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『猟奇的、美形兄は』
13:兄、難題につき
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何故か兄はお説教を食らわなかった。
家族四人テーブルを囲み一家団欒と言いたいところだが、半数が変態なため、団欒とは言い難く……。
「父よ」
「なんだ、息子よ」
変な親子だなと愛都は思いながら、お刺身を口に運ぶ。兄は先ほど骨付き肉に食らい付いていた。季節は冬間近だというのに、パンツ一丁である。一応暖房は入ってはいるが……。
「これはお尻型ではなく、胸型ではないか」
兄はじっとケーキを覗き込んで。
「似たようなものだろう?」
ケーキの箱には『スイーツ ”甘ふわ原始人”』と書いてある。相変わらず切るところが間違っているが。
これでは原始人が甘ふわのようだ。
「ぜんぜん違う! 父よ、俺は尻プリッ、胸平坦が好きなんだ」
「それ、生《なま》ものの好みでしょ?」
(いや、生き物だ! 父よ)
「胸も尻も変わらんて」
「全然ちが-う! 見よ、乳○がついている」
「とったらお尻だって」
「胸が尻になるかー!」
父と兄の謎の言い争いに、母は家の中であるにも関わらず、他人のフリをしている。愛都は不毛な言い争いにどうしていいのか分からず、刺身に夢中なフリをした。
「とりあえず、○首食べちゃえばいいよ」
父は箱をあけると、乳○部分をフォークで指し兄の口に押し付ける。
「ほら、あーん」
「待て、父よ」
「なんだ、息子よ」
「俺は尻が食べたいのに何故、乳○を押し当てられている?」
「何言ってるんだ、押し当てているからだろ?」
珍しく兄が眉を寄せ悲しげな顔をした。
「俺は乳○に関しては間に合っている」
「何言ってるんだ、間に合うとか間に合わないとかじゃないだろう? お尻にするために乳○を食えと言ってるんだ」
「父よ、尻が食いたいといっているのに、何故○首を押し付ける?おかしくないか?」
「問題ない、早く食え。息子よ」
何かがオカシイ。耐え切れず愛都は吹き出しそうになって口元を両手で押さえた。まるで”パパ素敵!”のようなタイミングだが致し方ない。兄は首を傾げながら、しぶしぶ乳○を口にしたのだった。
****
「息子よ、お尻になったぞ、ほら食え」
「なるかー!」
なるわけが無い。兄は諦め、他人のフリをする母に向き直った。
「母よ、お×××んは好きか? ……ぐはっ」
兄は母からすかさずスパコーンと新聞紙を丸めたものでひっぱたかれる。何故身内にセクハラを!? と、思ったら違ったらしい。
「俺の嫁になにセクハラしてるんだ。バカ息子よ」
「バカとは何だ、天才といえ」
──父と兄の会話が不毛すぎる。
さすが父子。
「父こそなんで尻が食いたいという息子に、おっ○いを押し付けて来るんだ!」
話だけ聞いていると卑猥だが、ただのケーキだ。
「おっ○いは男の夢だろ」
父の言葉に兄は嫌な顔をした。兄はお×××んとお尻が大好きである。
「美味しいね、このケーキ」
不毛な会話を終わらせようと横からフォークでケーキを突き刺すと、父と兄が愛都を二度見した。”何言ってるの、それおっ○いだから”とその目は言っている。
──いや、ケーキだから。
「俺はまなのお×××んが好きなんだ。おっ○いは好まない」
「お前、昔から愛都のお×××ん好きだよな」
父はお茶を一口飲んで。
「握って放さなかったもんな」
──なんだって?!
「”僕、まなのお×××んだいしゅき!”って…」
「ぶっ」
愛都はお茶を吹いた。
「目を離すとすぐ、愛都のパンツを脱がせるから大変だったんだぞ。愛都のお×××んが見たいと駄々をこねるし」
父はやれやれと手を広げると肩をすくめ。
──どんな子供だよ、一体。
「まなは、パンツ履いてないほうが可愛いんだ!」
兄がトチ狂ったことをいい始める。
「ああ、まなのお×××ん見たくなって来た。まな、見せてくれるね?」
「お兄ちゃんなに言ってるの?!きゃあああッ」
──パパとママの前で何してるの!
