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3話『皇と修二』
1 修二と塩田
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****♡side・塩田
「大丈夫だから」
そういって、塩田を安心させようとする皇。以前から、修二と皇の関係は不思議でしかなかった。自分には話してくれない、会社の事情。話して貰ったところできっと自分には、何もできない。
皇は一緒に昼食を取ると、少し仮眠すると言ってベッドルームに向かった。ここは塩田のマンションではあるが、三人でルームシェアでもしているような錯覚に陥る。自分は構って欲しいタイプではないが、皇と修二に構われるのは嫌ではなかった。
『社長に呼ばれた。このことは皇には、言うな』
修二はそう言って、部屋を出て行ったのだ。だから社長に呼ばれたとは言えなかったが、予想はついてるのだろう。皇は察しのいい人だ。
「ただいま」
皇が仮眠に入り、三十分もしないうちに修二が帰宅する。
「ん? どうした」
玄関に出迎え軽く両手を拡げれば、抱きしめてくれた。休日だと言うのに、わざわざスーツを着て出社しなければならない。とても面倒だろうと思った。
『塩田の家に、一着置いておいて良かったよ』
と、出がけに彼は笑う。
ネクタイくらいは貸せるが、華奢な塩田は着やせする筋肉質の修二とは体系が違う。
「甘えん坊か? 可愛いな」
ヨシヨシと背中をポンポンしてくれる。
「さっき皇からメッセージが来て、昼飯あるから要らないぞって言われたんだが」
皇はマメな奴だなと言いながら、彼はネクタイに指をかけつつ、リビングに向かう。塩田のマンションは、入ってすぐに右にトイレや風呂などの水回りがあり、その向かい側である左側に客間が二つある。滅多に使われない部屋だ。
玄関から続く廊下をまっすぐ行くと、リビングダイニング。キッチンと繋がっていて、システムキッチンにカウンターもある。広々としたキッチンスペース。
ダイニングには六人掛けのテーブルがあり、リビングには七人掛けられるソファーセット。一人暮らしではあるが、かなり広い作りだ。リビングの奥にあるのがベッドルーム。ウオークインクローゼットもついていた。
会社から徒歩五分という事もあり、同僚などが遊びに来ることもある。
塩田は愛想がなく塩対応だが、冷たいというわけではない。何故かとても人に好かれ、構われる。お得な性格である。現に入社当時は残業が多く、同僚の”電車《でんま》 紀夫”が泊まることも多かった。
現在、(株)原始人では、二時間までしか残業が出来ない。八時には会社が完全にしまってしまうのだ。これはほぼ、苦情係のせいでそうなったといっても過言ではない。今では残業しない代わりに、課で飲みに行くことも増えた。
その為、遅くなって塩田の家に外泊することもある。しかしそれも修二の婚姻が発覚し、皇がしょっちゅう家に来るようになってからは減ったのだ。それまで課長である修二が、皆を誘っていたからだ。
「お、美味そうじゃん」
修二は、総菜を綺麗に盛り合わせた皿に視線を移して。
彼は、いつだって全部一人で抱え込む。いつか壊れてしまうのではないかと、塩田は心配になるが口下手な自分には、ただ彼の傍に居ることしかできなかったのである。
「大丈夫だから」
そういって、塩田を安心させようとする皇。以前から、修二と皇の関係は不思議でしかなかった。自分には話してくれない、会社の事情。話して貰ったところできっと自分には、何もできない。
皇は一緒に昼食を取ると、少し仮眠すると言ってベッドルームに向かった。ここは塩田のマンションではあるが、三人でルームシェアでもしているような錯覚に陥る。自分は構って欲しいタイプではないが、皇と修二に構われるのは嫌ではなかった。
『社長に呼ばれた。このことは皇には、言うな』
修二はそう言って、部屋を出て行ったのだ。だから社長に呼ばれたとは言えなかったが、予想はついてるのだろう。皇は察しのいい人だ。
「ただいま」
皇が仮眠に入り、三十分もしないうちに修二が帰宅する。
「ん? どうした」
玄関に出迎え軽く両手を拡げれば、抱きしめてくれた。休日だと言うのに、わざわざスーツを着て出社しなければならない。とても面倒だろうと思った。
『塩田の家に、一着置いておいて良かったよ』
と、出がけに彼は笑う。
ネクタイくらいは貸せるが、華奢な塩田は着やせする筋肉質の修二とは体系が違う。
「甘えん坊か? 可愛いな」
ヨシヨシと背中をポンポンしてくれる。
「さっき皇からメッセージが来て、昼飯あるから要らないぞって言われたんだが」
皇はマメな奴だなと言いながら、彼はネクタイに指をかけつつ、リビングに向かう。塩田のマンションは、入ってすぐに右にトイレや風呂などの水回りがあり、その向かい側である左側に客間が二つある。滅多に使われない部屋だ。
玄関から続く廊下をまっすぐ行くと、リビングダイニング。キッチンと繋がっていて、システムキッチンにカウンターもある。広々としたキッチンスペース。
ダイニングには六人掛けのテーブルがあり、リビングには七人掛けられるソファーセット。一人暮らしではあるが、かなり広い作りだ。リビングの奥にあるのがベッドルーム。ウオークインクローゼットもついていた。
会社から徒歩五分という事もあり、同僚などが遊びに来ることもある。
塩田は愛想がなく塩対応だが、冷たいというわけではない。何故かとても人に好かれ、構われる。お得な性格である。現に入社当時は残業が多く、同僚の”電車《でんま》 紀夫”が泊まることも多かった。
現在、(株)原始人では、二時間までしか残業が出来ない。八時には会社が完全にしまってしまうのだ。これはほぼ、苦情係のせいでそうなったといっても過言ではない。今では残業しない代わりに、課で飲みに行くことも増えた。
その為、遅くなって塩田の家に外泊することもある。しかしそれも修二の婚姻が発覚し、皇がしょっちゅう家に来るようになってからは減ったのだ。それまで課長である修二が、皆を誘っていたからだ。
「お、美味そうじゃん」
修二は、総菜を綺麗に盛り合わせた皿に視線を移して。
彼は、いつだって全部一人で抱え込む。いつか壊れてしまうのではないかと、塩田は心配になるが口下手な自分には、ただ彼の傍に居ることしかできなかったのである。
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