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13話『第一皇子と奇跡の子』
6 Ωの辿った苦難の道【R】
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****♡Side・β(カイル)
今日はなんだかレンの様子が変だ。理由すら見当もつかない自分自身に、カイルは嫌気がした。
例の事件が起こって以来、彼がどれほど聡明なのか思知る。Ωは下に見られやすい。それは三か月に一度来る発情期のせい。
βが独立し国を建立する前、Ωはそのせいで職を追われ路頭に迷うものが多くいたという。カイルが産まれるずっとずっと昔の話だ。βが国を築いてから、ゆうに三百年以上が経っている。建立前のΩ達はどんなに技術を持っていようとも、頭脳が明晰であろうとも、差別され苦しんできたのだ。
自立した生活が出来ず、親元を離れられない。発情期を抑えるためには、高額な薬が必要であるにもかかわらず、まともな職にもつけない。
それなのに、ある日突然αに噛まれ番にされる。好きでも何でもない相手に、死ぬまで支配されるのだ。
「レンッ……」
「夢中になっちゃって、可愛い。大好きだよ」
今が独立後で、どんなに良かったことか。βは自分の家族であるΩが苦しむさまを、ずっと傍で見てきた。だからこそΩを守りたいと思える。
どんなに自分を犠牲にしても、苦だなんて思ったことはない。あの歴史を二度と繰り返さないように、ただそれだけを……Ω性のものが幸せであることを願っているのだ。
「好き……レンが好き」
レンを失くないと常に思う。彼は自分の全てだ。もし彼を失ってしまったなら、どうやって生きて良いのか分からなくなる。なんのために生きているのかさえ分からなくなって、発狂してしまうに違いない。
「はあッ……」
彼は腰を動かすのを止めると、カイルの睾丸からゆっくりとカイル自身を撫で上げていく。
「んんッ……」
びくりと反応するカイル自身。再びゆっくりと下へ撫でていき、愛液を吐き出したくてきゅと縮こまる睾丸を優しく撫で上げる。
「カイルを孕ませてしまいたい」
そんなことは不可能だ。子が欲しいというわけでもない。
彼が求めるのは紙の上での永遠ではなく、何があっても抗う事のできない絶対的な繋がり。それに気づいた時、カイルは潤んだ瞳で彼を見つめた。
「レン、どうしたの?」
「カイルを僕のものにしたい。何があっても離れられないように」
「俺は、レンのものでしょ? 何があっても離れたくない」
レンはカイルの言葉に、瞬きを一つすると、切なげに、
「そうだね」
という。
───レンの不安、苦しみ、悲しみ。分かってあげたいのに。
何が君をそんなに不安にさせているの?
聞いてもきっと答えてはくれないだろう。
「じゃあ、僕が満足するまで、カイルを抱かせてもらうよ?」
「んッ」
彼はそっと微笑むと、カイルを抱きしめ腰を動かし始めた。
「あああッ……レン……愛してるよ、レン」
「カイル。僕のカイル。いっぱい汚してあげる」
彼の苦しみ全て、二人の熱で溶けてしまえばいいのにと思いながらカイルは、彼の与えてくれる気持ちよさに身を任せたのだった。
今日はなんだかレンの様子が変だ。理由すら見当もつかない自分自身に、カイルは嫌気がした。
例の事件が起こって以来、彼がどれほど聡明なのか思知る。Ωは下に見られやすい。それは三か月に一度来る発情期のせい。
βが独立し国を建立する前、Ωはそのせいで職を追われ路頭に迷うものが多くいたという。カイルが産まれるずっとずっと昔の話だ。βが国を築いてから、ゆうに三百年以上が経っている。建立前のΩ達はどんなに技術を持っていようとも、頭脳が明晰であろうとも、差別され苦しんできたのだ。
自立した生活が出来ず、親元を離れられない。発情期を抑えるためには、高額な薬が必要であるにもかかわらず、まともな職にもつけない。
それなのに、ある日突然αに噛まれ番にされる。好きでも何でもない相手に、死ぬまで支配されるのだ。
「レンッ……」
「夢中になっちゃって、可愛い。大好きだよ」
今が独立後で、どんなに良かったことか。βは自分の家族であるΩが苦しむさまを、ずっと傍で見てきた。だからこそΩを守りたいと思える。
どんなに自分を犠牲にしても、苦だなんて思ったことはない。あの歴史を二度と繰り返さないように、ただそれだけを……Ω性のものが幸せであることを願っているのだ。
「好き……レンが好き」
レンを失くないと常に思う。彼は自分の全てだ。もし彼を失ってしまったなら、どうやって生きて良いのか分からなくなる。なんのために生きているのかさえ分からなくなって、発狂してしまうに違いない。
「はあッ……」
彼は腰を動かすのを止めると、カイルの睾丸からゆっくりとカイル自身を撫で上げていく。
「んんッ……」
びくりと反応するカイル自身。再びゆっくりと下へ撫でていき、愛液を吐き出したくてきゅと縮こまる睾丸を優しく撫で上げる。
「カイルを孕ませてしまいたい」
そんなことは不可能だ。子が欲しいというわけでもない。
彼が求めるのは紙の上での永遠ではなく、何があっても抗う事のできない絶対的な繋がり。それに気づいた時、カイルは潤んだ瞳で彼を見つめた。
「レン、どうしたの?」
「カイルを僕のものにしたい。何があっても離れられないように」
「俺は、レンのものでしょ? 何があっても離れたくない」
レンはカイルの言葉に、瞬きを一つすると、切なげに、
「そうだね」
という。
───レンの不安、苦しみ、悲しみ。分かってあげたいのに。
何が君をそんなに不安にさせているの?
聞いてもきっと答えてはくれないだろう。
「じゃあ、僕が満足するまで、カイルを抱かせてもらうよ?」
「んッ」
彼はそっと微笑むと、カイルを抱きしめ腰を動かし始めた。
「あああッ……レン……愛してるよ、レン」
「カイル。僕のカイル。いっぱい汚してあげる」
彼の苦しみ全て、二人の熱で溶けてしまえばいいのにと思いながらカイルは、彼の与えてくれる気持ちよさに身を任せたのだった。
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