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10話『君への愛情が芽生える時』
6 愛の産まれた日
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****♡Side・β(カイル)
「レン。席を外そうか」
カイルはクライスを祖父母に思う存分甘えさせてあげようと、レンにそう声をかけたが、
「やだ。ここに居るッ」
と拒否されてしまった。
「ええっ」
彼が我儘を言うことなど滅多にないので戸惑ってしまう。
カイルは何故、彼がここに居たがるのかを考えてみる。
───レンは、家族に憧れを持っている。家族がどんなものなのか知りたがっている。そっか……。
「レン、こっちに座ろう」
三人をソファーセットに座るように勧めると、自分たちは一人掛けようのゆったりとしたソファーに二人で腰かけた。
全員が落ち着くと、夫妻はまず綺麗に包装された小箱をクライスに渡す。
「これは?」
と、クライス。
祖母が”開けてごらん”というように手を差し出した。
「これは………」
小箱を開けると出て来たのはプラチナのブレスレット。ルビーの宝石がはまっている。
「これが出来上がるまでに時間がかかってしまって、すぐに来られなかったんだ」
と、祖父。
確かに綺麗なリングだが、どうしてそこまでして待ちたかったかには理由がある。それについてカイルは事前に連絡を受けていた。
「クライスが事件に巻き込まれ、しかも独立記念日までに帰国できないと言う話を聞いてゾッとしたんだよ」
それは、クライスの祖母からこちらに直接伺いたいと連絡が来た時に、カイルが話したことである。それで急遽作らせたものらしい。
「これは、簡単なことでは取ることが出来ない。なるべく身につけて置くんだよ。まだ受信機は届かないが、このルビーには発信機が内蔵されている。何があるか分からないからね」
クライスは話を聞きながら、ブレスレットを嵌めた。
「ありがとう、おじいちゃん。おばあちゃん」
二人に交互にハグをすると、祖母がじっとクライスを見つめる。
「あの子はね、どうしても子供が欲しかったんだ。本当は自分の子が欲しかったのだけれど、αが産まれてくる可能性は限りなくゼロ。もし産まれた子がΩだったら国に取り上げられる。βだったらこの国の施設に預けられる。それでは意味がないと言って、国にΩ男性体の卵子を貰う手続きをしたんだ」
クライスの母がどうしても子供を欲しがったのは、彼の父の為であった。Ωは他の性に比べると、短命だ。自分が亡きあと、クライスの父の為に家族を残したかったのだという。
「あの子から手紙が来た時、どんなに嬉しかったことか」
「おばあちゃん……」
「お前は、自分をαだから私たちに愛されることはないと思っているかもしれないが、あの子が自分の手で育てたいと願って産まれた子なんだよ。Ω男性体の卵子を貰っても100パーセントαが産まれてくるわけじゃない。大きくなったね、クライス。お前は私たちの大事な孫だ」
「おじいちゃん……」
涙を溢す彼をヨシヨシと撫でる彼の祖父。
カイルの隣に座っていたレンは再びもらい泣きをし、カイルにぎゅっとしがみ付いたのだった。
「レン。席を外そうか」
カイルはクライスを祖父母に思う存分甘えさせてあげようと、レンにそう声をかけたが、
「やだ。ここに居るッ」
と拒否されてしまった。
「ええっ」
彼が我儘を言うことなど滅多にないので戸惑ってしまう。
カイルは何故、彼がここに居たがるのかを考えてみる。
───レンは、家族に憧れを持っている。家族がどんなものなのか知りたがっている。そっか……。
「レン、こっちに座ろう」
三人をソファーセットに座るように勧めると、自分たちは一人掛けようのゆったりとしたソファーに二人で腰かけた。
全員が落ち着くと、夫妻はまず綺麗に包装された小箱をクライスに渡す。
「これは?」
と、クライス。
祖母が”開けてごらん”というように手を差し出した。
「これは………」
小箱を開けると出て来たのはプラチナのブレスレット。ルビーの宝石がはまっている。
「これが出来上がるまでに時間がかかってしまって、すぐに来られなかったんだ」
と、祖父。
確かに綺麗なリングだが、どうしてそこまでして待ちたかったかには理由がある。それについてカイルは事前に連絡を受けていた。
「クライスが事件に巻き込まれ、しかも独立記念日までに帰国できないと言う話を聞いてゾッとしたんだよ」
それは、クライスの祖母からこちらに直接伺いたいと連絡が来た時に、カイルが話したことである。それで急遽作らせたものらしい。
「これは、簡単なことでは取ることが出来ない。なるべく身につけて置くんだよ。まだ受信機は届かないが、このルビーには発信機が内蔵されている。何があるか分からないからね」
クライスは話を聞きながら、ブレスレットを嵌めた。
「ありがとう、おじいちゃん。おばあちゃん」
二人に交互にハグをすると、祖母がじっとクライスを見つめる。
「あの子はね、どうしても子供が欲しかったんだ。本当は自分の子が欲しかったのだけれど、αが産まれてくる可能性は限りなくゼロ。もし産まれた子がΩだったら国に取り上げられる。βだったらこの国の施設に預けられる。それでは意味がないと言って、国にΩ男性体の卵子を貰う手続きをしたんだ」
クライスの母がどうしても子供を欲しがったのは、彼の父の為であった。Ωは他の性に比べると、短命だ。自分が亡きあと、クライスの父の為に家族を残したかったのだという。
「あの子から手紙が来た時、どんなに嬉しかったことか」
「おばあちゃん……」
「お前は、自分をαだから私たちに愛されることはないと思っているかもしれないが、あの子が自分の手で育てたいと願って産まれた子なんだよ。Ω男性体の卵子を貰っても100パーセントαが産まれてくるわけじゃない。大きくなったね、クライス。お前は私たちの大事な孫だ」
「おじいちゃん……」
涙を溢す彼をヨシヨシと撫でる彼の祖父。
カイルの隣に座っていたレンは再びもらい泣きをし、カイルにぎゅっとしがみ付いたのだった。
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