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15話『Ωが真実に気づく時』
2 さみしい気持ち
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****♡Side・α(クライス)
───一緒に入りたかったな……。
今頃カイルは、レンのところにいるのだろう。
まだ自分の中に、彼が居るような感覚がある。これから先カイルは、クライスをいつでも何度でも抱いてやると言った。
事務的に感じ、不安がる自分に、ちゃんと愛はあるからと説明をして。
───恋人ではないから、多くは望めない。
でも、もう少しだけ二人きりでいたかった。
カイルを独り占めしていたかった。
浴槽の中で膝を抱え、顎を乗せる。
自分の国では、父母がいて親友がいた。あの頃は一人きりの夜は珍しく、親友がうちに泊まりに来て趣味の話に花を咲かせることもあったし、父が仕事の話を聞かせてくれることもあって。時には、母が自国の話を聞かせてくれることもあったのだ。
しかしこの国に来てからは、眠る時はいつだって一人。αは個人主義だから、一人でいることは珍しくなく、苦に思う事もないはず。だが、自分は違った。
───さみしい。
祖父がこの屋敷に居た時のことを思い出す。広いベッドで川の字になって寝たことを。祖父母はβだが小柄な方だったので、クライスが真ん中に寝ても十分な広さだった。
子供の頃、父母と一緒に寝た時のような温かさがそこにはあって、心が満たされたのだ。もう、子供ではないのにとクライスは心の中で自分を叱る。
そうはいっても他国で独りぼっちの寂しさは、経験したことのあるものにしか分からないであろう。
湯から出て身体をバスタオルで拭く。確か、湯から上がったらカイル達の部屋に来るように言われていたことを思い出しながら。
あの部屋は好きだ。二人がいて、温かいから。もし自分がαでなかったならば、夜も一緒に居られるのにとまたさみしい気持ちになる。
「どうぞ、開いてるよ」
服に着替え隣の部屋をノックすると、レンの声がした。続いて、ドアが開けられカイルが顔を出す。
「遅いから迎えに行こうと思っていたんだ」
と、彼。
クライスは、甘えるようにハグを求めた。
「どうしたんだ、一人で寂しかった?」
と、抱きしめ返しながら問う彼。
クライスは素直に頷いた。
「そっか、ごめんな。ちょっとレンに用があってさ。次は一緒に入ろう?」
その言葉に、クライスは驚きを隠せない。
「いいの?」
と、思わず質問系となる。
すると、
「何でダメなんだ?」
と、逆に聞き返されてしまう。
「ねえ、ふたりとも。いつまでも廊下にいないで、こっちおいでよ」
そんな二人を見兼ねたレンが、いつものテーブルに誘う。
部屋は間接照明のみで、テーブルのある窓際だけブラインドがあげられている。かなり遅い時間だというのに、レンはローストビーフを貪っていた。
「クライスも、何か食べないか?」
カイルが先にテーブルにつきながら、向かい側のクライスに問う。テーブルには様々な料理が並んでいるが、シンプルなものばかりであった。
「今から、刑事さんが来るんだよ」
と、レン。
「こんな時間に?」
「そう。今、執事が迎えに行ってる」
と、クライスの問いにはカイルが答えた。
彼の目の前には、具のないコーンスープ。湯気が上がりとても美味しそうだ。
「クライスも、好きなモノを食べると良い」
「うん」
人との食事はどうして食欲を誘うのだろうか。先ほどまでの寂しい気持ちは、どっかへ行ってしまったのだった。
───一緒に入りたかったな……。
今頃カイルは、レンのところにいるのだろう。
まだ自分の中に、彼が居るような感覚がある。これから先カイルは、クライスをいつでも何度でも抱いてやると言った。
事務的に感じ、不安がる自分に、ちゃんと愛はあるからと説明をして。
───恋人ではないから、多くは望めない。
でも、もう少しだけ二人きりでいたかった。
カイルを独り占めしていたかった。
浴槽の中で膝を抱え、顎を乗せる。
自分の国では、父母がいて親友がいた。あの頃は一人きりの夜は珍しく、親友がうちに泊まりに来て趣味の話に花を咲かせることもあったし、父が仕事の話を聞かせてくれることもあって。時には、母が自国の話を聞かせてくれることもあったのだ。
しかしこの国に来てからは、眠る時はいつだって一人。αは個人主義だから、一人でいることは珍しくなく、苦に思う事もないはず。だが、自分は違った。
───さみしい。
祖父がこの屋敷に居た時のことを思い出す。広いベッドで川の字になって寝たことを。祖父母はβだが小柄な方だったので、クライスが真ん中に寝ても十分な広さだった。
子供の頃、父母と一緒に寝た時のような温かさがそこにはあって、心が満たされたのだ。もう、子供ではないのにとクライスは心の中で自分を叱る。
そうはいっても他国で独りぼっちの寂しさは、経験したことのあるものにしか分からないであろう。
湯から出て身体をバスタオルで拭く。確か、湯から上がったらカイル達の部屋に来るように言われていたことを思い出しながら。
あの部屋は好きだ。二人がいて、温かいから。もし自分がαでなかったならば、夜も一緒に居られるのにとまたさみしい気持ちになる。
「どうぞ、開いてるよ」
服に着替え隣の部屋をノックすると、レンの声がした。続いて、ドアが開けられカイルが顔を出す。
「遅いから迎えに行こうと思っていたんだ」
と、彼。
クライスは、甘えるようにハグを求めた。
「どうしたんだ、一人で寂しかった?」
と、抱きしめ返しながら問う彼。
クライスは素直に頷いた。
「そっか、ごめんな。ちょっとレンに用があってさ。次は一緒に入ろう?」
その言葉に、クライスは驚きを隠せない。
「いいの?」
と、思わず質問系となる。
すると、
「何でダメなんだ?」
と、逆に聞き返されてしまう。
「ねえ、ふたりとも。いつまでも廊下にいないで、こっちおいでよ」
そんな二人を見兼ねたレンが、いつものテーブルに誘う。
部屋は間接照明のみで、テーブルのある窓際だけブラインドがあげられている。かなり遅い時間だというのに、レンはローストビーフを貪っていた。
「クライスも、何か食べないか?」
カイルが先にテーブルにつきながら、向かい側のクライスに問う。テーブルには様々な料理が並んでいるが、シンプルなものばかりであった。
「今から、刑事さんが来るんだよ」
と、レン。
「こんな時間に?」
「そう。今、執事が迎えに行ってる」
と、クライスの問いにはカイルが答えた。
彼の目の前には、具のないコーンスープ。湯気が上がりとても美味しそうだ。
「クライスも、好きなモノを食べると良い」
「うん」
人との食事はどうして食欲を誘うのだろうか。先ほどまでの寂しい気持ちは、どっかへ行ってしまったのだった。
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