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12.ドラゴンと、ちょっとしたハプニング
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『新しいスキルを解放します』
9歳になる日の夜中、毎年恒例になった新しいスキル解放の言葉が脳内に聞こえた。
「相変わらず夜中に解放されるんだな。今度は千里眼か」
千里眼。遠くを見れる。肉眼で望遠鏡の役割ができるんだな。試すのは朝になってからだな。
翌朝。
「なに?また新しいスキルが?!」
「はい」
俺の報告に父さんが驚く。
「ラソマ兄様、凄いです!」
「まったくもって不思議なスキルだな」
「本当ね」
俺のスキル解放に家族が驚きの反応を見せるのは恒例行事になっている。
その後、俺は屋敷の自室に戻っていた。スキルの実験をするためだ。遠くが見えるスキルなら、庭は壁があるから見えないと思ったんだ。自室なら3階だから、壁の向こう側、遠くが見える。
「さて、試すか」
スキルの実験で1人きりなのは久しぶりだな。
まず、千里眼で森を見てみる。
「うおっ!」
急に視界が木を映し出したから驚いた!一気に遠くが見えてしまうのか。…いや、調整できるのかもしれない。
数分後、試行錯誤の末、ゆっくりと遠くが見えるようになった。これなら使いやすくなったな。
「どこまで遠くまで見えるかな」
そう思って、ずっと遠くまで千里眼を使う。すると肉眼では見えない距離にある山が見えた。この方向に山があるんだな。
「何か飛んでいるな…あれは………もしかしてドラゴン?」
前世の世界ではドラゴンが2種類いたな。今見えているのは西洋風のドラゴンだ。
あんなに大きいのに空を飛べるんだな。
そうして見ていると、不意にドラゴンが宙で停止し、こちらを見た。まるで俺と目が合っているみたいだ。
「まさか…俺が見ている事に気づいている?」
どうしようか考えているとドラゴンは俺の方を見る事をやめて、また飛行し始めた。
「ふぅ…少し緊張したな」
千里眼を解除して椅子に座る。距離があったからドラゴンの大きさは分からない。でも書物なんかで見たドラゴンはかなり大きい。人間の大人なら、一口で食べられてしまうだろう。
その後も千里眼を使ってみたけど、どうやら肉眼で見ている方向以外に、どんな場所でも見える事が分かった。
例えば俺は窓から外を見ている状況で、スィスルが何をしているかを見ることができる。まあ、他人の状況を覗き見てしまう事になるから使えないけど、考えれば良い使い方があるかもしれない。
その後、夕食を食べ終えて家族でリビングで寛いでいる時に、千里眼で遠くを見ていた時の事を話した。
「僕の部屋の窓の方向に山がありますよね?」
「山?…かなり遠いが、あるな。見えたのか?」
「はい」
「あの距離も見えるのか!直線距離を馬車で移動するにしても1ヶ月はかかる距離なんだが」
俺の言葉に父さんは驚く。
「そんなに遠いんですね!その山にドラゴンが見えたんですけど」
「色は?」
「白です」
「それは、その山を縄張りにしているドラゴンだろう」
「危険ですか?」
「いや…縄張りである山を荒らしに行かない限りは大丈夫だ。なぜだ?」
「見ていたら、こっちを見返してきたんです。偶然かもしれないけど、まるで僕が見ている事に気づいているようでした」
「ドラゴンの能力なら見られている事に気づく事もあり得る。その後はどうした?」
「少しの間、目が合ってたんですけど、途中で何事もなかったように飛んでいきました」
「そうか…助かったな。もしドラゴンが本気で迫ってきたら、大惨事になっていた」
ドラゴンはそんなに強いんだな。あの時、ドラゴンが見えた瞬間に、見る事を止めたら良かったのか。今後は気をつけよう。
