春──なにもなかったあなたへ

中学二年生の五十嵐は、前の席に座る阿由葉からある噂を聞く。
「桜が咲き始めた頃に現れて、桜が散る頃にいなくなる人」
その不思議な噂を不思議と思う能力が五十嵐にはなかった。
ある日五十嵐は阿由葉に呼ばれ、桜の木の下へ来る。
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