50 / 96
8『二人で歩む幸せの道』
3【R】自信がなくても
しおりを挟む
****side■唯野
伝えることの難しさを知った。
板井はロマンチックな演出の好きな男なのだなと唯野は感じている。きっと自分を喜ばせようとして色んなことをしてくれるのだろう。
しかし、時々思うのだ。自分はそれに値するような人間なのかと。
──板井が好きだ。
日々、どんどん惹かれていく。
女性だったら感動してもっと気の利いた言葉の一つも言えるのだろう。そんなことを考えてしまい、辛くなる。何といえば、彼は喜んでくれるのだろう?
どんな言葉にすれば伝わるのだろう。考えだしたらキリがなくて、気づけば何も言えなくなってしまう。
──こんな自分じゃ、一緒に居てもつまらないのではないか?
そう思うと自信がなくなる。
どうしたらいいのか分からない。
ずっと。求められるままに与えてきた自分は、与えられることに慣れていなかった。左の薬指に光るリング。それは愛の証であり、彼の独占欲の証でもあった。こんな自分を独り占めしたいと思ってくれているのかと思うと、嬉しくて涙が零れた。
こんな風に愛されたのは初めてで、戸惑うことばかり。彼の言動に一喜一憂して、嫌われることがとても怖い。幻滅されるのも、がっかりされるのも嫌だ。なのに結局、何もできない。
コテージなど、入ったのは初めてだった。
いかに自分が家族サービスを怠ったのかを思い知らされる。自分は仕事以外何もしてこなかった。仕事付き合い以外何もしてこなかったのだ。
職場では無口で愛想のあまり良いとは言えない板井だが、二人きりの時は色んな顔を見せてくれる。それは自分にとって宝物だし、大切な時間でもあった。
もしいつか、自分といるのがつまらないと、そっぽを向かれてしまったら?
「修二さん?」
唇を噛みしめ俯いていると、後ろから優しく抱きしめられる。
”どうしたの?”というように優しい声。
「また余計なこと考えてる?」
板井の手はシャツの上から優しく肌を撫でる。
「お前のことばかり、考えてるよ」
「それは嬉しいですね」
「……んッ」
扱いが上手いなと思う。元気のない自分にあえて踏み込まない。代わりに熱を煽っていく。
「ベッドにいきましょう? 舐めてあげる」
雰囲気に酔っているのだろう。いつもなら、抑える声が抑えられなかった。
「あッ……んんッ」
板井との行為は好きだ。好きな相手なのだから、当たり前なのだろうが。丁寧な愛撫に、いつの間にか自分から強請ってしまっている。
板井の指が唯野自身を焦らすように扱く。最奥の蕾を指で拡げ中を嘗め回す、彼の舌。全てが唯野の欲情を煽る。
達きたいのを我慢していると、それに気づいた彼がジェルを指に垂らし蕾の中へゆっくりと埋めた。くぷぷっと指が奥まで侵入していく。唯野は気持ちよさに、胸を仰け反らせ甘い声をあげる。
「はあッ……」
呼吸を整えようとするが上手くいかない。
「あッ……まだ……」
唯野の制止も聞かず、指をゆっくりと動かし始める板井。あまりの快感に唯野は理性を手放した。
──気持ち良すぎて、おかしくなりそうだ。
いつもと違う場所だからなのか、全く理性を保てない。自ら足を大きく広げ、腰を揺らしてしまっていた。
「良い眺めですね。修二さんの厭らしい部分が全部丸見えですよ?」
お前が巧すぎるんだと抗議しようとした唯野だったが、悔しかったので、
「誘ってるんだよ、バカ」
と強気なことを口にしてしまった。
板井は一瞬驚いた顔をする。しかしすぐに目を細め、
「ふうん」
と優しい笑みを浮かべた。
「随分余裕なんですねえ。もう少し、刺激が必要ですか?」
「板井、ばか……やめ……」
鈴口をちゅるっと吸い上げられ、我慢も限界に。
「ああッ」
「最高ですね」
板井は口を離すと、鈴口から迸る熱を見つめている。唯野は赤面した。
「おま……なんで、いつもじっと見てるんだよ」
「好きなんですよ、だって見てると興奮するでしょ?」
「悪趣味だ」
唯野が涙目で講義すると、余裕の笑みでこちらを見ている板井に口づけられたのだった。
伝えることの難しさを知った。
板井はロマンチックな演出の好きな男なのだなと唯野は感じている。きっと自分を喜ばせようとして色んなことをしてくれるのだろう。
しかし、時々思うのだ。自分はそれに値するような人間なのかと。
──板井が好きだ。
日々、どんどん惹かれていく。
女性だったら感動してもっと気の利いた言葉の一つも言えるのだろう。そんなことを考えてしまい、辛くなる。何といえば、彼は喜んでくれるのだろう?
