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7『それぞれが抱える問題と難関』
3【R】初めての夜
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****side■板井
正直、自分が職場恋愛をすることになるとは思っていなかった。
いつか誰かを好きになったとしても。
「板井……」
ベッドに横たわり、自分に身を任せる唯野を眺めながら彼自身を握りこみ、鈴口を舐めあげる。唯野は上気し、うつろな目でこちらを見ていた。
──エロ可愛い!
十以上年上で、しかも上司。温厚で仕事ができる彼を、自分は”尊敬”する上司として見ていたはずだ。決してこんな風にいやらしいことをする関係になりたいなんて……。
「んんっ……」
空いた手の親指の腹で最奥の蕾を優しく撫でると、気持ちいいのか彼が身を捩る。
──タチですよね?
少なくとも、以前はタチでしたよね?
あまりの色気に鼻血を出しそうになりながらも、板井はそれに耐え、愛撫を施していく。
十七年前、わが社こと株原の元会長に性的なおもちゃにされたことのある唯野。実際どんなことをされたのか詳しく話してはくれなかったが、会長は不能だったため行為には至らなかった。恐らく自慰を要求されたか、あるいは身体をこんな風に弄られたか。
どっちにしろ、こんな姿を他の人にも見せたかと思うと嫉妬してしまいそうだ。彼曰く、”感じるのは板井が相手だから”らしいが。
──あれ?
そういえば、会長が不能ということは娘さんは誰の子なんだ?
唯野はそのことについては、何も言ってはいなかった。疑問に思いながらも、今は聞くべきではない。今は彼の艶っぽい姿を堪能すべきと、板井は気持ちを切り替える。
優しく蕾を指で刺激していた板井は、彼の腰をぐいっと持ち上げると舌を這わせた。蕾に濡れた舌の感触を受けた彼は快感に大きく胸を逸らす。
「あ……ッ」
人には誰しも人間関係において、直感が働いた経験があると思う。あまり相手を知らないうちから、長い付き合いになりそうだとか気が合いそうだとか。
──初めから好感は持っていたし、尊敬もしていた。
俺を律していたのは、あなたの指にはめられた婚姻の証。
板井は自制をしてただけだったことに気づき、心の中で自嘲気味に笑う。塩田は気づいていたのに、自分は単なる尊敬だと自分の心を閉じ込めた。
もし今から、以前の関係に戻れと言われても、きっと無理なのだ。自分は彼が好きで、抱き合うことを覚えてしまった。
「板井……」
唯野に呼ばれ身を起こす。小さなサイドテーブルに手を伸ばすと、性交用のジェルのボトルに手を伸ばす。少し硬質で弾力のあるジェルで中を保護し、滑りをよくするためにたっぷりと塗り込む。
指に乗せ彼に覆いかぶさると、
「修二さん、足開いて」
と優しい声で指示をした。
彼は板井の首に腕を巻き付けると、おずおずと足を開く。板井は腕を彼の下半身に伸ばすと、その蕾にジェルと共に指を滑り込ませる。
「んッ」
「冷たいですか?」
「平気」
顔を赤らめこちらを伺う彼が愛しい。
「板井、早く繋がりたい」
彼の言葉に少し驚く板井。
しかし、
「ダメですよ、ちゃんと解さないと痛いでしょ?」
と耳たぶを甘噛みする。
彼は瞼を閉じた。
「んん……はあッ……」
板井は何度も口づけながら、彼の最奥の蕾に何度も指を差し込んではゆっくりと引く。入り口も中もどちらも気持ちいいことを知っている板井は、指を奥まで差し込むとさらに少しぐいっと押し込んだ。指の付け根が入り口を刺激する。
彼はたまらなくなって、
「も……、ほし……い」
と喘ぐように言葉を繋ぐ。
頃合いを見計らって指を引き抜けば、その刺激に彼はぎゅっと身体に力を入れた。
「はあッ……」
浅く息をしながら潤んだ瞳でこちらを見つめる彼。板井は、幸せだなと思った。好きな人と心が結ばれ、互いを求めあう。それは簡単なことではないはずだ。
「力、抜いてくださいね」
「ん……」
彼の両股の裏に手を回し、少し持ち上げるとその蕾に自分自身を宛がう。片手を彼の顔の横につきもう、片方の手で自分自身を掴むと少しづつ身を進める。最も気を遣う瞬間であり、興奮する瞬間でもある。
奥まで挿入し終えると安堵のため息をつき、彼に覆いかぶさった。
「板井。好きだよ」
柔らかい彼の声。
「俺も大好きですよ。修二さん」
板井の言葉に彼は嬉しそうに目を細めたのだった。
正直、自分が職場恋愛をすることになるとは思っていなかった。
いつか誰かを好きになったとしても。
「板井……」
ベッドに横たわり、自分に身を任せる唯野を眺めながら彼自身を握りこみ、鈴口を舐めあげる。唯野は上気し、うつろな目でこちらを見ていた。
──エロ可愛い!
