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『猟奇的、美形兄は』

8:弟、盗聴につき【R】

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「おはよ」
 盗聴器と共に登校の月曜日。
 悪夢の一週間が始まる。

──そもそも、こんなものをつけてどうしたいのだろうか?
 兄のことが謎である。
 トイレに行く時は、スマホを置いていこう。

 三時間目までは平和だった。
 それは体育で着替えようとしていたときに起こる。学生ズボンをおろし、体育ズボンを持ち下をみたら、兄の顔があった。
「ひいいいいいいい!」
 どっから出てきたのか、愛都の股の下に寝転がって股間を見つめている。
「な、何してるの!」
「まなのお×××んが見れるチャンスを察知して来たんだよ。大学からフルスピードで。ラッキーチャンスかと思って」
 キチガイである。

「朝だって夜だって見てるでしょ!」
 極めて小声で話しているが、クラスメイトがこちらをこわごわと伺っている。しかも愛都は上は体操着、下はパンツである。
「体育のときはイチイチパンツ脱がないから! もう帰って」
「いつ、おパンティのゴムが切れてラッキースケベが発生するかわからないから、ここでズボンを無事に履くのを待ってるよ」
 親指を立てドヤ顔をしているが、ただの変態だ。あまりにも履きづらい状況だったので、他のクラスメイトには先に出てもらったが、兄と二人きり。ズボンがちゃんと履けるのか謎である。

 片足をあげズボンに通そうとするが
「ああ、もうチョイ。形が分かるよぅ」
 足元で中継されている為、ぎこちない動きになる。そして案の定、足が引っかかり兄の顔の上に、ふにゃっと尻持ちをついた。
「柔らかいお玉ちゃんがお鼻に乗ってるう」
「ひやあッ!」
 兄はドサクサにまぎれて愛都のモンキーバナナをなでなでし始める。
「何処触って!」
「ああ、やっぱりラッキースケベ。今日の俺はついている。最高だ!」
「お×××んをむにゅむにゅしないでぇ」
 どうやら体育にはいけそうに無い。
「ああ、小さいお×××んが新鮮になってきたよ……ごふっ」
「やかましい!」
 どうやら元気になってはいけないところが元気になったようだ。

「きゃあああ!」
 愛都は兄の顔の上から腰を上げようとして大変なことになった。何故か兄がガシっとパンツを掴んでいた為、お尻がぺろんする。
「ラッキースケベ!」
 兄は大喜びだが、どう考えても兄のせいだ。
「おパンティから、桃尻が出てきた!」
「何言ってんの! お兄ちゃんがパンツ掴んでるからでしょ」
「おパンティと言え!」
 何だかどうでもイイ。

「わお!モンキーバナナも”こんにちは!”してるう」
 全て兄のせいである。
「ラッキースケベ最高!」
 意図的にラッキーもクソもない。
「おおおお!やわらか卵ちゃんもこんにちは!」
 兄のせいで下半身が丸出しになった。上は体操着、下半身丸出し。どう考えても変質者である。しかも兄が弄ったせいで、大事なところは元気。
 
 もう一度、声を大にしていうが、全て兄のせいである。

「もー! 責任取ってよね」
 愛都はさすがに腹を立て、喜ぶ兄の口に自分自身を押し付けた。
「ふにゅにゅ」
「早くペロペロして!」
「まなは激しいんだから」
 偉く嬉しそうだ。
 しかし愛都が激しいのは大かた兄のせい。
「ッ!」
 用意周到! 兄はいつの間にか指にたっぷりとジェルをつけ愛都の蕾にツプっと差し込んだ。
「やあああッ……んんッ」

ラッキースケベどころではない。
「まなのお×××ん、可愛い、最高!」
「んんッ」
「今日は最高の日だよ、まな」

──いやいや、最悪だ!

「さあ、お兄ちゃんとラッキースケベを共有しよう」
「ちょっ!まっ…」
 どうやら更衣室でラッキースケベエッチになだれ込むらしい。
 どう考えても計画的、アンラッキーだ!

「ラッキースケベがこんなに順調だったとは知らなかった」
 相変わらずトチ狂ったことを言う兄に反論する気も起きない。そもそも、計画的スケベなのに。
「まな、そろそろビックマグナムと合体しようね」

──だから、それマシンガンでしょ。

「んんんッ」
 学校の更衣室で強制ラッキースケベに見舞われ、変質者のようなカッコで兄と合体するはめになるとは。
「ほらほら、気持ちい」
 数度経験した兄は超早漏から脱出したらしい。何だか悔しい。しかしこっちには奥の手がある。
「あああッ」
 対面騎乗位はこちらに軍配が上がりそうだ。兄の耳元でエッチな声を出し、蕾をぎゅっと締め付けてみる。
「まなあっ。締め付けだめっ」

──ほらね。
 お兄ちゃんは童貞卒業したばかりで、まだひよっこなんだから。
 生意気は許さないよ?

「あッ……あッ……いいッ」
 愛都は腰を動かし、主導権を握ろうとしたが
「まな!」
 がしっと腰を掴まれた。
「お、おに……うううんっ……お兄ちゃんが主導権をにぎにぎするって言ってるでしょ」
 そんなに握り込んでどうするつもりだ。
「早くぅ」
 愛都も負けてはいない。耳元で厭らしい声で煽る。
「はあああっ! まな。エッチな声禁止」
 
──エッチな声禁止のエッチって一体……。

「お兄ちゃんッ……僕のお×××んくちゅくちゅしてえッ」
 愛都は聞こえていないフリをし、股間を兄にスリスリした。ここで負けたら政権交代は免れない。愛都エッチ党、構造改革。断じて負けるわけにはいかない。
(何の争いだ)
「あああ!まなっ」
 どうやら兄は敗北したらしい。愛都は余裕の笑みで腰をゆすり始めたのだった。

「とんでもない災難だったよ」
 愛都は兄のトチ狂った行動のせいで、早退する破目になった。せっかく唯一の友人と学食でご飯を楽しみにしていたのにと膨れていると、兄が昼をご馳走してくれるという。まあ、当然である。全て兄のせいなのだから
「最高のラッキースケベだった」
 兄はルンルンで車を運転している。

──いや、どう考えても無理矢理スケベだよね?

 愛都は納得いかないというように窓の外を眺めていた。
「で、何が食べたい?マンモスの肉?」
「ブッ」
 兄の質問に愛都は吹いた。てっきり冗談だと思っていたらマンモスの肉はテンプレのようだ。何人だよ、とツッコミを入れようとしたがめんどうなことになりそうだったので、黙っていることにしたのだが。
「よし、ステーキにしよう」
 看板には『ステーキ ”厚切り原始人”』と書いてある。

──ちょ、ちょっと待って。
 その表記だと原始人が厚切りみたいになってるけど大丈夫なの?
 正しくは『ステーキ厚切り ”原始人”』だよね?
 切るとこ間違ってるよね?どう考えても。

 愛都はどうもツッコミたい衝動に駆られるが、トラップかも知れないと我慢した。また変なスケベが発動しても困る。一応ズボンのベルトが切られていないのを確認してから車を降りようとしたのだが、何故かこちら側に歩いて来た兄が縁石に躓き、車から降りた愛都の股間に頭から突っ込んだ。
「ラッキイイイイイイイスウウウウウケエエエベエエ!」
「ちょっ」
 駐車場で喜ぶ兄。愛都は額を押さえた。

──そもそも何故こちら側に来ようとした?
 何故、縁石にタイミングよく躓いた?
 まさか計画的じゃないだろうね?

「今日はラッキーが続くね」
 兄は愛都の股間に頬ずりをしている。もはやただの変態だ。
「何でもいいけど、駐車場で僕の股間に頬づりしないでよ」
 ため息をつくと何故か、兄が悲しそうな表情をした。
「え?どうしたの?」
「バナナが小さすぎて感触がいまい……ぐふッ」
 心配して損したと、兄の頭をペシッとひっぱたいたのだった。
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