてあげることにした。
タス……………ケ…………
脳裏に響く気味の悪い声。
タノ………………ム………
汚らしく、かつこれ以上無いほど低音のその声は徐々に大きくなっていく。
血ヲ…………
ケイヤ…………クヲ……………
アァ…
アア……
アァアアァアァアァァァア!!!!!!!!!
「うわぁぁぁぁぁ!!…………」
………夢……か…
私はどうやら気を失っていた様だ。
地面に倒れていた。
辺りを見回す。
何も起きていないようだった。
空の色を見る限り時間もさほど経っていないようだ。
唯一変わった事と言えば体がどっと重く感じる事だった。
貧血…かな…
フラフラと立ち上がって家へ帰った。
誕生日だって言うのに災難だ…
「ただいま…」
母が出迎える。
「おかえり恋、…ん?顔色悪いけど大丈夫?」
「あぁうん、大丈夫だよ」
私はニコリと笑う。親には心配かけたくない。
「もう…それカラコン?中2臭いから辞めなさい!」
「え……?」
私は一瞬困惑したが、すぐに冷静に対応した。
「あぁ、これね、友達に誘われて試しにやってみたんだ、でも大丈夫、ダサいからもうやらないよ」
(なにが起きてる…?)
「まったく…お母さんがそういうの嫌いなの分かってるでしょ?」
(目の色が変…?)
「うん、…ごめんね」
私は急いで洗面所へ向かった。
(… !!)
「なに…これ……」
右目の虹彩が真っ赤になっていた。
よく見ると不思議な紋章のような柄も刻まれている。
いてもたってもいられず眼球を擦る。
何度擦っても変わらない。
カラコンなどでは無い。
私は咄嗟にガーゼで目を隠して誕生日の夜を過ごした。
親には「カラコン付けたら目が痛くなった」と言い訳し、情けない子だと呆れられた。
夜、ベッドに横になり眠りにつくと、またあの声が聞こえてきた。
クル…シ………
クエ…………ナイ……………
モ…エル…ゼンブ………
血ヲ…………………
ヨコセ!!!!!!
首がギュッと絞まる。
(うっ…苦…しい…)
涙が溢れ出てくる。
無理矢理目をこじ開けるが闇しか見えない。
動き回ろうとするが何かに押さえつけられているような感覚だ。全く動けない。
うっ…ぁあぁああ!!
首の付け根が猛烈に熱い。
(熱い……苦しい……助けて……)
私は再び意識を失った。
翌朝
「恋…大丈夫?夜うなされてたわよ?」
「心配で声かけたけど全く起きなかったし…」
「うん…大丈夫、悪い夢見ただけ。」
私は再び鏡の前へ向かい、目を確認する。
やっぱり変だ…このままじゃ学校でも変な目で見られる
私はこれ以降、前髪をおろして右目を隠して生活するようになった。
あれから1ヶ月たった。
その間特に変わったことは起きなかった。
このおかしな目にも少しずつ慣れて行った。
いつも通り1ー4の教室に入り、いつも通り授業を受け、いつも通り帰った。部活には最近顔を出していない。
と言うのも、囲碁将棋部と言うだけあって女子が自分とあと一人しか居なかったから、ちょっと居心地が悪かった。
まぁ、部活に入っていたっていう称号が欲しかっただけだから別に良いんだけど。
昇降口から出ようとした時、誰かに声をかけられた。
同じクラスで囲碁将棋部の獣本暁吾(ししもときょうご)だ。
「秋月さん、ちょっとこっち来てくれる?」
「いきなりなに…?」
「ごめん、ちょっと話したいことがある」
私たちは昇降口近くの花壇の影で2人きりになった。
「急にごめん、ちょっと気になっただけなんだけど…」
「なに?」
「秋月さん、“操者”って知ってる?」
アニメかなんかの話?だけどこんな真顔で話すことかな?
普段から真顔の獣本がもっと真顔だ。
ちょっとだけ気になったから、適当に話を聞いてあげることにした。
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