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14話『βとαが交わる時』
3 皇子の胸の内【R】
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****♡Side・α(クライス)
「クライス、泣かないで」
頬を伝う涙を、カイルが優しく拭ってくれた。きっともう、戻れないのだと思うと勝手に涙が零れる。どの道ここで止めたとしても、カイル以外人間から教え込まれるのだ。
───きっと、これは運命なんだ。
カイルに恋した時から、この道は決まっていたんだ。
カイルに抱かれるのが嫌なわけではない。愛があって欲しいというわけではないから、悲しいのだ。性欲処理の道具ですらない。他のβから守るため。それだけの為に、事務的に快楽を身に刻まれる。
心を持つ”奇跡の子”であることは、誇りだった。他のαとは違うんだと思っていたのだ。だが今は、心を持つことが辛い。
───これは、αに産まれた運命……。
こんなことなら、心なんていらなかったのに。
辛い、カイルに愛されたいよ。
ハラハラと涙を溢し続けるクライスを、カイルは悲し気に見つめた。
「今日は、やめる?」
止めたところで、何も変わりはしないのに。優しい彼が恨めしい。
「カイル、好きって言って。嘘でもいいから」
「何を言うんだ」
懇願するクライスをぎゅっと抱きしめる彼。クライスは彼を抱きしめ返した。嘘でもいい、今だけ偽りの愛に溺れたい。そんなことを思うクライスに、彼は告げる。
「大好きだよ。嘘じゃない」
と。
クライスは驚き、彼の瞳を覗き込んだ。
「さっき、愛してってクライスは言ったよな」
「うん」
「ちゃんと愛してるよ。レンに対して、申し訳ない気持ちでいっぱいなんだ」
一人を真剣に愛するのが、β。彼はずっとそう信じて生きて来たと言う。
しかし、クライスに出逢い変わった。
「レンもクライスも。どちらも可愛いと思っているし、愛しているよ」
そう言って、彼は再び口づけをくれる。
「レンには抱かれたい。でも、クライスは抱きたいんだ。俺、おかしいかな」
間違っているかどうかと聞かれたら、どっちも欲しいというのは虫が良すぎると答えるべきだろう。けれど、おかしいかと聞かれたら答えることはできない。なぜなら自分だって、カイルもレンも大好きなのだ。
「カイル……好き」
「大好きだよ。気持ちいいこと、いっぱいしような」
彼はそっと微笑むと、ハーフパンツの上からクライス自身を撫で始めた。肌に唇を滑らせながら。
「カイル……」
彼はクライスのたくしあげられたシャツを片手で押さえ、胸の突起に舌を這わせ始める。ちゃんと立つことのない、クライス自身は半立ちがせいぜいだが、それでも感じていることには変わりなかった。
「んッ……」
甘い声が漏れる。クライスは初めてのことに、思わず口元を抑えた。
「クライス、大丈夫だよ。可愛い声で、いっぱい啼いてごらん」
気づかぬうちに、彼の手はクライス自身に直に触れている。そんなところ、自分でも弄りはしないのにとクライスは真っ赤になった。
「良い反応。堪らない。舐めたらどうなるのかな」
「舐める? 何を?」
クライスの質問に返答をせずに、ハーフズボンを下着ごと引き抜く彼。恥ずかしいところが丸見えになり、クライスは思わず顔を両手で覆ったのだった。
「クライス、泣かないで」
頬を伝う涙を、カイルが優しく拭ってくれた。きっともう、戻れないのだと思うと勝手に涙が零れる。どの道ここで止めたとしても、カイル以外人間から教え込まれるのだ。
───きっと、これは運命なんだ。
カイルに恋した時から、この道は決まっていたんだ。
カイルに抱かれるのが嫌なわけではない。愛があって欲しいというわけではないから、悲しいのだ。性欲処理の道具ですらない。他のβから守るため。それだけの為に、事務的に快楽を身に刻まれる。
心を持つ”奇跡の子”であることは、誇りだった。他のαとは違うんだと思っていたのだ。だが今は、心を持つことが辛い。
───これは、αに産まれた運命……。
こんなことなら、心なんていらなかったのに。
辛い、カイルに愛されたいよ。
ハラハラと涙を溢し続けるクライスを、カイルは悲し気に見つめた。
「今日は、やめる?」
止めたところで、何も変わりはしないのに。優しい彼が恨めしい。
「カイル、好きって言って。嘘でもいいから」
「何を言うんだ」
懇願するクライスをぎゅっと抱きしめる彼。クライスは彼を抱きしめ返した。嘘でもいい、今だけ偽りの愛に溺れたい。そんなことを思うクライスに、彼は告げる。
「大好きだよ。嘘じゃない」
と。
クライスは驚き、彼の瞳を覗き込んだ。
「さっき、愛してってクライスは言ったよな」
「うん」
「ちゃんと愛してるよ。レンに対して、申し訳ない気持ちでいっぱいなんだ」
一人を真剣に愛するのが、β。彼はずっとそう信じて生きて来たと言う。
しかし、クライスに出逢い変わった。
「レンもクライスも。どちらも可愛いと思っているし、愛しているよ」
そう言って、彼は再び口づけをくれる。
「レンには抱かれたい。でも、クライスは抱きたいんだ。俺、おかしいかな」
間違っているかどうかと聞かれたら、どっちも欲しいというのは虫が良すぎると答えるべきだろう。けれど、おかしいかと聞かれたら答えることはできない。なぜなら自分だって、カイルもレンも大好きなのだ。
「カイル……好き」
「大好きだよ。気持ちいいこと、いっぱいしような」
彼はそっと微笑むと、ハーフパンツの上からクライス自身を撫で始めた。肌に唇を滑らせながら。
「カイル……」
彼はクライスのたくしあげられたシャツを片手で押さえ、胸の突起に舌を這わせ始める。ちゃんと立つことのない、クライス自身は半立ちがせいぜいだが、それでも感じていることには変わりなかった。
「んッ……」
甘い声が漏れる。クライスは初めてのことに、思わず口元を抑えた。
「クライス、大丈夫だよ。可愛い声で、いっぱい啼いてごらん」
気づかぬうちに、彼の手はクライス自身に直に触れている。そんなところ、自分でも弄りはしないのにとクライスは真っ赤になった。
「良い反応。堪らない。舐めたらどうなるのかな」
「舐める? 何を?」
クライスの質問に返答をせずに、ハーフズボンを下着ごと引き抜く彼。恥ずかしいところが丸見えになり、クライスは思わず顔を両手で覆ったのだった。
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