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45)美咲ちゃんの本気
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美咲ちゃんはすくりと椅子から立ち上がった。
それで僕のその妄想も魔法が解けたように中断する。
カメラも後ろに引いて、彼女の動きを全体で捉えようとする。
彼女の背中は汗ばんでいた。素肌にブラウスが張り付いているのである。そして当然、白いブラのラインも見える。
それにまた理性を失いそうになるのだけど、でも、それよりも僕たちはまた違う部分に視線がいく。
彼女の手がそこに動いたから視線が導かれたのか、そのスカート、美咲ちゃんはさっきまで座っていたから、スカートに皺が出来て、折れ目のようなものがかすかに出来ている。
スカートの裾が斜めになって、本来よりも短いサイズになっているようで。
何だか、そのお尻はひどく無防備に見えた。彼女の実年齢をはるかに下回る幼さとあどけなさ。
僕は息を飲んでいる。こんな後ろ姿の女子を見たことがない。
そのとき僕は決定的に良い仕事をしたかもしれない。
カメラマンさんが前に動こうとしたのである。
彼女の顔を撮ろうとしたわけだ。それがカメラマンの本能なのだろう、しかし僕は彼を制止した。
違う、このまま後ろ姿を撮って下さい。
僕は目で合図する。
カメラマンさんも頑固者ではない。それに彼もまた、美咲ちゃんが醸し出し始めたエロスに感染しているようだった。
すぐに僕の意図を理解した。
後ろ姿、それで彼女は何かを表現しようとしている。
バレリーナのように、いや、バレーなんてよく知らないけど、女優のように、そっちが適当か、背中で演じようとしている。
それとも、これこそが優れたグラビアイドルというアクションなのかもしれない。
美咲ちゃんはスカートの皺を伸ばすように、何度も何度もお尻をさする。
その度にスカートはピタリとなって、その身体のラインをあらわにするかのようであって。
そして彼女は何か奇妙な仕草を始めた。
スカートの裾を絞るというか、ねじるというか、そのような行為である。
それは衣服が水に濡れたときの行動とでも言おうか。
別にプールに飛び込んだわけでもないのに、美咲ちゃんはそんなことをするから、徐々にスカートの裾は短くなる。そして逆に彼女の生の脚が出てきて。
突拍子がない行動と言える。僕にはこのような指示を出せはしないだろう。特に前後につながりがない行動。
いや、これはこのシーンの趣旨、美咲ちゃんのゆかりちゃんへの感情、逢いたいのに逢えないという気持ちの高ぶりを見事に表現しているとも言える。
逢えないといっても今は授業だからっていう程度なのだけど。でもそのちょっとした葛藤を大袈裟に表した行動。これこそ思春期ではないか!
その一方で、彼女の肢体のシルエットは浮かび上がってきて、画面を艶めかしくしているのである。
ふわりと身にまとっていた制服を、美咲ちゃんは自らタイトにしている。
スカートの裾をねじねじと捻じって、まるで薄い素材のパジャマかジャージのように、ピタッと身体に張り付いて。
そしてその丈は短くなっていくのである、まるで劇場の幕が上がるようにして。
彼女の脚が伸びていくみたいだった。ただスカートに隠されていた部分が短くなっていくというカラクリだけど。
やがてスカートはその用を果たさなくなり、白い下着、というか水着なんだけど、それがあらわになって。
こういうのだよ。僕がこのシーンで撮影したかったのは。美咲ちゃんのアドリブは見事にこの作品のテーマの的を射抜いている。
その後ろ姿は無防備で、何というか、「開け放たれている」っていう雰囲気がして、まるで物質のように無抵抗で。
つまり、「見ていいもの」性に溢れているよう。
しかしその姿はやはり見てはいけないものであって。
エロさゆえであろうか、いや、それよりも何だか美咲ちゃんは余りに自分の感情の中に閉じこもっていて、下賤な視線を寄せ付けない感じがして。
僕たちは禁忌と誘惑の間で葛藤する。まあ、もちろん視線は逸らせないのだ。
それでいいのだって自分に言い聞かせる。見てもいい、だってこれはイメージビデオであってさ、
そんな自己問答をしていたとき、美咲ちゃんは振り返ったのである。
美咲ちゃんの髪がなびいて、彼女の顔がこちらに向き直った。
それだけで場面の全てがガラリと展開したかのように、何もかも全てが変わったような気がしてしまった。
振り返った美咲ちゃんの視線はカメラを見ている。
1ミリもずれることなく、僕と美咲ちゃんの瞳孔と瞳孔がばちりとかち合った気がした。
僕は思わずたじろぐ。
しまった! 覗き見しているのがばれてしまった、そんなバツの悪さを感じてしまったのだ。
僕は目を伏せそうになる。
いや、しかし実際には僕たちの目は合っていない。視線がぶつかったのはただ単にカメラとモニター越し。
僕は美咲ちゃんの生の姿を見ていたのではなくて、モニターのほうに釘付けになっていただけ。
それなのに心臓が飛び出しそうになるくらいになった。まるで美咲ちゃんに叱られているような。
何やらそれはスタッフ全員が共有していた感情のようで、モニターを見ていた誰もが皆、一様に目を伏せたり、後ずさりしたりするのである。
