少女風呂(童話風)

アッシュ出版

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19)お尻ペンペンの刑

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 「どうする、ちかちゃん? ダイゴ君にどんな罰を与える?」

 胡桃ちゃんという女の子が、ちかちゃんに尋ねます。

 胡桃ちゃん、ショートカットで、活発そうな雰囲気の女の子です。
 笑顔はキュートで、片頬にえくぼが出来ています。
 その笑顔で、「ダイゴ君にどんな罰を与える?」と言っているのです。女の子たちは恐いですね。

 「やっぱり、ここはお尻ペンペンの刑でしょ」

 ちかちゃんは言います。「みんなも手伝って」 

 はあ? ちょっと何でだよ? 何で俺がそんなことされないといけないんだよ??? 

 ダイゴ君の困惑は頂点を極めます。当然の疑問です。
 しかしダイゴ君は鉄板の上のお好み焼きのように、コロッと引っ繰り返されます。
 仰向きの姿勢だったダイゴ君は、うつぶせにされ、膝をカクカクと上手い具合に折り曲げられて、お尻を突き出した姿勢を取らされました。

 ダイゴ君が抵抗する暇もありませんでした。
 そしてすぐにお尻ペンペンが始まりました。

 痛い! 
 けっこうな強さで、ダイゴ君は女の子たちにお尻を叩かれています。
 それは予想よりも激しいものでした。

 叩いているのはちかちゃん。胡桃ちゃん。それ以外の女の子も、その折檻に加わっていました。
 近くにいる女の子たちが、入れ代わり立ち代わりやってきて、ダイゴ君のお尻に向かって深刻な打撃を加えてきます。

 手をパーの形にして、ダイゴ君のお尻を叩いてくるわけですが、そのときに「パチン」と良い音がなれば、女の子たちはキャハハと笑います。
 その暴力に、陰惨さはありませんでした。女の子たちはみんな楽しそうにしています。
 「お前、マジで死ねよ」「ウジ虫のくせに、息してんじゃねえよ」とか、そのような悲しい言葉をかけてくる女の子はいません。
 「ダイゴ君、ダメでしょ」「良い子にしてなさいね」そのような言葉を掛けながら、パチンと叩いてきます。
 しかし叩かれているダイゴ君からすれば、痛いことに変わりがありません。
 みんなが楽しそうにしているからといって、痛みが軽減するわけはないのです。

 しかも痛いだけではありませんでした。ダイゴ君は凄く惨めでもありました。
 その姿をまなみちゃんがダイゴ君を見ています。
 まなみちゃんはそのお尻ペンペンに加わってはいませんでした。
 ダイゴ君が顔を上げると、ちょうど視界に入る場所に、あの可憐な乳房をあらわにしながら座っています。
 ダイゴ君はその表情から明確な感情を読み取ることが出来ませんでした。でも女の子たちからお尻を叩かれているダイゴ君の姿が、クールなわけがありません。むしろかなり無様です。憐れです。

 ダイゴ君はまなみちゃんのことが好きです。ほのかな恋心を抱いています。それなのに自分の無様な姿を観られ、悲しくて堪りませんでした。
 ダイゴ君がまなみちゃんの表情から何も読み取れないのは、きっと、ダイゴ君のほうが心を閉ざそうとしているからだと思います。
 彼はまなみちゃんのちょっとした反応にも恐怖を感じているのでした。

 「ねえ、反省している?」

 ちかちゃんが耳元で尋ねてきます。

 「な、何で俺が?」

 反省なんてしないといけないだよ! そのように言おうとすれば、またパチンと軽快な音が鳴り、下半身に激痛が走ります。

 「君はね、とてもいけないことをしたのよ?」

 「何でだよ!」

 パチン! 

 イテテて。

 「まだ反省してないの?」

 でも俺さ・・・。どうして叩かれているのかわからないんだよ? 
 ダイゴ君は目を閉じて首を振ります。わからない、わからない、やめてくれよ、マジで。

 ダイゴ君のお尻は真っ赤に腫れていました。
 まるでお猿さんのように真っ赤! というのはあまりに平凡な比喩ですね。もう少し斬新な比喩表現が思いついたら、そのとき改めて報告します。
 とにかく赤く腫れているのです。それはとても痛々しい・・・。

 ダイゴ君は痛みに顔をしかめています。
 痛くて痛くて堪らないからです。もう我慢の限界。
 しかしその痛みが限度を越えたあたりで、ダイゴ君は不思議な快感を感じるようにもなっていました。
 彼は何か大いなるもの。たとえば、大地のように永遠で、偉大な母なるもの。そのような超越存在に、罰せられている。
 だって、俺は凄く悪い人間だから。
 ダイゴ君の思考はそんなふうに変わってきました。

 女の子の身体を触ったり、裸を見て喜んだり、男性的で攻撃な部分を女の子に押し付けたり。俺は凄く悪いことをしてきた。
 お尻を叩かれて当然じゃないか! 

 そんなことを考えるようになってから、ダイゴ君が発す悲鳴は、「痛い!」から、「あうっ!」に変わってきました。
 四つん這いになり、お祈りしているかのように首を垂れているダイゴ君。その姿勢でお尻を叩かれ、痛くて堪りません。
 しかしただ単に痛いだけではない。彼は痛みに不思議な快感を感じるようになっていました。
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