「まなのお×××んは、俺のもの。つまり、俺のお×××ん♡ ……ぐはッ」
「んなわけ、あるかーい!」
愛都は雑誌で、スパコーンと鼻血を吹いた兄をひっぱたく。父は二人を面白そうに眺めていたが、母は他人のふりをしている。
「どこで育て方、間違ったのかしら……」
と、母はため息を漏らしたのだった。
****
「そうだ、バカ息子よ。土産だ」
「俺のことは天才と呼べ」
その返事がすでにバカである。父が兄に声をかけたお陰でパンツを脱がされずに済んだ愛都は、ホッとしながらアイスティーに手を伸ばす。
「何、これ」
「新作のおパンティだ」
兄がみよーんとパンツを広げると『男は ”股間で語れ原始人”』とバックプリントされている。またしても切るところがオカシイ。
「父よ」
「なんだ、バカ息子」
「俺は今、チュッチュパンツにハマってるんだが」
「なんだそりゃ」
兄はパンツ一丁だったので”これ”といって股間を差した。父がそのパンツを覗き込む。例の股間にチュウしているような写真がプリントされたおパンティである。
「邪道だバカ息子、男なら股間で勝負」
「母が”お×××んは嫌いだ”というので、仕方なくおパンティを装着している」
兄はチラッと母のほうへ目を向け、不服そうだ。
「あら、わたしは嫌いなんて言ってないわよ」
母が会話に乱入し、面倒なことになりそうな予感がする。
「じゃあ、好きなのか?」
兄がパンツを脱ごうとしたが、それを止める父。
「おい、人の嫁にお×××んを見せるな」
なんだか、ややこしいことになり始めた。
「息子のお×××んなんか見てもしょうがないでしょ!」
と、ぷいっと横を向く母。
「誰のが見たいんだ!」
と、兄。
「え? そりゃあ…ピーーーーー(芸能人名)」
我が家は案の定、炎上した。
****
「お兄ちゃんのせいで、パパとママがバトルしてるじゃないかッ」
兄とケーキを掴み、愛都は子供部屋へ。ケーキをおきっぱなしにしておくと投げかねないので持参した。
「俺は関係ないぞ?」
大かた兄のせいである。堂々と関係ないと言い張る兄に愛都は額を押さえた。
「そんな事より、お客様感謝祭とかで”原始人”から新作のおパンティが届いたぞ」
原始人は社名であり、原始人が送ってきたわけではない。ややこしいな。
「うっほ!」
兄が箱を開け喜びの声を上げるが、その喜び方は原始人を通り越してゴリラだ。
「見よ、まな!これは堪らん」
ピンクのスケスケおパンティの前には、お×××んを通す穴が空いている。究極のド変態おパンティである。とんでもないものを送ってくる会社だなと、愛都が頭を抱えたのは言うまでもない。
「で、お兄ちゃん。何してるの?」
兄は胸に”おパンティ命”とかかれたバスタオルを抱え、パンツ一丁で正座をし姿勢を正している。
「お×××んタイムを待っている」
「ぶっ」
愛都は紅茶を吹いた。なんだそれは。
「まなのお×××んを堂々と、じっくり眺められるハッピータイムだ」
「なにそれ!」
「知らんのか?」
その時テレビでは、時刻合わせの秒読みをしていた。
「きたあああああああ!」
「うん?」
『ぽ・ぽ・ぽ・ぽーん』
時刻は十九時に。
「京也、愛都、お風呂入っちゃいなさい」
階下から母の声が。兄にガシっと腕を掴まれる愛都。
「まな! お×××んを出す時がきたあああああ!」
「ちょっ……タオルッ」
「タオルならある」
「そのタオルいやああああああ!」
「まなには”お×××ん命”のほうをやる」
「もっといやああああああああ!」
リビングではワーグナーの”ワルキューレの騎行”が流れているが、こっちは”兄の奇行”だ!
