R18【同性恋愛】究極純愛♡僕日AG real*『もう、この手を離さないで』

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1 それぞれの事情

1・【再会】微R

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 ──両想いだったのに。

 またもや引き裂かれた大崎家と姫川家の親族の二人。
 何故引き裂かれなければならなかったのか?
 過ちと、再生。
 何があろうとも惹かれ合う二人を止めることは出来ない。そして、この二人の行動がのちにAGに深く影響してしまうとは知る良しもない。

 ****♡side:利久

 きっかけがなんだったのかなんてわからない
 考えても理由なんてわからない
 その日穏やかだった二人の関係は音を立てて崩れた

 好きだったのに
 大好きだったのに

 何かしてしまったのかな?
 僕が悪いのかな?
 何が気に入らなかったのかな?

 たくさん考えた
 けれどわからなかった

 当時のことを思い出すと、いまでも辛くてたまらない。だから、考えないようにしていたのに。

「利久って、海斗のこと好きなの?」
 何気ない一言があの日をフラッシュバックさせる。
「いつもベッタリだよね」

 相手に悪意はない
 想いを口にすることはできない
 何が彼の逆鱗に触れるかなんてわからない
 怖くてたまらない

 この世で、僕にとって一番優しい人は
 それと同等に
 この世で、僕にとって一番怖い人だ

 だから曖昧な笑顔を浮かべるしかない
 あの日以来彼は俺に触れない
 たった一度だけの関係
 力ずくで結ばれた関係

   **♡**

 好きだったのに
 好きで好きでたまらなかったのに
 そんなことしなくたって、僕は彼が望むなら
 こんな身体いくらだってくれてやったのに

 いまでもこんなに好きなのに

 どんなにそばにいても
 どんなに想っていても
 その手が俺に触れることはない

「いやぁ! 痛いッ」
 抗っても彼は止めなかった。
「許して……」

 ──どうして、こんな酷いことをするの?
  僕、何かした?

「ねえ? お願い、もう許して」
 どんなに懇願しても彼が果てるまで、止めてはくれかった。
「痛いよ、カイ」
 涙が止めどなくこぼれ落ちて視界を歪めても、この地獄から抜けだせはしなかった。
 彼は無表情で俺を見つめている。
 濡れることのないそこを無理矢理突かれ、激痛が走る。
「こんなこと、して……」
 ”何が楽しいの?”と問えば海斗は何故かとても悲しそうな目をした。

 ──何があったの?
  何があってこんなことするの?
  ねえ? 誰か教えて

 そのことがあってから、海斗は口を聞いてくれなくなった。
 高校二年の夏から大学に入り再会するまで、俺たちはそのままだった。

   **♡**

 海斗と再会したのは大学の入学式が終わってしばらくたってからだ。学食で女の子と笑談しているところに出くわしてしまった。
 あの頃と変わらない優しげな笑顔に、胸が締め付けられる。

 ──やっぱり僕、カイのことまだ好きだ

 辛くなってその場を立ち去ろうとしたら海斗が利久に気づいた。
「リク?」
「なになに? 海斗くんの知り合い? めっちゃ可愛い!」
 相手の女の子が海斗の盆を持つ腕に手を絡めた。
「危ないって」
 と、それを海斗が制す。

 ──他の人には簡単に触らせるんだね。

 なんだか泣きたい気持ちになった。
「同級生」

 ──なんで、そんな顔するの?

 海斗は愛しいとでも言いたげな顔で利久を見ている。
 あんなに無視したくせに。
「彼女?」
「いや」
 利久の質問に海斗は誤解されたくないとでも言いたそうに即答した。
「彼女候補でーす」
 語尾にハートでもついていそうな感じで彼女が言う。
「誰が?」
 海斗はさも嫌そうな顔をした。仲がいいんだなと、少しやきもちをやいてしまう。
「でも、全然なびいてくんないのー。前から好きな人がいるんだってー」
「おい!」
「すっごい長い片思いらしいよー」
「余計なこと言わんでいい」
「え」
 思わず利久は海斗をじっと見つめてしまった。
「好きな人……いたんだ」

 ──居たのに僕にあんなことしたの?

  いつも一緒にいたのに、好きな人いるなんて知らなかった。
「リク、違うから」
 何故か海斗が焦って否定してる。
「誤解だから」

 ──なんのこと?
  何が誤解?
  僕、カイのこと何も知らないんだ。

「お前まじ、いい加減にしないと怒るよ」
 海斗の矛先が彼女に向かう。
「なにそんなムキになるの? いつもは冷静なのに 」
「うるさいよ」
「あれあれえ?もしかして海斗の好きな人って」
 そう言って彼女が利久のほうをみた。
「やめろ」
 海斗が悲痛な顔をして目を背けた。
「ビンゴ?」
「……」

 ──へ?

 利久は展開についていけなくてぽかんとしていた。

 ──カイが僕を好き?
  いやいやいや、そんなことあるはず……

「ちょっ!海斗くん?!」
 海斗はお盆を彼女に押し付けると去っていってしまった。

 ──ええぇ?!
  やっと会えたのにっ。
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