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12『惹かれ合って結ばれて』
4 心をかき乱さないで【微R】
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****side■塩田
「紀夫……ちょ、まっ……」
「だめ。今日はお仕置きだから俺の好きにするよ?」
「んんッ……」
塩田は大きく開かれた自分の股から目を逸らし、ぎゅっと目を瞑る。電車の指先はつつつと塩田自身を撫で上げ、舌先が最奥の蕾を這う。
何度されても恥ずかしい行為だと思う。
自分ですら見たことのないところを舐められるのは。
快感に身を捩り胸を反らせば、
「何、まだ恥ずかしいの? 大丈夫。綺麗なピンク色だよ」
と更に羞恥を煽られる。
「恥ずかしいこと……云うなよ」
涙目で訴えるも、優しい笑みを返されただけ。
「大好きなんだよ、塩田のことが。だから可愛いトコいっぱい見たいの」
「何言ってんだかわかんな……」
恥ずかしい部分を人差し指と親指で拡げられ言葉に詰まる塩田。
「や……ああッ」
舌を差し込まれ、入り口をかき回されると我知らず甘い声が漏れた。
慌てて腕で口元を覆う塩田の胸に片腕を伸ばす、彼。
「塩田は色白だから、ここも綺麗な色だよね」
「もうッ……黙って」
体質も相まって、友人がいない上にインドア派だった塩田は確かに日焼けし辛い。汚いと言われるよりかはマシだが、綺麗と言われるのも恥ずかしいものだと思う。
「なんだよ、可愛いのに」
彼はくすりと笑うと肩を竦めた。
「指挿れるよ? 力抜いててね」
散々嘗め回され、ぐったりしている塩田に次の一言。
いちいち言わなくていいのにとは思うが、それがきっとお仕置きという奴なのだろうと理解し塩田は黙った。
「んんッ……あ……」
ジェルの冷たい感触と指の挿入される異物感。
初めの頃はなかなか慣れなかったが、気持ちがいいことを知ってしまった今は馴染むのも早くなった気がする。
口では意地悪ばかり言う今日の彼でも行為は慎重。
元々挿れる場所ではないのだ。迂闊なことをして傷ついてしまっては大惨事。
何度もジェルを継ぎ足しているうちに卑猥な音が部屋に響きだす。
欲情の熱でぼんやりとした頭。ふといけない疑問が脳裏を過った。
”皇ならどんな風に自分を抱くのだろうか?”
ロマンチストで雰囲気を大事にするような男だ。
その上プライドも高い。
十分に演出に配慮するに違いない。
それに引き換え、反応も薄く感情表現も苦手な自分。
その演出に十分な感想も述べられないだろう。
──うん。合わなさそうだな……。
確かに今の彼には惹かれる部分もある。それは否めない。
あの余裕と配慮はまるで砂糖菓子のように甘い罠だ。
その奥に隠された情熱に触れたくなってしまうのだから。
電車紀夫は優しい。いつだって綿菓子のように甘く優しく塩田を包んでくれる。とてもとても大事にしてくれるのだ。
仮に想像でも浮気はイケナイ。
塩田は心の中で頭をぶんぶんと振り、自分の想像をかき消した。
そして自覚する。
再確認する。
自分の心をこんな風にかき乱す存在だからこそ、電車が不安に感じていることを。
「紀夫」
「うん?」
「なあ……早く欲しい」
こんな自分を繋ぎとめていて欲しいと思う。
よそ見なんてできないほど愛されたいと願う。
「可愛い。どうしたの?」
こんな一途に自分を想ってくれている彼を不安にさせたくない。
邪念を振り払い、その首に腕を絡めれば、
「我慢できないの?」
と彼が微笑む。
「できない」
「しょうがないなあ」
「んッ……」
ずるりと指を引き抜かれ、代わりに宛がわれる彼自身。
微細な変化も逃さないだろう彼。
そんな彼に気づかれたくなかった。
一瞬でも彼以外の人間のことを頭に浮かべたことを。
自分は別に皇とどうかなりたいわけではないのだ。それだけは嘘じゃない。
むしろ変わらないことを望んでいた。
──意識なんてしたくなかったのに。
一度意識してしまったら、どう接していいのかわからなくなったのだ。
