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19話『囚われたαと真実』
3 レンの誤解【R】
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****♡Side・β(カイル)
───レンは何かを誤解している。
確かにΩは短命と言われているが、それはαやβよりも短いという意味だ。
男性体の寿命は七十後半。Ωだってそのくらいは生きられる。
しかしαの統治国家では違う。体内から卵子を取るために特別な手術を施され、身体に余計なものをつけられた彼らは、その負担が大きく長生きできない。二十代前半で命を落とすものも多い。
何度も身体にメスを入れられるのだ。耐えられるはずがない。
Ωが。特に男性体の寿命が短いという印象はその為である。
だが、独立国では違う。
彼らの寿命を縮める発情抑制剤は極力使われないし、彼らの身体にメスを入れるようなこともしない。
なるべく自然のままに生きらせるように、国にはたくさんの法律がそれこそ雁字搦めと言っていいほど存在している。
だからといって息が詰まるほどではない。
この国に入国してくるαが守るべき法律がほとんどであるし、βが守るべき法律も多数存在している。全てはΩを守るために存在しているのだ。しかし、その事をどうやってレンに伝えたらいいのだろうか。
「レン、大丈夫だよ。一緒に長生きしよう」
「でも、Ωは長生きできないんでしょ?」
「この国では、そんな心配はしなくていい。今年八十になるΩだっている」
「本当?」
カイルは不安そうな彼の目元に、ちゅっと口づける。
「本当だよ。今度、逢いに行こう」
実際に会って話を聞くのが一番だと思った。
「うん」
可憐に微笑む彼に、カイルの煩悩が暴走しそうになる。
こんな時なのに、レンが可愛すぎてカイル自身が硬さを増した。
抱きしめ合っている為、きっと彼もこんな時にと思ったかもしれない。何とも情けない気持ちになる。
「カイル」
お腹に違和感を覚えたのだろうか、彼が上目遣いでカイルを見上げた。
「言いたいことは分かるけど、レンが可愛いから」
すると、彼は予想外の言葉を口にする。
「も、挿れていいよ」
と。
「繋がろう、カイル。生きていること、僕に感じさせて」
濡れた眼差しに色気を感じた。
カイルは彼をベッドに押し倒すと、両腿に手を添える。
「本当にいいの?」
まだ、彼と触れ合っていたかったが、
「うん」
カイルは彼の言葉に導かれ、自分自身を彼の蕾に押し当てた。
念の為避妊具の上から塗り込めたジェルのお陰で、無理なく先端が飲み込まれる。
「んッ……」
それでも、初めは変な感じのするものだ。
「ゆっくりするから」
「はあッ……」
彼は浅く息をしながら、虚ろな瞳でカイルを見つめている。
「ね……カイル……」
力なく首に巻き付けられる腕。カイルは導かれるように、彼へと口づけたのだった。
───レンは何かを誤解している。
確かにΩは短命と言われているが、それはαやβよりも短いという意味だ。
男性体の寿命は七十後半。Ωだってそのくらいは生きられる。
しかしαの統治国家では違う。体内から卵子を取るために特別な手術を施され、身体に余計なものをつけられた彼らは、その負担が大きく長生きできない。二十代前半で命を落とすものも多い。
何度も身体にメスを入れられるのだ。耐えられるはずがない。
Ωが。特に男性体の寿命が短いという印象はその為である。
だが、独立国では違う。
彼らの寿命を縮める発情抑制剤は極力使われないし、彼らの身体にメスを入れるようなこともしない。
なるべく自然のままに生きらせるように、国にはたくさんの法律がそれこそ雁字搦めと言っていいほど存在している。
だからといって息が詰まるほどではない。
この国に入国してくるαが守るべき法律がほとんどであるし、βが守るべき法律も多数存在している。全てはΩを守るために存在しているのだ。しかし、その事をどうやってレンに伝えたらいいのだろうか。
「レン、大丈夫だよ。一緒に長生きしよう」
「でも、Ωは長生きできないんでしょ?」
「この国では、そんな心配はしなくていい。今年八十になるΩだっている」
「本当?」
カイルは不安そうな彼の目元に、ちゅっと口づける。
「本当だよ。今度、逢いに行こう」
実際に会って話を聞くのが一番だと思った。
「うん」
可憐に微笑む彼に、カイルの煩悩が暴走しそうになる。
こんな時なのに、レンが可愛すぎてカイル自身が硬さを増した。
抱きしめ合っている為、きっと彼もこんな時にと思ったかもしれない。何とも情けない気持ちになる。
「カイル」
お腹に違和感を覚えたのだろうか、彼が上目遣いでカイルを見上げた。
「言いたいことは分かるけど、レンが可愛いから」
すると、彼は予想外の言葉を口にする。
「も、挿れていいよ」
と。
「繋がろう、カイル。生きていること、僕に感じさせて」
濡れた眼差しに色気を感じた。
カイルは彼をベッドに押し倒すと、両腿に手を添える。
「本当にいいの?」
まだ、彼と触れ合っていたかったが、
「うん」
カイルは彼の言葉に導かれ、自分自身を彼の蕾に押し当てた。
念の為避妊具の上から塗り込めたジェルのお陰で、無理なく先端が飲み込まれる。
「んッ……」
それでも、初めは変な感じのするものだ。
「ゆっくりするから」
「はあッ……」
彼は浅く息をしながら、虚ろな瞳でカイルを見つめている。
「ね……カイル……」
力なく首に巻き付けられる腕。カイルは導かれるように、彼へと口づけたのだった。
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