ちなみに千里眼で対象となる人の現状を見れる事は黙っておいた。読心と同じでプライベートに干渉する事だからな。俺がそういう事ができると知ったら、気持ち悪がられるだろう。
やがて寝る時間になったので、俺は自室に向かい、着替えてからベッドに横になる。
「あとは千里眼で見れる距離か」
千里眼の実験で残っているものを考える。距離なら、俺が念動力で空高くに浮かび、そこからまっすぐ正面を千里眼で見る。この世界が地球と同じで丸いなら、俺の後頭部が見えてくる筈だ。でも誰にも協力してもらえないけどな。なにせ俺が危険にさらされる。結界を張れば大丈夫なんだけど、全員が止めてくるだろう。
「まあ、距離はおいおい調べていけば良いか」
そう考える事にした。
それにしても毎日、ほぼスキルの訓練ばかりだ。
それも超能力というスキルがこの世界では初めて見るものだからか、教えてくれる先生がいない。自分で検証し、確認していくしかない。
兄さんには伯爵を継ぐ為に、スィスルには魔法を使いこなせるようになる為に、それぞれ専門の先生がついている。一方の俺には専門の先生がいない。それが少し寂しい。
スキル自体は超能力で満足してるけど、特殊過ぎて先生がいないというのも辛いな。
1年後。俺が10歳になる日の夜。
『新たなスキルを解放します』
また新しいスキルが解放されたようだ。こんな事もあろうかと、起きておいた。寝ている時に声がすると驚くからな。これは慣れない。でも、一体いつになったらスキルが全て解放されるんだ?いくつあるか知らないけど、多くても少なくても、最初に全て発現していてほしかったな。
解放されたスキルは透視か。透視なー…使い勝手が難しいな。使う時といえば、襲撃されて、襲撃者がどんな武器を隠し持っているかを調べるくらいか。でも、どんな武器を持っていても結界があれば防げるし、読心を使えば作戦も分かるな。
透視がどれだけの事ができるかを実験していかないとな。
「とりあえず寝るか」
まずは寝る事にした。睡眠は大切だ。
翌朝。俺はベッドから起きて立ち上がり、袖を見る。
「まずは衣服から」
透視の使い方はスキルが解放された瞬間に分かっている。
徐々に袖が透けていき、腕が見えた。そこで透視を止めると、それ以上、透けることはなかった。
次は更に透かしてみよう。再び透視が始まると、俺の腕の皮膚が透け、肉が透け、骨が見えてきた。…結構、気持ち悪かった。そこから徐々に戻していき、今は全裸の状態だ。もちろん、服は着ているから、他人が見ても普通だ。
「不思議な感じだな」
今の状況に苦笑いしてしまう。
「何が不思議なんですか?」
「っ!?」
突然した声に驚いて後ろを見ると、そこにはアミスが立っていた!今、俺は透視を発動して、衣服が透けて見えるようになっている。つまり、目の前にいるアミスも全裸になっている…。そして俺の目の高さには、ちょうどアミスの胸が………エルフは基本的に胸が小さいはずなのに、ハーフエルフだからか、ほどよくある。
「…あの…服越しでも、そこまで胸を見られると恥ずかしいです…」
「あ!ごめん!」
つい見入ってしまった。駄目だ、自制しないと変態になってしまう。アミスは直に見られているとは気づいていないよな?気づかれてたら気まずい。俺は下は見ずに透視を解除した。
「ふぅ…」
「どうされたんですか?」
「ううん、なんでもないよ。それより、いつ部屋に入ったの?」
「先ほどです。声をかけて返事を頂いたから部屋に入ったんですけど、気づきませんでしたか?」
「…ごめん。スキルの練習で気づかなかった」
そういえばアミスの声がして返事をしたような気がする。自分の腕を透視して、骨が見えていたあたりだったかな。
「また新しいスキルですか?」
「ううん、今日は千里眼の方。遠くを見てたんだ」
「そうだったんですか」
当たり前だけど、透視の事は言わない。
「何か面白いものでも見えましたか?」
「うん、色々とね」
「それは良かったですね」
