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8話『第一皇子を巡る人々』
1 皇子のヤキモチ
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****♡Side・Ω(レン)
急遽クライスを屋敷に滞在させることになった為、カイルとレンが日常を過ごしている二階の部屋の隣にある、客間を掃除することになった。
カイルとレンの部屋はリビングに連なる個々の部屋と簡易キッチン、浴室で出来ているが、客間は一部屋少ない。客間にはリビングとベッドルームに簡易キッチンと浴室がついている。
「食事は俺たちの部屋で一緒に取ればいいよな」
カイルはベッドルームにモップをかけながら。
屋敷は外観はレンガで出来ているが、中は木材で出来ている。ハウスダスト対策もあってか、ほとんどの部屋がフローリングなため掃除は楽だ。
二人が掃除をしている間、執事の運転でクライスはホテルに荷物を取りに行っている。
この国ではαが滞在中、居場所を特定できるように、滞在先が変われば入管に書類を提出しなければならない。それでも行方不明になるαは少なくはないのが現状だ。
そう、βの復讐の餌食になるものが後を絶たない。その元凶ともいえる行事の開催が一か月を切っている。
この時二人は、そんなに時間がかからずとも事件が解決すると安易に考えていた。それもそのはず、警察が動いているし目撃者もいる。そして手掛かりもあるのだから。
しかし、事態はそんなに甘くはなかったのだ。
「ねえ、カイル」
「うん?」
窓を拭いていたレンは、彼に視線を投げ、
「クライスって、なんだか可愛いよね」
とクライスについての感想を述べる。
すると彼は、何故か泣きそうな顔をし、
「レンは、ああいうのがタイプなのか?」
と不安そうな声で言う。
「え? やだ、そういう意味じゃないよ」
───カイル、可愛い!
レンは雑巾を窓辺に置くと、腕だけで彼にむぎゅっと抱きついた。
「レン。他の人好きになっちゃ、嫌だよ?」
「んーっ。カイル可愛いッ。僕が好きなのはカイルだけ」
顔をあげ、つま先立ちをし、ちゅっと彼に口づければカイルはもっとというように、抱き返す腕に力を入れる。
しかしながら二人とも手が汚れた状態なため、相手に触らないようにと手をフリーにしているため、なんだか動き辛い。
「今夜も、たっぷり愛してあげるね。カイル」
「っ!」
レンの言葉に初めての情事を思い出したのか、彼は真っ赤になる。
「いや、でも。隣にクライスが……」
「んー?」
「ほら、フェロモン対策仕様は防音とは違うから」
と彼が、あたふたして言うので、
「そんなにいっぱいエッチな声出す気なの?」
とレンは意地悪を言う。
「な!」
言葉に詰まる彼。
「うそうそ、いっぱいエッチな声出していいんだよ?」
なんだかややこしいことになったのだった。
───カイル、可愛いなあ。
急遽クライスを屋敷に滞在させることになった為、カイルとレンが日常を過ごしている二階の部屋の隣にある、客間を掃除することになった。
カイルとレンの部屋はリビングに連なる個々の部屋と簡易キッチン、浴室で出来ているが、客間は一部屋少ない。客間にはリビングとベッドルームに簡易キッチンと浴室がついている。
「食事は俺たちの部屋で一緒に取ればいいよな」
カイルはベッドルームにモップをかけながら。
屋敷は外観はレンガで出来ているが、中は木材で出来ている。ハウスダスト対策もあってか、ほとんどの部屋がフローリングなため掃除は楽だ。
二人が掃除をしている間、執事の運転でクライスはホテルに荷物を取りに行っている。
この国ではαが滞在中、居場所を特定できるように、滞在先が変われば入管に書類を提出しなければならない。それでも行方不明になるαは少なくはないのが現状だ。
そう、βの復讐の餌食になるものが後を絶たない。その元凶ともいえる行事の開催が一か月を切っている。
この時二人は、そんなに時間がかからずとも事件が解決すると安易に考えていた。それもそのはず、警察が動いているし目撃者もいる。そして手掛かりもあるのだから。
しかし、事態はそんなに甘くはなかったのだ。
「ねえ、カイル」
「うん?」
窓を拭いていたレンは、彼に視線を投げ、
「クライスって、なんだか可愛いよね」
とクライスについての感想を述べる。
すると彼は、何故か泣きそうな顔をし、
「レンは、ああいうのがタイプなのか?」
と不安そうな声で言う。
「え? やだ、そういう意味じゃないよ」
───カイル、可愛い!
レンは雑巾を窓辺に置くと、腕だけで彼にむぎゅっと抱きついた。
「レン。他の人好きになっちゃ、嫌だよ?」
「んーっ。カイル可愛いッ。僕が好きなのはカイルだけ」
顔をあげ、つま先立ちをし、ちゅっと彼に口づければカイルはもっとというように、抱き返す腕に力を入れる。
しかしながら二人とも手が汚れた状態なため、相手に触らないようにと手をフリーにしているため、なんだか動き辛い。
「今夜も、たっぷり愛してあげるね。カイル」
「っ!」
レンの言葉に初めての情事を思い出したのか、彼は真っ赤になる。
「いや、でも。隣にクライスが……」
「んー?」
「ほら、フェロモン対策仕様は防音とは違うから」
と彼が、あたふたして言うので、
「そんなにいっぱいエッチな声出す気なの?」
とレンは意地悪を言う。
「な!」
言葉に詰まる彼。
「うそうそ、いっぱいエッチな声出していいんだよ?」
なんだかややこしいことになったのだった。
───カイル、可愛いなあ。
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