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『猟奇的、美形兄は』
30:弟、拒否につき
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「まな、まなもお×××ん耳に入れる?」
「い、入れない」
愛都が、二個目のスイートポテトに手を伸ばすと、兄がまたトチ狂ったことを言いだす。
「なんで? 中々快て……うぐぐ」
どうやら、お×××ん型イヤホンはそんなに快適ではないようだ。
と、そこへ父帰宅の知らせが。
愛都はスイートポテトを加えながら、部屋から出て階下を覗き込む。
「パパ、お帰り!」
可愛く手を振る愛都。
続いて横に立つ兄が、
「父よ、よくぞ戻られた」
と頷いている。
──何時代の人?
愛都は思わず、兄を二度見する。
「なんだ、まな。この挨拶は今、原始人の間で流行っているんだ」
兄の言葉に、愛都はカレンダーを二度見した。
──待って、今何時代?
愛都は額を抑えた。どうやら、頭痛薬が必要なようだ、火急に!
「愛都、バカ息子。土産だ土産。早く降りて来い」
父が、ニコニコしながら二人を手招きする。
今さらだが、我が武藤家は家族が仲が良い(確かこの字だったはず……)。
「バカとは何だ、天才と言え。長男だぞ」
兄は、いつも通り抗議をしながら階段を下りて行く。愛都の経験上、兄のその抗議が通ったことは一度たりともない。
「バカ息子で充分だ。また、パンツ被って。俺の嫁に怒られるぞ」
兄も兄なら、義父も義父である。
──普通、自分の息子に向かって”俺の嫁”とは言わないだろう。
せいぜい”お母さん”が普通だと思うのだが。
しかしそんな常識、この武藤家には通用しない。
「嫁、帰ったぞ」
「あら、お帰りなさい。夕飯出来てるわよ」
動じない母が凄い。
「これは、土産だ」
またもや、箱には(株)原始人の文字が。まったくもって嫌な予感しかしない。
「父、これは?」
と珍しく興味を締めす、兄。
「おっ〇い型サラダだ」
「は?」
ダイニングテーブルの上で、箱を開ける父。色とりどりの野菜が二つのドームになって収まっていた。ドームの中央にはちょこんと乗ったプチトマト。相変わらずアダルトな盛り付け方だ。
「父よ、何故お尻型じゃないんだ!」
「俺はおっ〇い派だと言うておろう?父(乳)だけにな」
ダジャレを言って、ムフフと笑う父。
「OH!OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOッ!」
兄が、床に突っ伏し額をガシガシと打ち付ける。
「やかましい」
すかさず新聞紙を丸めたもので、母にひっぱたかれる、兄。
「まあ、プチトマトを食べてしまえば変わらない。ほら、食え」
父は悪そうな笑みを浮かべながら、兄の頬にプチトマトを押し付けた。
「父よ! お尻型にはニンジンが刺さっているんだ!」
──どんなアダルトな盛り付けだよ。
「お尻も、おっ〇いも変わらん、変わらん」
「変わる! 全然違う」
「ほら。プチトマトとったら尻だぞ」
「なるかああああ!」
「やかましい!」
兄は、再び母に引っ叩かれる。
「オカシイわねえ。こんなおバカな子産んだ覚えないのに」
母には顎に手をやり、ため息をつく。
──それはあながち、間違ってはいない。
産んだのは前妻だ、母よ。
「おお、おパンティよ(神よ)。なぜこんなことに……」
兄は、何故かおパンティに祈っていたのだった。
「い、入れない」
愛都が、二個目のスイートポテトに手を伸ばすと、兄がまたトチ狂ったことを言いだす。
「なんで? 中々快て……うぐぐ」
どうやら、お×××ん型イヤホンはそんなに快適ではないようだ。
と、そこへ父帰宅の知らせが。
愛都はスイートポテトを加えながら、部屋から出て階下を覗き込む。
「パパ、お帰り!」
可愛く手を振る愛都。
続いて横に立つ兄が、
「父よ、よくぞ戻られた」
と頷いている。
──何時代の人?
愛都は思わず、兄を二度見する。
「なんだ、まな。この挨拶は今、原始人の間で流行っているんだ」
兄の言葉に、愛都はカレンダーを二度見した。
──待って、今何時代?
愛都は額を抑えた。どうやら、頭痛薬が必要なようだ、火急に!
「愛都、バカ息子。土産だ土産。早く降りて来い」
父が、ニコニコしながら二人を手招きする。
今さらだが、我が武藤家は家族が仲が良い(確かこの字だったはず……)。
「バカとは何だ、天才と言え。長男だぞ」
兄は、いつも通り抗議をしながら階段を下りて行く。愛都の経験上、兄のその抗議が通ったことは一度たりともない。
「バカ息子で充分だ。また、パンツ被って。俺の嫁に怒られるぞ」
兄も兄なら、義父も義父である。
──普通、自分の息子に向かって”俺の嫁”とは言わないだろう。
せいぜい”お母さん”が普通だと思うのだが。
しかしそんな常識、この武藤家には通用しない。
「嫁、帰ったぞ」
「あら、お帰りなさい。夕飯出来てるわよ」
動じない母が凄い。
「これは、土産だ」
またもや、箱には(株)原始人の文字が。まったくもって嫌な予感しかしない。
「父、これは?」
と珍しく興味を締めす、兄。
「おっ〇い型サラダだ」
「は?」
ダイニングテーブルの上で、箱を開ける父。色とりどりの野菜が二つのドームになって収まっていた。ドームの中央にはちょこんと乗ったプチトマト。相変わらずアダルトな盛り付け方だ。
「父よ、何故お尻型じゃないんだ!」
「俺はおっ〇い派だと言うておろう?父(乳)だけにな」
ダジャレを言って、ムフフと笑う父。
「OH!OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOッ!」
兄が、床に突っ伏し額をガシガシと打ち付ける。
「やかましい」
すかさず新聞紙を丸めたもので、母にひっぱたかれる、兄。
「まあ、プチトマトを食べてしまえば変わらない。ほら、食え」
父は悪そうな笑みを浮かべながら、兄の頬にプチトマトを押し付けた。
「父よ! お尻型にはニンジンが刺さっているんだ!」
──どんなアダルトな盛り付けだよ。
「お尻も、おっ〇いも変わらん、変わらん」
「変わる! 全然違う」
「ほら。プチトマトとったら尻だぞ」
「なるかああああ!」
「やかましい!」
兄は、再び母に引っ叩かれる。
「オカシイわねえ。こんなおバカな子産んだ覚えないのに」
母には顎に手をやり、ため息をつく。
──それはあながち、間違ってはいない。
産んだのは前妻だ、母よ。
「おお、おパンティよ(神よ)。なぜこんなことに……」
兄は、何故かおパンティに祈っていたのだった。
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