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16話『独立国でのαの実態』

6 蕩ける夜【R】

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****♡Side・β(カイル)

 自分の性欲の強さに、カイルは戸惑っていた。
 レンと交わる以前はこんなことはなかった。
 クライスと交わるまでは、こんなことは起こり得なかったのだ。
 理性を美徳と信じて疑わなかったのに。
「クライスが可愛いから、いけない」
 責任転嫁して見ても、何も変わりはしない。
 クライスを抱いて知る、何故βがα狩りをやめないのかを。それは、止められないからだ。
「んんッ……はあッ」
 クライスは、浅く息をしながら、カイルにされるがまま貪欲に快楽を求め続けていた。

───この状態で達《い》くのは気持ちいいのだろうか?

 クライス自身は、硬くなりきることがない。
 熱くなったそれをカイルの手が握りこみ、ゆるゆると上下する。
 すると更なる刺激を求め、彼が腰を揺らす。形の良い双丘が揺れカイルは早く繋がりたい衝動に駆られた。
 しかしすぐにはできない。彼の股を大きく開くと、蕾に指を滑り込ませる。
「んッ……」
 彼の身体は、触れられるだけで快感を求めるようになっていた。
 もし他の者に教えられていたらと想像するとぞっとする。
 自分以外の人間が彼の初めての相手になっていたなら、彼はその相手にこうして淫らに足を開いたのだろうかと。

───そんなことは許さない。
 クライスは俺のαだ。

 浅ましい欲求に支配され、自分の妄想に嫉妬を起こし、気が変になりそうだった。
 それほどにαが乱れる姿は、魅力的で淫らで官能的だ。
 なにせ硬くならないくせに、厭らしく透明な液で濡れているのだ。テラテラと光るそこに、舌を這わす。
 びくりと身体が痙攣し甘い声を漏らす彼の股に両手を添え、腰を持ち上げる。双丘を割り蕾に舌を這わせれば、上気した顔。
 潤んだ瞳でこちらを見つめる、彼。

───まるで自分は獣だ。
 クライスを犯すことしか考えられない。

 こうやって、β達がαを意のままにすることに快感を覚えていったのかと思うと、α狩りが止められないことには納得したが、自分は憎しみなどではαは抱けないと思った。
 失った家族と同じ目に合わせてやりたいという気持ちは理解できる。
 しかし性交は愛があって成り立つものだ。カイルにとってその考えは変わっていない。
 相手を思うからこそ、一緒に喜びを分かち合いたい。快感でさえ、

───そうだ、これは過剰愛。
 自分は確かに、クライスに愛情を感じている。
 ただの性欲で彼をどうこうしたいわけじゃない。

「カイル……」
「ここにいるよ」
 だがどんなに自分に言い訳をしたところで、彼を支配したいと思っている自分自身を否定することは出来なかったのである。
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