そのとき、咎めるような表情をしていた美咲ちゃんの表情がふと緩んだ。それで僕たちの緊張感も共に緩んだ。許された気がしたのだ。
それで僕のその妄想も魔法が解けたように中断する。
カメラも後ろに引いて、彼女の動きを全体で捉えようとする。
彼女の背中は汗ばんでいた。素肌にブラウスが張り付いているのである。そして当然、白いブラのラインも見える。
それにまた理性を失いそうになるのだけど、でも、それよりも僕たちはまた違う部分に視線がいく。
彼女の手がそこに動いたから視線が導かれたのか、そのスカート、美咲ちゃんはさっきまで座っていたから、スカートに皺が出来て、折れ目のようなものがかすかに出来ている。
スカートの裾が斜めになって、本来よりも短いサイズになっているようで。
何だか、そのお尻はひどく無防備に見えた。彼女の実年齢をはるかに下回る幼さとあどけなさ。
僕は息を飲んでいる。こんな後ろ姿の女子を見たことがない。
そのとき僕は決定的に良い仕事をしたかもしれない。
カメラマンさんが前に動こうとしたのである。
彼女の顔を撮ろうとしたわけだ。それがカメラマンの本能なのだろう、しかし僕は彼を制止した。
違う、このまま後ろ姿を撮って下さい。
僕は目で合図する。
カメラマンさんも頑固者ではない。それに彼もまた、美咲ちゃんが醸し出し始めたエロスに感染しているようだった。
すぐに僕の意図を理解した。
後ろ姿、それで彼女は何かを表現しようとしている。
バレリーナのように、いや、バレーなんてよく知らないけど、女優のように、そっちが適当か、背中で演じようとしている。
それとも、これこそが優れたグラビアイドルというアクションなのかもしれない。
美咲ちゃんはスカートの皺を伸ばすように、何度も何度もお尻をさする。
その度にスカートはピタリとなって、その身体のラインをあらわにするかのようであって。
そして彼女は何か奇妙な仕草を始めた。
スカートの裾を絞るというか、ねじるというか、そのような行為である。
それは衣服が水に濡れたときの行動とでも言おうか。
別にプールに飛び込んだわけでもないのに、美咲ちゃんはそんなことをするから、徐々にスカートの裾は短くなる。そして逆に彼女の生の脚が出てきて。
突拍子がない行動と言える。僕にはこのような指示を出せはしないだろう。特に前後につながりがない行動。
いや、これはこのシーンの趣旨、美咲ちゃんのゆかりちゃんへの感情、逢いたいのに逢えないという気持ちの高ぶりを見事に表現しているとも言える。
逢えないといっても今は授業だからっていう程度なのだけど。でもそのちょっとした葛藤を大袈裟に表した行動。これこそ思春期ではないか!
その一方で、彼女の肢体のシルエットは浮かび上がってきて、画面を艶めかしくしているのである。
ふわりと身にまとっていた制服を、美咲ちゃんは自らタイトにしている。
スカートの裾をねじねじと捻じって、まるで薄い素材のパジャマかジャージのように、ピタッと身体に張り付いて。
そしてその丈は短くなっていくのである、まるで劇場の幕が上がるようにして。
彼女の脚が伸びていくみたいだった。ただスカートに隠されていた部分が短くなっていくというカラクリだけど。
やがてスカートはその用を果たさなくなり、白い下着、というか水着なんだけど、それがあらわになって。
こういうのだよ。僕がこのシーンで撮影したかったのは。美咲ちゃんのアドリブは見事にこの作品のテーマの的を射抜いている。
その後ろ姿は無防備で、何というか、「開け放たれている」っていう雰囲気がして、まるで物質のように無抵抗で。
つまり、「見ていいもの」性に溢れているよう。
しかしその姿はやはり見てはいけないものであって。
エロさゆえであろうか、いや、それよりも何だか美咲ちゃんは余りに自分の感情の中に閉じこもっていて、下賤な視線を寄せ付けない感じがして。
僕たちは禁忌と誘惑の間で葛藤する。まあ、もちろん視線は逸らせないのだ。
それでいいのだって自分に言い聞かせる。見てもいい、だってこれはイメージビデオであってさ、
そんな自己問答をしていたとき、美咲ちゃんは振り返ったのである。
美咲ちゃんの髪がなびいて、彼女の顔がこちらに向き直った。
それだけで場面の全てがガラリと展開したかのように、何もかも全てが変わったような気がしてしまった。
振り返った美咲ちゃんの視線はカメラを見ている。
1ミリもずれることなく、僕と美咲ちゃんの瞳孔と瞳孔がばちりとかち合った気がした。
僕は思わずたじろぐ。
しまった! 覗き見しているのがばれてしまった、そんなバツの悪さを感じてしまったのだ。
僕は目を伏せそうになる。
いや、しかし実際には僕たちの目は合っていない。視線がぶつかったのはただ単にカメラとモニター越し。
僕は美咲ちゃんの生の姿を見ていたのではなくて、モニターのほうに釘付けになっていただけ。
それなのに心臓が飛び出しそうになるくらいになった。まるで美咲ちゃんに叱られているような。
何やらそれはスタッフ全員が共有していた感情のようで、モニターを見ていた誰もが皆、一様に目を伏せたり、後ずさりしたりするのである。
そのとき、咎めるような表情をしていた美咲ちゃんの表情がふと緩んだ。それで僕たちの緊張感も共に緩んだ。許された気がしたのだ。
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