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11話『一時の安息と独立記念日』
5 儚いΩの腕の中で【R】
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****♡Side・β(カイル)
───レンが悲しそうな顔をすると、不安になる。
どんなに言葉にしても足りないくらい、彼が好きだ。
彼との間に心の壁があった頃は、こんなに冗談ばかり言う子だなんて思っていなかったし、こんな日がくるとは想像していなかった。
「ねえ、気持ちい?」
彼が首を傾げカイルに問いかける。
カイルは返事の代わりに、ぎゅっと抱きついた。
「それは、気持ちよすぎて声にならないってこと?」
「いちいち解説しないでよ」
あまりの恥ずかしさに、そう答えると彼は嬉しそうに笑っている。
「カイルの声好きなんだよ?」
「うん?」
「いつでも聴いていたい。もっとそばにいること感じさせて」
やはりいつもと、どこか違う。
カイルは彼が消えてしまいそうで怖くなった。何処にも行かせないと言うように、強く抱きしめる。レンのいない世界なんて、自分にはもう考えられない。もしこの温もりを失ってしまったなら、どうやって生きていけばいいのだろう。
「レン」
「どうして泣いてるの?」
彼の抱きしめ返す腕が優しい。
「どっか行っちゃいそうで、怖いよ」
「行かないよ。カイルには僕が必要だから」
繋がったままの彼は萎えることがない。
むしろ、カイルの中でさらに大きくなった。
「そして、僕にはカイルが必要だから」
柔らかい唇がカイルの唇を奪う。Ωは儚い生き物なのだからか、優しくて強い。恋と自覚してから彼は、カイルに対し真っ直ぐ想いをぶつけてくる。
守っているつもりで、守られているのかもしれない。
「ずっと傍にいるって約束したでしょ?」
カイルの両頬を包み込み、言い聞かせるように言う彼。
「カイルがいつでも僕を思い出せるように。忘れないように、身体に刻み込んであげる」
「ちょ……まっ……」
「もう、待てない」
彼に下から突き上げられ、その衝撃にカイルは思わず声を漏らす。
「んんんッ……レン……そんなにしちゃ……」
「自分で動いてもいいよ? 厭らしく腰振って見せてよ」
今日は自分が彼を気持ちよくさせてあげたいと思っていたカイルは、レンに煽られ彼の肩に両手を置くと、ゆっくりと上下に動き始める。
思いの外、良いところにあたり夢中になりそうだ。
「はあッ……きもちッ」
「そんなに腰振って。僕の大好きなの?」
余裕そうな彼に、すこし悔しくなる。カイルは反撃に出た。
「好きッ……だから、レンも俺に夢中になってよ」
と、耳元で甘く強請って見せる。
彼は鼻を抑えた。
「もう、そんなこと言うと、体中に僕のマークつけちゃうんだから!」
「えッ……やッ……んんんッ」
わき腹を撫でながら、彼が優しく胸の突起を吸い上げる。
「そんなとこ……痕つかないからッ」
「えー?」
彼の舌先で胸の突起を転がされ、きゅっと後ろを締め付けると彼はすごく嬉しそうな顔をしたのだった。
───レンが悲しそうな顔をすると、不安になる。
どんなに言葉にしても足りないくらい、彼が好きだ。
彼との間に心の壁があった頃は、こんなに冗談ばかり言う子だなんて思っていなかったし、こんな日がくるとは想像していなかった。
「ねえ、気持ちい?」
彼が首を傾げカイルに問いかける。
カイルは返事の代わりに、ぎゅっと抱きついた。
「それは、気持ちよすぎて声にならないってこと?」
「いちいち解説しないでよ」
あまりの恥ずかしさに、そう答えると彼は嬉しそうに笑っている。
「カイルの声好きなんだよ?」
「うん?」
「いつでも聴いていたい。もっとそばにいること感じさせて」
やはりいつもと、どこか違う。
カイルは彼が消えてしまいそうで怖くなった。何処にも行かせないと言うように、強く抱きしめる。レンのいない世界なんて、自分にはもう考えられない。もしこの温もりを失ってしまったなら、どうやって生きていけばいいのだろう。
「レン」
「どうして泣いてるの?」
彼の抱きしめ返す腕が優しい。
「どっか行っちゃいそうで、怖いよ」
「行かないよ。カイルには僕が必要だから」
繋がったままの彼は萎えることがない。
むしろ、カイルの中でさらに大きくなった。
「そして、僕にはカイルが必要だから」
柔らかい唇がカイルの唇を奪う。Ωは儚い生き物なのだからか、優しくて強い。恋と自覚してから彼は、カイルに対し真っ直ぐ想いをぶつけてくる。
守っているつもりで、守られているのかもしれない。
「ずっと傍にいるって約束したでしょ?」
カイルの両頬を包み込み、言い聞かせるように言う彼。
「カイルがいつでも僕を思い出せるように。忘れないように、身体に刻み込んであげる」
「ちょ……まっ……」
「もう、待てない」
彼に下から突き上げられ、その衝撃にカイルは思わず声を漏らす。
「んんんッ……レン……そんなにしちゃ……」
「自分で動いてもいいよ? 厭らしく腰振って見せてよ」
今日は自分が彼を気持ちよくさせてあげたいと思っていたカイルは、レンに煽られ彼の肩に両手を置くと、ゆっくりと上下に動き始める。
思いの外、良いところにあたり夢中になりそうだ。
「はあッ……きもちッ」
「そんなに腰振って。僕の大好きなの?」
余裕そうな彼に、すこし悔しくなる。カイルは反撃に出た。
「好きッ……だから、レンも俺に夢中になってよ」
と、耳元で甘く強請って見せる。
彼は鼻を抑えた。
「もう、そんなこと言うと、体中に僕のマークつけちゃうんだから!」
「えッ……やッ……んんんッ」
わき腹を撫でながら、彼が優しく胸の突起を吸い上げる。
「そんなとこ……痕つかないからッ」
「えー?」
彼の舌先で胸の突起を転がされ、きゅっと後ろを締め付けると彼はすごく嬉しそうな顔をしたのだった。
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