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6『恋愛経験者と未経験者たち』
2【R】自覚と羞恥
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****side■塩田
「やめッ……」
胸の突起に舌を這わせていた電車は、一度離れると塩田の股の間に割って入り、塩田自身を握りこんだ。そこまでは塩田も大人しく、されるがままに身を任せていたのだが。
──こんなの想定外だ!
彼は握りこんだそれに、舌を這わせたのである。根元を扱きながら鈴口に舌を這わされ、塩田は身を捩った。快感が背中を駆け抜け、瞳が潤む。
「んんッ……」
両手で口元を抑え、洩れそうになる声を封じ込める。だが、
「気持ちいいの? 声出しても良いのに」
と言われ、塩田は羞恥に顔を赤らめた。
「そんなとこ舐めるなんて、聞いてない……」
「気持ち良くないの?」
そう問われ、塩田は黙る。
「これから、もっと恥ずかしいことするのに」
──恥ずかしいわけじゃないけど……。
ありのままを貫いてきた塩田は、そう思ってから思考を停止した。
電車が泊まる日は、いつも一緒に入浴している。初めて一緒に入った日、
『どうして前を隠さないの?』
と彼に問われた。
見られたって減るもんじゃないし、いいやと思っていたのだが、そうでないことに気づく。
同じ課に配属された同僚は二人。板井は真面目で要領が良く、すごく仕事のできる男だった。それに比べ、電車は慌てるとミスを連発し、みんなの足を引っ張っていたように思う。初めのうちは要領の悪い奴だなくらいに思っていたが、彼が一所懸命なことに気づき好感を持ったのだ。
──俺の方が先に好きになったのかもしれない。
無意識に彼の気を引こうとしていたことに気づき、恥ずかしさを感じた。先ほど風呂場で彼から聞いた話を思い出す。
『我慢するの大変だったんだから。生殺しだよ』
平気で肌を晒す塩田に欲情しながらも耐えた彼。何故かそのことに満足している自分がいたのは、否めない。
「吸うなッ……」
鈴口を吸い上げられ、何かが塩田を襲う。
「達きそうなの? 達ってもいいよ」
「いく?」
「見せて。見ててあげる。塩田がここから……」
そこで何故か、彼が鼻を抑えた。
「興奮して鼻血出そう」
「何言ってんだか……わからな……」
そこで塩田はぎゅっと目を閉じる。強い快感の波が襲い、鈴口から熱を放つ。嫌な予感がして電車の方に視線を向ければ、彼はじっと塩田自身から熱が放たれるのを見ていた。
「なに、そんな見て……」
「すごく興奮する」
彼はウエットティッシュで塩田の腹を汚す体液をふき取ると、塩田自身の鈴口に口づける。
「んッ……」
「ねえ、もっと感じてよ」
何を言っているんだと思った。頭がおかしくなりそうなくらい、快感に支配されているのに。
──彼の手が好きだ。
優しい声音は落ち着く。
その笑顔が好き。
自分に向けられる感情の全てが愛しい。
「紀夫」
塩田は彼の名を呼び、両腕を彼に向かって伸ばす。
「!」
「抱きしめて」
柔らかい笑顔を浮かべた電車が塩田に覆いかぶさる。塩田はその背中に腕を回し、ぎゅっと抱き着く。あんなに受け入れるのが怖かったのに、今は繋がりたいと思ってしまっている。
「塩田、可愛い」
「好き」
「俺も好きだよ」
「早くよがらせろよ」
「ちょっ……」
しかしどんなに頑張っても、塩田には色気は無縁だった。少し困り顔の彼が、塩田の双丘の間に手を滑り込ませる。
「っ?」
中指の腹が塩田の双丘の蕾に優しく触れ、びくりと身体を震わせると、
「ここ、慣らさないとね」
と言われた。
ゆるゆると触れる指。
──気持ちいい……。
「やめッ……」
胸の突起に舌を這わせていた電車は、一度離れると塩田の股の間に割って入り、塩田自身を握りこんだ。そこまでは塩田も大人しく、されるがままに身を任せていたのだが。
──こんなの想定外だ!
彼は握りこんだそれに、舌を這わせたのである。根元を扱きながら鈴口に舌を這わされ、塩田は身を捩った。快感が背中を駆け抜け、瞳が潤む。
「んんッ……」
両手で口元を抑え、洩れそうになる声を封じ込める。だが、
「気持ちいいの? 声出しても良いのに」
と言われ、塩田は羞恥に顔を赤らめた。
「そんなとこ舐めるなんて、聞いてない……」
「気持ち良くないの?」
そう問われ、塩田は黙る。
「これから、もっと恥ずかしいことするのに」
──恥ずかしいわけじゃないけど……。
ありのままを貫いてきた塩田は、そう思ってから思考を停止した。
電車が泊まる日は、いつも一緒に入浴している。初めて一緒に入った日、
『どうして前を隠さないの?』
と彼に問われた。
見られたって減るもんじゃないし、いいやと思っていたのだが、そうでないことに気づく。
同じ課に配属された同僚は二人。板井は真面目で要領が良く、すごく仕事のできる男だった。それに比べ、電車は慌てるとミスを連発し、みんなの足を引っ張っていたように思う。初めのうちは要領の悪い奴だなくらいに思っていたが、彼が一所懸命なことに気づき好感を持ったのだ。
──俺の方が先に好きになったのかもしれない。
無意識に彼の気を引こうとしていたことに気づき、恥ずかしさを感じた。先ほど風呂場で彼から聞いた話を思い出す。
『我慢するの大変だったんだから。生殺しだよ』
平気で肌を晒す塩田に欲情しながらも耐えた彼。何故かそのことに満足している自分がいたのは、否めない。
「吸うなッ……」
鈴口を吸い上げられ、何かが塩田を襲う。
「達きそうなの? 達ってもいいよ」
「いく?」
「見せて。見ててあげる。塩田がここから……」
そこで何故か、彼が鼻を抑えた。
「興奮して鼻血出そう」
「何言ってんだか……わからな……」
そこで塩田はぎゅっと目を閉じる。強い快感の波が襲い、鈴口から熱を放つ。嫌な予感がして電車の方に視線を向ければ、彼はじっと塩田自身から熱が放たれるのを見ていた。
「なに、そんな見て……」
「すごく興奮する」
彼はウエットティッシュで塩田の腹を汚す体液をふき取ると、塩田自身の鈴口に口づける。
「んッ……」
「ねえ、もっと感じてよ」
何を言っているんだと思った。頭がおかしくなりそうなくらい、快感に支配されているのに。
──彼の手が好きだ。
優しい声音は落ち着く。
その笑顔が好き。
自分に向けられる感情の全てが愛しい。
「紀夫」
塩田は彼の名を呼び、両腕を彼に向かって伸ばす。
「!」
「抱きしめて」
柔らかい笑顔を浮かべた電車が塩田に覆いかぶさる。塩田はその背中に腕を回し、ぎゅっと抱き着く。あんなに受け入れるのが怖かったのに、今は繋がりたいと思ってしまっている。
「塩田、可愛い」
「好き」
「俺も好きだよ」
「早くよがらせろよ」
「ちょっ……」
しかしどんなに頑張っても、塩田には色気は無縁だった。少し困り顔の彼が、塩田の双丘の間に手を滑り込ませる。
「っ?」
中指の腹が塩田の双丘の蕾に優しく触れ、びくりと身体を震わせると、
「ここ、慣らさないとね」
と言われた。
ゆるゆると触れる指。
──気持ちいい……。
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