アミスはそう言って微笑む。絶対に本当の事は言えないな。彼女の笑顔が曇ってしまう。
さて、今日から透視の訓練をしようかな。勿論、皆には内緒でな。
9歳になる日の夜中、毎年恒例になった新しいスキル解放の言葉が脳内に聞こえた。
「相変わらず夜中に解放されるんだな。今度は千里眼か」
千里眼。遠くを見れる。肉眼で望遠鏡の役割ができるんだな。試すのは朝になってからだな。
翌朝。
「なに?また新しいスキルが?!」
「はい」
俺の報告に父さんが驚く。
「ラソマ兄様、凄いです!」
「まったくもって不思議なスキルだな」
「本当ね」
俺のスキル解放に家族が驚きの反応を見せるのは恒例行事になっている。
その後、俺は屋敷の自室に戻っていた。スキルの実験をするためだ。遠くが見えるスキルなら、庭は壁があるから見えないと思ったんだ。自室なら3階だから、壁の向こう側、遠くが見える。
「さて、試すか」
スキルの実験で1人きりなのは久しぶりだな。
まず、千里眼で森を見てみる。
「うおっ!」
急に視界が木を映し出したから驚いた!一気に遠くが見えてしまうのか。…いや、調整できるのかもしれない。
数分後、試行錯誤の末、ゆっくりと遠くが見えるようになった。これなら使いやすくなったな。
「どこまで遠くまで見えるかな」
そう思って、ずっと遠くまで千里眼を使う。すると肉眼では見えない距離にある山が見えた。この方向に山があるんだな。
「何か飛んでいるな…あれは………もしかしてドラゴン?」
前世の世界ではドラゴンが2種類いたな。今見えているのは西洋風のドラゴンだ。
あんなに大きいのに空を飛べるんだな。
そうして見ていると、不意にドラゴンが宙で停止し、こちらを見た。まるで俺と目が合っているみたいだ。
「まさか…俺が見ている事に気づいている?」
どうしようか考えているとドラゴンは俺の方を見る事をやめて、また飛行し始めた。
「ふぅ…少し緊張したな」
千里眼を解除して椅子に座る。距離があったからドラゴンの大きさは分からない。でも書物なんかで見たドラゴンはかなり大きい。人間の大人なら、一口で食べられてしまうだろう。
その後も千里眼を使ってみたけど、どうやら肉眼で見ている方向以外に、どんな場所でも見える事が分かった。
例えば俺は窓から外を見ている状況で、スィスルが何をしているかを見ることができる。まあ、他人の状況を覗き見てしまう事になるから使えないけど、考えれば良い使い方があるかもしれない。
その後、夕食を食べ終えて家族でリビングで寛いでいる時に、千里眼で遠くを見ていた時の事を話した。
「僕の部屋の窓の方向に山がありますよね?」
「山?…かなり遠いが、あるな。見えたのか?」
「はい」
「あの距離も見えるのか!直線距離を馬車で移動するにしても1ヶ月はかかる距離なんだが」
俺の言葉に父さんは驚く。
「そんなに遠いんですね!その山にドラゴンが見えたんですけど」
「色は?」
「白です」
「それは、その山を縄張りにしているドラゴンだろう」
「危険ですか?」
「いや…縄張りである山を荒らしに行かない限りは大丈夫だ。なぜだ?」
「見ていたら、こっちを見返してきたんです。偶然かもしれないけど、まるで僕が見ている事に気づいているようでした」
「ドラゴンの能力なら見られている事に気づく事もあり得る。その後はどうした?」
「少しの間、目が合ってたんですけど、途中で何事もなかったように飛んでいきました」
「そうか…助かったな。もしドラゴンが本気で迫ってきたら、大惨事になっていた」
ドラゴンはそんなに強いんだな。あの時、ドラゴンが見えた瞬間に、見る事を止めたら良かったのか。今後は気をつけよう。
ちなみに千里眼で対象となる人の現状を見れる事は黙っておいた。読心と同じでプライベートに干渉する事だからな。俺がそういう事ができると知ったら、気持ち悪がられるだろう。
やがて寝る時間になったので、俺は自室に向かい、着替えてからベッドに横になる。
