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15話『Ωが真実に気づく時』
6 犯人の目星
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****♡Side・Ω(レン)
レンは、あの日のことを思い出していた。
確かカイルに出かけようと誘われ映画館に行ったのだ。
あの映画を観た後、自分たちは本当の恋人となった。その証にカイルがレンとペアリングを買い、果物を買いに青果店へ。
その後だ、カイルに連絡があったのは。
「レン?」
どうしたのと言うようにカイルがレンを見つめる。
その手には恋人の証のリング。
犯人はもしかすると盗聴から二人が出かけることを知り、後をつけて来たのかも知れない。そこでいつもとは違う二人の様子を見てしまう。リングを買ったことを見た犯人は、カイルの屋敷へ出向いた。
だとしたら、時間も合う。
───もしかしたら、カイルの妹姫の事件。
瓶はわざと置いたのではないだろうか。
レンには事件の全貌が分かり始めていた。しかしそれを彼らに話すのは早計ではないかと思っている。裏付けが何もないのだ。推理だけでいたずらに警察を動かすことは出来ない。
特にカイルにはまだ知られたくなかった。
「ううん」
と、レンは首を横に振る。
クライスと二人で話す時間が欲しかった。きっと彼ならレンの気持ちがわかるはずだ。自分と同じように、カイルを大切に思っているのだから。
「しかし、妙ですな」
と刑事。
「ん?」
心配そうにレンを見つめていたカイルが、刑事に視線を移す。
「何故、三年間も何事もなかったのに、いきなりこんなことをしでかしたのか」
───それは、カイルの気持ちが変わったから。
僕たちがちゃんとした恋人になったからだ。
犯人はレンたちがここに住むことに決まったことを何らかの形で知り、盗聴器を仕掛けた。
大体どの家も階段から手前が家人、奥に行けば行くほど客間にし易いことから、イチかバチかの賭けに出たとレンは考えている。
その後クライスを利用としたのは、レンとカイルが特別な関係へと変わったことを知ったからだ。
レンには犯人の目星がついたが、その犯人が妹姫の事件の犯人なのかと問われれば、自信がなかった。
「犯人が別々か、複数という線は?」
と、カイル。
「複数ですか」
と、刑事は復唱した。
───しかし、犯人はどうやって僕たちを尾行していたのだろう。
流石に、ずっとつけていたら気づくはずだ。
「ねえ、犯人ってさ」
とレンはあることに気づき、皆に向けて話しかける。
「ん?」
と、カイル。
「犯人って本当に目視してるのかな?」
それは、ある一つの可能性を指示していた。
盗聴で音声を拾っていたと思われる犯人。毎日何処からか二人を監視していたとしたら、さすがに目立つ。近所に住んでいるならば、まだしも。
「え、まさか……」
と、カイルは何かに気づいたようだ。
刑事は不思議そうな顔をしてレンとカイルを交互に見つめる。クライスはもちろん、何がなんだか分からないという顔をしたのだった。
レンは、あの日のことを思い出していた。
確かカイルに出かけようと誘われ映画館に行ったのだ。
あの映画を観た後、自分たちは本当の恋人となった。その証にカイルがレンとペアリングを買い、果物を買いに青果店へ。
その後だ、カイルに連絡があったのは。
「レン?」
どうしたのと言うようにカイルがレンを見つめる。
その手には恋人の証のリング。
犯人はもしかすると盗聴から二人が出かけることを知り、後をつけて来たのかも知れない。そこでいつもとは違う二人の様子を見てしまう。リングを買ったことを見た犯人は、カイルの屋敷へ出向いた。
だとしたら、時間も合う。
───もしかしたら、カイルの妹姫の事件。
瓶はわざと置いたのではないだろうか。
レンには事件の全貌が分かり始めていた。しかしそれを彼らに話すのは早計ではないかと思っている。裏付けが何もないのだ。推理だけでいたずらに警察を動かすことは出来ない。
特にカイルにはまだ知られたくなかった。
「ううん」
と、レンは首を横に振る。
クライスと二人で話す時間が欲しかった。きっと彼ならレンの気持ちがわかるはずだ。自分と同じように、カイルを大切に思っているのだから。
「しかし、妙ですな」
と刑事。
「ん?」
心配そうにレンを見つめていたカイルが、刑事に視線を移す。
「何故、三年間も何事もなかったのに、いきなりこんなことをしでかしたのか」
───それは、カイルの気持ちが変わったから。
僕たちがちゃんとした恋人になったからだ。
犯人はレンたちがここに住むことに決まったことを何らかの形で知り、盗聴器を仕掛けた。
大体どの家も階段から手前が家人、奥に行けば行くほど客間にし易いことから、イチかバチかの賭けに出たとレンは考えている。
その後クライスを利用としたのは、レンとカイルが特別な関係へと変わったことを知ったからだ。
レンには犯人の目星がついたが、その犯人が妹姫の事件の犯人なのかと問われれば、自信がなかった。
「犯人が別々か、複数という線は?」
と、カイル。
「複数ですか」
と、刑事は復唱した。
───しかし、犯人はどうやって僕たちを尾行していたのだろう。
流石に、ずっとつけていたら気づくはずだ。
「ねえ、犯人ってさ」
とレンはあることに気づき、皆に向けて話しかける。
「ん?」
と、カイル。
「犯人って本当に目視してるのかな?」
それは、ある一つの可能性を指示していた。
盗聴で音声を拾っていたと思われる犯人。毎日何処からか二人を監視していたとしたら、さすがに目立つ。近所に住んでいるならば、まだしも。
「え、まさか……」
と、カイルは何かに気づいたようだ。
刑事は不思議そうな顔をしてレンとカイルを交互に見つめる。クライスはもちろん、何がなんだか分からないという顔をしたのだった。
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