****
「ちょっと!何してるの」
兄は脱衣所で愛都の前に正座をし、スマホを構えて全裸待機状態。
「早く、スプラッタするんだ」
「はい?」
「間違った、ストリップだ。早くおパンティを脱ぎたまえ」
愛都はしぶしぶズボンに手をかける。お風呂に入るためであってストリップではない。断じてちがう。
「早くおパンティを! ……ぐふっ」
「ちょっと静かにして」
あまりに煩いので兄に蹴りを入れると兄は悶絶した。
「まなの激しさクセになりそう」
ただのド変態である。
家族四人テーブルを囲み一家団欒と言いたいところだが、半数が変態なため、団欒とは言い難く……。
「父よ」
「なんだ、息子よ」
変な親子だなと愛都は思いながら、お刺身を口に運ぶ。兄は先ほど骨付き肉に食らい付いていた。季節は冬間近だというのに、パンツ一丁である。一応暖房は入ってはいるが……。
「これはお尻型ではなく、胸型ではないか」
兄はじっとケーキを覗き込んで。
「似たようなものだろう?」
ケーキの箱には『スイーツ ”甘ふわ原始人”』と書いてある。相変わらず切るところが間違っているが。
これでは原始人が甘ふわのようだ。
「ぜんぜん違う! 父よ、俺は尻プリッ、胸平坦が好きなんだ」
「それ、生《なま》ものの好みでしょ?」
(いや、生き物だ! 父よ)
「胸も尻も変わらんて」
「全然ちが-う! 見よ、乳○がついている」
「とったらお尻だって」
「胸が尻になるかー!」
父と兄の謎の言い争いに、母は家の中であるにも関わらず、他人のフリをしている。愛都は不毛な言い争いにどうしていいのか分からず、刺身に夢中なフリをした。
「とりあえず、○首食べちゃえばいいよ」
父は箱をあけると、乳○部分をフォークで指し兄の口に押し付ける。
「ほら、あーん」
「待て、父よ」
「なんだ、息子よ」
「俺は尻が食べたいのに何故、乳○を押し当てられている?」
「何言ってるんだ、押し当てているからだろ?」
珍しく兄が眉を寄せ悲しげな顔をした。
「俺は乳○に関しては間に合っている」
「何言ってるんだ、間に合うとか間に合わないとかじゃないだろう? お尻にするために乳○を食えと言ってるんだ」
「父よ、尻が食いたいといっているのに、何故○首を押し付ける?おかしくないか?」
「問題ない、早く食え。息子よ」
何かがオカシイ。耐え切れず愛都は吹き出しそうになって口元を両手で押さえた。まるで”パパ素敵!”のようなタイミングだが致し方ない。兄は首を傾げながら、しぶしぶ乳○を口にしたのだった。
****
「息子よ、お尻になったぞ、ほら食え」
「なるかー!」
なるわけが無い。兄は諦め、他人のフリをする母に向き直った。
「母よ、お×××んは好きか? ……ぐはっ」
兄は母からすかさずスパコーンと新聞紙を丸めたものでひっぱたかれる。何故身内にセクハラを!? と、思ったら違ったらしい。
「俺の嫁になにセクハラしてるんだ。バカ息子よ」
「バカとは何だ、天才といえ」
──父と兄の会話が不毛すぎる。
さすが父子。
「父こそなんで尻が食いたいという息子に、おっ○いを押し付けて来るんだ!」
話だけ聞いていると卑猥だが、ただのケーキだ。
「おっ○いは男の夢だろ」
父の言葉に兄は嫌な顔をした。兄はお×××んとお尻が大好きである。
「美味しいね、このケーキ」
不毛な会話を終わらせようと横からフォークでケーキを突き刺すと、父と兄が愛都を二度見した。”何言ってるの、それおっ○いだから”とその目は言っている。
──いや、ケーキだから。
「俺はまなのお×××んが好きなんだ。おっ○いは好まない」
「お前、昔から愛都のお×××ん好きだよな」
父はお茶を一口飲んで。
「握って放さなかったもんな」
──なんだって?!
「”僕、まなのお×××んだいしゅき!”って…」
「ぶっ」
愛都はお茶を吹いた。
「目を離すとすぐ、愛都のパンツを脱がせるから大変だったんだぞ。愛都のお×××んが見たいと駄々をこねるし」
父はやれやれと手を広げると肩をすくめ。
──どんな子供だよ、一体。
「まなは、パンツ履いてないほうが可愛いんだ!」
兄がトチ狂ったことをいい始める。
「ああ、まなのお×××ん見たくなって来た。まな、見せてくれるね?」
「お兄ちゃんなに言ってるの?!きゃあああッ」
──パパとママの前で何してるの!