「あとは千里眼で見れる距離か」
千里眼の実験で残っているものを考える。距離なら、俺が念動力で空高くに浮かび、そこからまっすぐ正面を千里眼で見る。この世界が地球と同じで丸いなら、俺の後頭部が見えてくる筈だ。でも誰にも協力してもらえないけどな。なにせ俺が危険にさらされる。結界を張れば大丈夫なんだけど、全員が止めてくるだろう。
「まあ、距離はおいおい調べていけば良いか」
そう考える事にした。
それにしても毎日、ほぼスキルの訓練ばかりだ。
それも超能力というスキルがこの世界では初めて見るものだからか、教えてくれる先生がいない。自分で検証し、確認していくしかない。
兄さんには伯爵を継ぐ為に、スィスルには魔法を使いこなせるようになる為に、それぞれ専門の先生がついている。一方の俺には専門の先生がいない。それが少し寂しい。
スキル自体は超能力で満足してるけど、特殊過ぎて先生がいないというのも辛いな。
1年後。俺が10歳になる日の夜。
『新たなスキルを解放します』
また新しいスキルが解放されたようだ。こんな事もあろうかと、起きておいた。寝ている時に声がすると驚くからな。これは慣れない。でも、一体いつになったらスキルが全て解放されるんだ?いくつあるか知らないけど、多くても少なくても、最初に全て発現していてほしかったな。
解放されたスキルは透視か。透視なー…使い勝手が難しいな。使う時といえば、襲撃されて、襲撃者がどんな武器を隠し持っているかを調べるくらいか。でも、どんな武器を持っていても結界があれば防げるし、読心を使えば作戦も分かるな。
透視がどれだけの事ができるかを実験していかないとな。
「とりあえず寝るか」
まずは寝る事にした。睡眠は大切だ。
翌朝。俺はベッドから起きて立ち上がり、袖を見る。
「まずは衣服から」
透視の使い方はスキルが解放された瞬間に分かっている。
徐々に袖が透けていき、腕が見えた。そこで透視を止めると、それ以上、透けることはなかった。
次は更に透かしてみよう。再び透視が始まると、俺の腕の皮膚が透け、肉が透け、骨が見えてきた。…結構、気持ち悪かった。そこから徐々に戻していき、今は全裸の状態だ。もちろん、服は着ているから、他人が見ても普通だ。
「不思議な感じだな」
今の状況に苦笑いしてしまう。
「何が不思議なんですか?」
「っ!?」
突然した声に驚いて後ろを見ると、そこにはアミスが立っていた!今、俺は透視を発動して、衣服が透けて見えるようになっている。つまり、目の前にいるアミスも全裸になっている…。そして俺の目の高さには、ちょうどアミスの胸が………エルフは基本的に胸が小さいはずなのに、ハーフエルフだからか、ほどよくある。
「…あの…服越しでも、そこまで胸を見られると恥ずかしいです…」
「あ!ごめん!」
つい見入ってしまった。駄目だ、自制しないと変態になってしまう。アミスは直に見られているとは気づいていないよな?気づかれてたら気まずい。俺は下は見ずに透視を解除した。
「ふぅ…」
「どうされたんですか?」
「ううん、なんでもないよ。それより、いつ部屋に入ったの?」
「先ほどです。声をかけて返事を頂いたから部屋に入ったんですけど、気づきませんでしたか?」
「…ごめん。スキルの練習で気づかなかった」
そういえばアミスの声がして返事をしたような気がする。自分の腕を透視して、骨が見えていたあたりだったかな。
「また新しいスキルですか?」
「ううん、今日は千里眼の方。遠くを見てたんだ」
「そうだったんですか」
当たり前だけど、透視の事は言わない。
「何か面白いものでも見えましたか?」
「うん、色々とね」
「それは良かったですね」
アミスはそう言って微笑む。絶対に本当の事は言えないな。彼女の笑顔が曇ってしまう。
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