十以上年上で、しかも上司。温厚で仕事ができる彼を、自分は”尊敬”する上司として見ていたはずだ。決してこんな風にいやらしいことをする関係になりたいなんて……。
「んんっ……」
空いた手の親指の腹で最奥の蕾を優しく撫でると、気持ちいいのか彼が身を捩る。
──タチですよね?
少なくとも、以前はタチでしたよね?
あまりの色気に鼻血を出しそうになりながらも、板井はそれに耐え、愛撫を施していく。
十七年前、わが社こと株原の元会長に性的なおもちゃにされたことのある唯野。実際どんなことをされたのか詳しく話してはくれなかったが、会長は不能だったため行為には至らなかった。恐らく自慰を要求されたか、あるいは身体をこんな風に弄られたか。
どっちにしろ、こんな姿を他の人にも見せたかと思うと嫉妬してしまいそうだ。彼曰く、”感じるのは板井が相手だから”らしいが。
──あれ?
そういえば、会長が不能ということは娘さんは誰の子なんだ?
唯野はそのことについては、何も言ってはいなかった。疑問に思いながらも、今は聞くべきではない。今は彼の艶っぽい姿を堪能すべきと、板井は気持ちを切り替える。
優しく蕾を指で刺激していた板井は、彼の腰をぐいっと持ち上げると舌を這わせた。蕾に濡れた舌の感触を受けた彼は快感に大きく胸を逸らす。
「あ……ッ」
人には誰しも人間関係において、直感が働いた経験があると思う。あまり相手を知らないうちから、長い付き合いになりそうだとか気が合いそうだとか。
──初めから好感は持っていたし、尊敬もしていた。
俺を律していたのは、あなたの指にはめられた婚姻の証。
板井は自制をしてただけだったことに気づき、心の中で自嘲気味に笑う。塩田は気づいていたのに、自分は単なる尊敬だと自分の心を閉じ込めた。
もし今から、以前の関係に戻れと言われても、きっと無理なのだ。自分は彼が好きで、抱き合うことを覚えてしまった。
「板井……」
唯野に呼ばれ身を起こす。小さなサイドテーブルに手を伸ばすと、性交用のジェルのボトルに手を伸ばす。少し硬質で弾力のあるジェルで中を保護し、滑りをよくするためにたっぷりと塗り込む。
指に乗せ彼に覆いかぶさると、
「修二さん、足開いて」
と優しい声で指示をした。
彼は板井の首に腕を巻き付けると、おずおずと足を開く。板井は腕を彼の下半身に伸ばすと、その蕾にジェルと共に指を滑り込ませる。
「んッ」
「冷たいですか?」
「平気」
顔を赤らめこちらを伺う彼が愛しい。
「板井、早く繋がりたい」
彼の言葉に少し驚く板井。
しかし、
「ダメですよ、ちゃんと解さないと痛いでしょ?」
と耳たぶを甘噛みする。
彼は瞼を閉じた。
「んん……はあッ……」
板井は何度も口づけながら、彼の最奥の蕾に何度も指を差し込んではゆっくりと引く。入り口も中もどちらも気持ちいいことを知っている板井は、指を奥まで差し込むとさらに少しぐいっと押し込んだ。指の付け根が入り口を刺激する。
彼はたまらなくなって、
「も……、ほし……い」
と喘ぐように言葉を繋ぐ。
頃合いを見計らって指を引き抜けば、その刺激に彼はぎゅっと身体に力を入れた。
「はあッ……」
浅く息をしながら潤んだ瞳でこちらを見つめる彼。板井は、幸せだなと思った。好きな人と心が結ばれ、互いを求めあう。それは簡単なことではないはずだ。
「力、抜いてくださいね」
「ん……」
彼の両股の裏に手を回し、少し持ち上げるとその蕾に自分自身を宛がう。片手を彼の顔の横につきもう、片方の手で自分自身を掴むと少しづつ身を進める。最も気を遣う瞬間であり、興奮する瞬間でもある。
奥まで挿入し終えると安堵のため息をつき、彼に覆いかぶさった。
「板井。好きだよ」
柔らかい彼の声。
「俺も大好きですよ。修二さん」
板井の言葉に彼は嬉しそうに目を細めたのだった。
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