「まなのお×××んは、俺のもの。つまり、俺のお×××ん♡ ……ぐはッ」
「んなわけ、あるかーい!」
愛都は雑誌で、スパコーンと鼻血を吹いた兄をひっぱたく。父は二人を面白そうに眺めていたが、母は他人のふりをしている。
「どこで育て方、間違ったのかしら……」
と、母はため息を漏らしたのだった。
****
「そうだ、バカ息子よ。土産だ」
「俺のことは天才と呼べ」
その返事がすでにバカである。父が兄に声をかけたお陰でパンツを脱がされずに済んだ愛都は、ホッとしながらアイスティーに手を伸ばす。
「何、これ」
「新作のおパンティだ」
兄がみよーんとパンツを広げると『男は ”股間で語れ原始人”』とバックプリントされている。またしても切るところがオカシイ。
「父よ」
「なんだ、バカ息子」
「俺は今、チュッチュパンツにハマってるんだが」
「なんだそりゃ」
兄はパンツ一丁だったので”これ”といって股間を差した。父がそのパンツを覗き込む。例の股間にチュウしているような写真がプリントされたおパンティである。
「邪道だバカ息子、男なら股間で勝負」
「母が”お×××んは嫌いだ”というので、仕方なくおパンティを装着している」
兄はチラッと母のほうへ目を向け、不服そうだ。
「あら、わたしは嫌いなんて言ってないわよ」
母が会話に乱入し、面倒なことになりそうな予感がする。
「じゃあ、好きなのか?」
兄がパンツを脱ごうとしたが、それを止める父。
「おい、人の嫁にお×××んを見せるな」
なんだか、ややこしいことになり始めた。
「息子のお×××んなんか見てもしょうがないでしょ!」
と、ぷいっと横を向く母。
「誰のが見たいんだ!」
と、兄。
「え? そりゃあ…ピーーーーー(芸能人名)」
我が家は案の定、炎上した。
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「お兄ちゃんのせいで、パパとママがバトルしてるじゃないかッ」
兄とケーキを掴み、愛都は子供部屋へ。ケーキをおきっぱなしにしておくと投げかねないので持参した。
「俺は関係ないぞ?」
大かた兄のせいである。堂々と関係ないと言い張る兄に愛都は額を押さえた。
「そんな事より、お客様感謝祭とかで”原始人”から新作のおパンティが届いたぞ」
原始人は社名であり、原始人が送ってきたわけではない。ややこしいな。
「うっほ!」
兄が箱を開け喜びの声を上げるが、その喜び方は原始人を通り越してゴリラだ。
「見よ、まな!これは堪らん」
ピンクのスケスケおパンティの前には、お×××んを通す穴が空いている。究極のド変態おパンティである。とんでもないものを送ってくる会社だなと、愛都が頭を抱えたのは言うまでもない。
「で、お兄ちゃん。何してるの?」
兄は胸に”おパンティ命”とかかれたバスタオルを抱え、パンツ一丁で正座をし姿勢を正している。
「お×××んタイムを待っている」
「ぶっ」
愛都は紅茶を吹いた。なんだそれは。
「まなのお×××んを堂々と、じっくり眺められるハッピータイムだ」
「なにそれ!」
「知らんのか?」
その時テレビでは、時刻合わせの秒読みをしていた。
「きたあああああああ!」
「うん?」
『ぽ・ぽ・ぽ・ぽーん』
時刻は十九時に。
「京也、愛都、お風呂入っちゃいなさい」
階下から母の声が。兄にガシっと腕を掴まれる愛都。
「まな! お×××んを出す時がきたあああああ!」
「ちょっ……タオルッ」
「タオルならある」
「そのタオルいやああああああ!」
「まなには”お×××ん命”のほうをやる」
「もっといやああああああああ!」
リビングではワーグナーの”ワルキューレの騎行”が流れているが、こっちは”兄の奇行”だ!
****
「ちょっと!何してるの」
兄は脱衣所で愛都の前に正座をし、スマホを構えて全裸待機状態。
「早く、スプラッタするんだ」
「はい?」
「間違った、ストリップだ。早くおパンティを脱ぎたまえ」
愛都はしぶしぶズボンに手をかける。お風呂に入るためであってストリップではない。断じてちがう。
「早くおパンティを! ……ぐふっ」
「ちょっと静かにして」
あまりに煩いので兄に蹴りを入れると兄は悶絶した。
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ただのド変態である。
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