上 下
60 / 92

60)期待が発生してしまったぞ

しおりを挟む
 提出した武器は全て、余すことなく見せるべきなのだと思う。
 いきなりどうした? と思われるかもしれないが、つまりこういうことです。
 例えば二刀流の剣士が出てきて、しかも背中にライフルを背負っていたとする。
 しかしその剣士が一本の剣でしか戦わなければ、観客をがっかりさせると思うのである。

 おい、背中に背負っているライフルをなぜ使わないんだ? もう一本の剣も使えよ! ってなるのは当然のこと。
 これでは不完全燃焼だ。
 観客はそう思うに違いない。

 イメージビデオだって同じだろう。提出した武器は出来るだけ全て披露しなければいけないのである。
 この場合、提出しているのは・・・。
 こんなことを言うと、世のフェミニストどころか全女性を敵に回しかねないのだけど、しかし思い切って言ってしまうと、つまり、胸とお尻である。バストとヒップ。
 脚とかも、脇とかも、まあ、そういう部類に入るかもしれないけど、まあ、それを列挙していくとキリがないのだけど、とにかくドメジャーな女子の武器は先ほどの二つでしょう。

 怒られるだろうな。嫌われるだろうな。
 でも、僕はそんなことを気にしない。どうせ女性たちから好かれていないから好き勝手に言うさ。

 で、さっきの武器の話題の続きである。
 それなのに、その武器をカメラに映さないというのは大変に怠慢。
 とても観客をがっかりさせると思うのです。
 とにかく視聴者をがっかりさせてはいけない。ストレスを感じさせてはいけないと思うのだ。

 この水着で出てきたのであるから、こういうカットを見せてくれよ。
 観客は思うはずである。
 つまり、さっきのスクール水着のゆかりちゃんの場合ならばバックショット。

 ゆかりちゃんのスクール水着で登場してきたのだから、我らのお客さんたちはスクール水着のお尻の映像を期待するのだ。
 それに応えるだけの簡単な仕事ではないか。「ゆかりちゃん、後ろを向いて」と、監督が指示を出すだけ。
 簡単なんだ。みんな、それが簡単だってわかっている。
 だからこそ、それを怠ったとき怒られて当然で。

 お客さんたちは勝手に期待しているわけではない。
 別に無理な要求をしているわけではないんだ。
 まず、こちらがメニュー表をお見せしたのである。それを見て彼らは、「ああ、このようなシーンを見ることが出来るんだろうな」って緩やかなイメージを抱く。
 それに応えるのが僕たちの仕事なのである。
 すなわち、期待を抱かせたのはこちらの責任なのである。

 相手に期待をさせてしまったら、もうそれに応える以外に選択肢は存在しなくなると思う。
 だってそれに応えなかったら、相手を落胆させてしまう。すなわち、こちらの評価が下がってしまうわけだ。

 「お前たちが勝手に期待したんだろ? はあ?」では済まない。
 「別にそんな気はなかったんだけどね」では許されない。
 「どうやら期待が発生してしまったぞ。それは確かに意図していなかった。しかしそれに応えなければいけない! それが我々の使命なのだ!」

 町内で火事が起きたようなものだ。それを消しに向かわなければいけない。それは義務だよ。

 「観客はどういう期待を抱いてしまったのだろうか?」

 そのことを神経を集中させて、淡々とそれに応える。
 いや、まあさ、僕だって全部それが出来ているのかわからないけど。
 何せ時間内にこの作品を撮り終えるという、担当者さんが抱いていた当たり前の期待すら裏切ってしまったのである。

 期待に応えるということ、観客たちのそれとない要望に応答すること、それは難しいことなのだろう。
 僕は様々な工夫を施しているつもりでいたけど、この作品の内容だって実はピント外れで、買ってくれた人の心を満たすことは出来ていない可能性はある。
 だからこの監督さんを責めるのもどうかと思うけど、しかしね。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

処理中です...