皇はそれに戸惑っているようにも見えるし、楽しんでいるようにも感じた。
だがその状況が良くないことくらい塩田にもわかっていたつもりなのだ。
「紀夫……ちょ、まっ……」
「だめ。今日はお仕置きだから俺の好きにするよ?」
「んんッ……」
塩田は大きく開かれた自分の股から目を逸らし、ぎゅっと目を瞑る。電車の指先はつつつと塩田自身を撫で上げ、舌先が最奥の蕾を這う。
何度されても恥ずかしい行為だと思う。
自分ですら見たことのないところを舐められるのは。
快感に身を捩り胸を反らせば、
「何、まだ恥ずかしいの? 大丈夫。綺麗なピンク色だよ」
と更に羞恥を煽られる。
「恥ずかしいこと……云うなよ」
涙目で訴えるも、優しい笑みを返されただけ。
「大好きなんだよ、塩田のことが。だから可愛いトコいっぱい見たいの」
「何言ってんだかわかんな……」
恥ずかしい部分を人差し指と親指で拡げられ言葉に詰まる塩田。
「や……ああッ」
舌を差し込まれ、入り口をかき回されると我知らず甘い声が漏れた。
慌てて腕で口元を覆う塩田の胸に片腕を伸ばす、彼。
「塩田は色白だから、ここも綺麗な色だよね」
「もうッ……黙って」
体質も相まって、友人がいない上にインドア派だった塩田は確かに日焼けし辛い。汚いと言われるよりかはマシだが、綺麗と言われるのも恥ずかしいものだと思う。
「なんだよ、可愛いのに」
彼はくすりと笑うと肩を竦めた。
「指挿れるよ? 力抜いててね」
散々嘗め回され、ぐったりしている塩田に次の一言。
いちいち言わなくていいのにとは思うが、それがきっとお仕置きという奴なのだろうと理解し塩田は黙った。
「んんッ……あ……」
ジェルの冷たい感触と指の挿入される異物感。
初めの頃はなかなか慣れなかったが、気持ちがいいことを知ってしまった今は馴染むのも早くなった気がする。
口では意地悪ばかり言う今日の彼でも行為は慎重。
元々挿れる場所ではないのだ。迂闊なことをして傷ついてしまっては大惨事。
何度もジェルを継ぎ足しているうちに卑猥な音が部屋に響きだす。
欲情の熱でぼんやりとした頭。ふといけない疑問が脳裏を過った。
”皇ならどんな風に自分を抱くのだろうか?”
ロマンチストで雰囲気を大事にするような男だ。
その上プライドも高い。
十分に演出に配慮するに違いない。
それに引き換え、反応も薄く感情表現も苦手な自分。
その演出に十分な感想も述べられないだろう。
──うん。合わなさそうだな……。
確かに今の彼には惹かれる部分もある。それは否めない。
あの余裕と配慮はまるで砂糖菓子のように甘い罠だ。
その奥に隠された情熱に触れたくなってしまうのだから。
電車紀夫は優しい。いつだって綿菓子のように甘く優しく塩田を包んでくれる。とてもとても大事にしてくれるのだ。
仮に想像でも浮気はイケナイ。
塩田は心の中で頭をぶんぶんと振り、自分の想像をかき消した。
そして自覚する。
再確認する。
自分の心をこんな風にかき乱す存在だからこそ、電車が不安に感じていることを。
「紀夫」
「うん?」
「なあ……早く欲しい」
こんな自分を繋ぎとめていて欲しいと思う。
よそ見なんてできないほど愛されたいと願う。
「可愛い。どうしたの?」
こんな一途に自分を想ってくれている彼を不安にさせたくない。
邪念を振り払い、その首に腕を絡めれば、
「我慢できないの?」
と彼が微笑む。
「できない」
「しょうがないなあ」
「んッ……」
ずるりと指を引き抜かれ、代わりに宛がわれる彼自身。
微細な変化も逃さないだろう彼。
そんな彼に気づかれたくなかった。
一瞬でも彼以外の人間のことを頭に浮かべたことを。
自分は別に皇とどうかなりたいわけではないのだ。それだけは嘘じゃない。
むしろ変わらないことを望んでいた。
──意識なんてしたくなかったのに。
一度意識してしまったら、どう接していいのかわからなくなったのだ。
皇はそれに戸惑っているようにも見えるし、楽しんでいるようにも感じた。
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