どんな言葉にすれば伝わるのだろう。考えだしたらキリがなくて、気づけば何も言えなくなってしまう。
──こんな自分じゃ、一緒に居てもつまらないのではないか?
そう思うと自信がなくなる。
どうしたらいいのか分からない。
ずっと。求められるままに与えてきた自分は、与えられることに慣れていなかった。左の薬指に光るリング。それは愛の証であり、彼の独占欲の証でもあった。こんな自分を独り占めしたいと思ってくれているのかと思うと、嬉しくて涙が零れた。
こんな風に愛されたのは初めてで、戸惑うことばかり。彼の言動に一喜一憂して、嫌われることがとても怖い。幻滅されるのも、がっかりされるのも嫌だ。なのに結局、何もできない。
コテージなど、入ったのは初めてだった。
いかに自分が家族サービスを怠ったのかを思い知らされる。自分は仕事以外何もしてこなかった。仕事付き合い以外何もしてこなかったのだ。
職場では無口で愛想のあまり良いとは言えない板井だが、二人きりの時は色んな顔を見せてくれる。それは自分にとって宝物だし、大切な時間でもあった。
もしいつか、自分といるのがつまらないと、そっぽを向かれてしまったら?
「修二さん?」
唇を噛みしめ俯いていると、後ろから優しく抱きしめられる。
”どうしたの?”というように優しい声。
「また余計なこと考えてる?」
板井の手はシャツの上から優しく肌を撫でる。
「お前のことばかり、考えてるよ」
「それは嬉しいですね」
「……んッ」
扱いが上手いなと思う。元気のない自分にあえて踏み込まない。代わりに熱を煽っていく。
「ベッドにいきましょう? 舐めてあげる」
雰囲気に酔っているのだろう。いつもなら、抑える声が抑えられなかった。
「あッ……んんッ」
板井との行為は好きだ。好きな相手なのだから、当たり前なのだろうが。丁寧な愛撫に、いつの間にか自分から強請ってしまっている。
板井の指が唯野自身を焦らすように扱く。最奥の蕾を指で拡げ中を嘗め回す、彼の舌。全てが唯野の欲情を煽る。
達きたいのを我慢していると、それに気づいた彼がジェルを指に垂らし蕾の中へゆっくりと埋めた。くぷぷっと指が奥まで侵入していく。唯野は気持ちよさに、胸を仰け反らせ甘い声をあげる。
「はあッ……」
呼吸を整えようとするが上手くいかない。
「あッ……まだ……」
唯野の制止も聞かず、指をゆっくりと動かし始める板井。あまりの快感に唯野は理性を手放した。
──気持ち良すぎて、おかしくなりそうだ。
いつもと違う場所だからなのか、全く理性を保てない。自ら足を大きく広げ、腰を揺らしてしまっていた。
「良い眺めですね。修二さんの厭らしい部分が全部丸見えですよ?」
お前が巧すぎるんだと抗議しようとした唯野だったが、悔しかったので、
「誘ってるんだよ、バカ」
と強気なことを口にしてしまった。
板井は一瞬驚いた顔をする。しかしすぐに目を細め、
「ふうん」
と優しい笑みを浮かべた。
「随分余裕なんですねえ。もう少し、刺激が必要ですか?」
「板井、ばか……やめ……」
鈴口をちゅるっと吸い上げられ、我慢も限界に。
「ああッ」
「最高ですね」
板井は口を離すと、鈴口から迸る熱を見つめている。唯野は赤面した。
「おま……なんで、いつもじっと見てるんだよ」
「好きなんですよ、だって見てると興奮するでしょ?」
「悪趣味だ」
唯野が涙目で講義すると、余裕の笑みでこちらを見ている板井に口づけられたのだった。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる