R18【同性恋愛】リーマン物語if2『万年筆が繋ぐ愛』

crazy’s7@体調不良不定期更新中

文字の大きさ
上 下
22 / 48
3話『皇と修二』

3 火急の連絡

しおりを挟む
****♡Side・課長(唯野 修二)

 ベッドに腰かけていると、無言で隣に塩田が座る。修二は膝を抱える彼の髪を、サラリと撫でた。
「今日もしないのか?」
 そんな風に求められると、逆に困る。触れたいのは山々だ。なのに何故、こんな気持ちになるのだろう。自分はもっと責められたかったのかも知れない。
「塩田はしたい?」
 バカだな自分は、と思った。なんでこんなことを聞いてしまうのだろう。彼に好かれているという事を、確かめようとしてしまうのか。塩田はじっと修二を見つめる。そして、
「当たり前だろ」
と一言。

 気がつけば、彼を衝動的に押し倒していた。
「好きだよ」
 誰よりも。修二はその気になって、口づけようとしたが、胸ポケットに入れていたスマホが鳴る。

───何故、こんな時に。くッ!

 修二は、心の中で肩を落としつつ、胸ポケットのスマホを取り出した。そんな修二に、ちゅっと口づける、塩田。
「ちょ……」
 動揺しつつも、スマホを耳に充てると相手は皇だった。
『今、大丈夫?』
 彼の気落ちした声。修二はなんだか嫌な予感がした。
「なにかあったのか?」
 ベッドから降りると窓際へ。塩田にはきっと聞かれたくない話だろう。
『社長につき合おうと言われた』
「は?」

───なんでそうなったんだ? そうならないように、努力してきたはずなのに。

「まさか、承諾したわけじゃないよな?」
『え?』
 焦って声を荒げた修二に、むぎゅっと後ろから抱きつく塩田。まるで、落ち着けとでも言うように。
「ダメだぞ、皇」
『でも、唯野さんが社長からパワハラされてるのは、俺のせいなんでしょ?』
「そんなんじゃない」
 皇を守るために努力してきた。少なくとも、そのつもりだ。もしここで彼が社長のいいなりになってしまったら。今までしてきたことは、全て無駄になる。それに社長は、一度手にしたものを手放したりはしないはずだ。一生、皇は社長の好きにされることになる。飽きるまで。

───そんなことさせられない。そんなこと、俺は望んでない。

「頼むから……承諾なんてするな」
『社長は俺が受ければもう、唯野さんには何もしないと誓った』
「やめろ」
 震える声で止める。そんなこと、やめさせなければいけない。
『唯野さん、なんで…』
「全部話すから。早まったことしないでくれ」
 祈るような気持ちで彼に懇願した。もう自分と社長の間に、何があったのか話すべき時が来たのだと思う。皇は理由も知らずに納得はしないであろう。
「話すから、ちゃんと。まずは帰って来い」
『わかった』
 通話を切ると、塩田が不安そうにこちらを見ていた。修二はそんな彼をぎゅっと、抱きしめたのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

エリート上司に完全に落とされるまで

琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。 彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。 そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。 社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

仕事ができる子は騎乗位も上手い

冲令子
BL
うっかりマッチングしてしまった会社の先輩後輩が、付き合うまでの話です。 後輩×先輩。

家族になろうか

わこ
BL
金持ち若社長に可愛がられる少年の話。 かつて自サイトに載せていたお話です。 表紙画像はぱくたそ様(www.pakutaso.com)よりお借りしています。

あなたと過ごした五年間~欠陥オメガと強すぎるアルファが出会ったら~

華抹茶
BL
子供の時の流行り病の高熱でオメガ性を失ったエリオット。だがその時に前世の記憶が蘇り、自分が異性愛者だったことを思い出す。オメガ性を失ったことを喜び、ベータとして生きていくことに。 もうすぐ学園を卒業するという時に、とある公爵家の嫡男の家庭教師を探しているという話を耳にする。その仕事が出来たらいいと面接に行くと、とんでもなく美しいアルファの子供がいた。 だがそのアルファの子供は、質素な別館で一人でひっそりと生活する孤独なアルファだった。その理由がこの子供のアルファ性が強すぎて誰も近寄れないからというのだ。 だがエリオットだけはそのフェロモンの影響を受けなかった。家庭教師の仕事も決まり、アルファの子供と接するうちに心に抱えた傷を知る。 子供はエリオットに心を開き、懐き、甘えてくれるようになった。だが子供が成長するにつれ少しずつ二人の関係に変化が訪れる。 アルファ性が強すぎて愛情を与えられなかった孤独なアルファ×オメガ性を失いベータと偽っていた欠陥オメガ ●オメガバースの話になります。かなり独自の設定を盛り込んでいます。 ●最終話まで執筆済み(全47話)。完結保障。毎日更新。 ●Rシーンには※つけてます。

処理中です...