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2 後衛ばかりが凸るパーティ

9 テントはる?

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 この世界のダンジョンは迷宮のようなタイプではなく、SRPGによくみられる平面型のようだ。その上に高低差がつけられ、岩などの障害物などもある構造。
 流石にパイパ……更地ではないが。

「ちょっと疲れちゃったね」
と佳奈。
「今日は、ここで休もうよ」
 彼女はすっかりへばってしまったようだ。

 『非効率な戦い方ばかりするからだ』とツッコミたいのを我慢した優人が、
「テント張る?」
と佳奈に問う。
 それに反応したのは和宏だ。
「おま! テント張るなんて。疲れているからってそんな……セクハラだろ!」
「は?」
と優人。
 突然何を言い出すんだと困った顔で和宏を見つめた。
  佳奈はまた何か始まったというように肩を竦め、岩に腰かけると大地《フィールド》を眺めている。もう、慣れっこのようだ。

「いいか、優人」
 和宏は腰に手をあてると、
「お前のキノコを俺に突っ込んだり、テント張ったりそんな破廉恥なことばかりしちゃダメだ!」
「破廉恥って……」
 優人は眉を寄せ、困り顔で肩を竦めた。
 姉の方に視線を送ったものの、どうやら佳奈は助け船を出してはくれなさそうだ。

 とりあえず、兄の機嫌をとったほうが良さそうだと判断した優人。
「生が嫌だった?」
と問う。
「生……ってそ……そういう問題じゃない!」
 優人は、兄が何を気に入らないと思っているのか徹底的に探る方針を固めた。
「それとも、先っちょ塗れるか試したのが嫌だった?」
「濡れ……あああああああああ! 何言ってんだ、お前は!」
 兄、和宏は発狂した。
「優人が! 優人が……あああああ!」
 地面に両膝をつき、地面を殴りつけている。
 これ以上探ることは、出来そうにない。

 仕方なく佳奈の方に近づけば、
「お兄ちゃんは?」
と、問われる。
「なんか、取り乱してる」
「何したの、お兄ちゃんに」
 大したことをした覚えはないが、
「生キノコを口に突っ込んだだけだよ」
と事実を告げた。

「お腹壊したのかしら? あ、ねえ! 誰かいる」
 その時、佳奈が何か動く者を見つけたようだ。
「でも疲れて一歩も動けない。優人、おんぶしてー」
 佳奈の言葉に優人は背中に手をやる。
 優人の背中には大剣。この上からおぶるのは痛そうだ。
「ちょっと痛いと思うんだよね」
と優人。

「それはお兄ちゃんに持って貰えば良いよ。手ぶらなんだし」
 佳奈に逆らう必要もないので優人は大剣を鞘ごと降ろし、まだ地面とお友達な兄の前へ差し出した。
「ごめん、兄さん。ちょっと持っていて欲しいんだけれど」
 声をかけられた和宏は単純なので、弟に頼られたことを喜び鞘を受け取ってそのまま後ろへ尻もちをつく。
「重っ!」
「……(もしかして持てるものは職業によって違う? それとも兄さんがひ弱なだけ?)」

 一生懸命大剣を支える和宏を尻目に、優人は佳奈をおぶろうとしたのだが……
「ちょっと待て。優人」
 兄からすかさずダメ出しが。
「おぶったら、佳奈のおパンティが丸見えになるじゃないか!」
「え? 俺からは見えないから問題ないと思うんだけれど」
と優人。
「俺からは見える。大問題だ!」
「……(面倒なことになったな)」
 優人は仕方なく立ち上がると、和宏の前へ。

「じゃあ、兄さんがおぶってあげて。そしたら見えないでしょ?」
「分かった!」
 和宏から大剣を受け取ると、優人は再び背中へ。
 彼がかがんで佳奈をおぶるのを見ていた。
「……(俺からパンツが見えることは問題じゃないのか? まあいいか)」
 優人はそこには触れない方針を固める。

 優人の方針レベルが2に上がった。

「で、どこにナニがいるって?」
と和宏。
「あそこ!」
「アソコ?!」
 何故か和宏は素っ頓狂な声をあげる。
 前を見ていた優人が和宏を二度見した。
「そんなところにはいけないぞ」
と彼。
 一体どんなところへ行く気なのか。
「何言っているの、お兄ちゃん真っすぐ行ってよ」
「真っすぐイケと言われてもな。俺はそんな簡単にはイケないんだよ!」
 何が何やらわからないことになったのだった。
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