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3話『運命を背負いし者』
6 想定外の発情
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****♡Side・Ω(レン)
「レン、来客があったみたいだ」
カイルはスマホを見つめ、呟くようにそう言った。カイルへ連絡してきたのは、二人の身の回りの世話をしてくれている、カイルが城に居た頃から仕えている執事。
「また来るらしい」
わざわざ出先に連絡が来るのは、その来客がαだからだ。レンは彼の手を掴む手に、ぎゅっと力を入れた。
「大丈夫だよ。レンのことは俺が守るから」
と微笑むカイル。だが、レンが恐れているのは自分が襲われることでない。彼が妹姫のことを思い出し、塞いでしまう事なのだ。やっと互いの想いを告白しあい歩み寄ったというのに、また距離が出来てしまうのではないか、と。
「カイル…」
彼がレンの身体を引き寄せ、チュッと髪に口づける。
「!」
「あ、ごめん」
そんなことをされたのは初めてのことだったので、レンはびくりと肩を震わせ、それに気づいた彼は、慌ててレンから離れた。
「ううん」
少し照れた顔をし、彼を見上げると、
「可愛い」
と頬を撫でられる。
────カイルに触れられるのは、気持ちがいい。これが好きってことなのかな。
「レンのこと、愛しいって想ったら、もっと触れたくなった」
「大丈夫だよ。こんな映画やドラマでしか見たことのないもの、自分がされるとは思ってなくて、びっくりしただけだよ」
「そっか」
彼の穏やかで優しい笑みは、レンの心を虜にした。ちゃんと恋人となった自分たちに少しずつ訪れる変化。レンは心躍らせる。
「帰ろうか、これ冷蔵庫にしまわないといけないし」
カイルは自分たちの世話をしてくれる世話係の人たちに、お土産を買っていた。レンは頷くと、再び彼の手を握る。
「ねえ、カイル」
「うん?」
「今日は、一緒に寝てもいい?」
「一緒に……ね……ええ⁈」
二人の住む屋敷は、一階が二人の世話をしてくれる人や執事の部屋。そして大きめのキッチン、彼らの使う水回りなどがあり、二階に二人の部屋とリビングがある。
とても広い部屋だが日中はリビングで過ごし、寝るときは各自、自分の部屋という形を取っていた。レンは単に、彼の温もりを感じて眠りたかったのだが、βの彼にとっては”恋人同士が一緒のベッドで休む”のは、少し意味合いが違ったようである。
「それは……期待しても良いってこと?」
と問う彼。期待の意味合いが、レンにはわからなかった。
「期待?何を……」
気づけば屋敷のすぐ傍まで来ている。レンの反応に、彼が額に手を充てた。
「あ、ああ……そうだよね。レンにはわからないよね」
そう言って彼がレンに視線を戻した時である。
「レン⁈ どうしたの?」
────αだ。αの残り香。
身体が熱い。発情期はまだ先のはずなのに。
「カイル……助けて」
「レン、来客があったみたいだ」
カイルはスマホを見つめ、呟くようにそう言った。カイルへ連絡してきたのは、二人の身の回りの世話をしてくれている、カイルが城に居た頃から仕えている執事。
「また来るらしい」
わざわざ出先に連絡が来るのは、その来客がαだからだ。レンは彼の手を掴む手に、ぎゅっと力を入れた。
「大丈夫だよ。レンのことは俺が守るから」
と微笑むカイル。だが、レンが恐れているのは自分が襲われることでない。彼が妹姫のことを思い出し、塞いでしまう事なのだ。やっと互いの想いを告白しあい歩み寄ったというのに、また距離が出来てしまうのではないか、と。
「カイル…」
彼がレンの身体を引き寄せ、チュッと髪に口づける。
「!」
「あ、ごめん」
そんなことをされたのは初めてのことだったので、レンはびくりと肩を震わせ、それに気づいた彼は、慌ててレンから離れた。
「ううん」
少し照れた顔をし、彼を見上げると、
「可愛い」
と頬を撫でられる。
────カイルに触れられるのは、気持ちがいい。これが好きってことなのかな。
「レンのこと、愛しいって想ったら、もっと触れたくなった」
「大丈夫だよ。こんな映画やドラマでしか見たことのないもの、自分がされるとは思ってなくて、びっくりしただけだよ」
「そっか」
彼の穏やかで優しい笑みは、レンの心を虜にした。ちゃんと恋人となった自分たちに少しずつ訪れる変化。レンは心躍らせる。
「帰ろうか、これ冷蔵庫にしまわないといけないし」
カイルは自分たちの世話をしてくれる世話係の人たちに、お土産を買っていた。レンは頷くと、再び彼の手を握る。
「ねえ、カイル」
「うん?」
「今日は、一緒に寝てもいい?」
「一緒に……ね……ええ⁈」
二人の住む屋敷は、一階が二人の世話をしてくれる人や執事の部屋。そして大きめのキッチン、彼らの使う水回りなどがあり、二階に二人の部屋とリビングがある。
とても広い部屋だが日中はリビングで過ごし、寝るときは各自、自分の部屋という形を取っていた。レンは単に、彼の温もりを感じて眠りたかったのだが、βの彼にとっては”恋人同士が一緒のベッドで休む”のは、少し意味合いが違ったようである。
「それは……期待しても良いってこと?」
と問う彼。期待の意味合いが、レンにはわからなかった。
「期待?何を……」
気づけば屋敷のすぐ傍まで来ている。レンの反応に、彼が額に手を充てた。
「あ、ああ……そうだよね。レンにはわからないよね」
そう言って彼がレンに視線を戻した時である。
「レン⁈ どうしたの?」
────αだ。αの残り香。
身体が熱い。発情期はまだ先のはずなのに。
「カイル……助けて」
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