【カオスコメディ】究極純愛♡僕日『圭一、わたくしの奴隷におなりなさい』圭一の受難の日々１

『圭一、わたくしの奴隷におなりなさい』

第5話.諸悪の根源

その人の存在を知ったのは『イケメン奴隷と華麗なるわたくしの日々』、通称『イケ華麗かれ』というドラマにハマッたばかりの頃であった。
(キチガイである)

当時から有名なレイヤーさんはなんと圭一の身内！
そのことを知って小躍りしたのは彼女のコスプレが、かの有名な『イケ華麗《かれ》』の主人公のコスプレだったからである。
その人の名は大崎夏海、圭一の叔母だ。
しかし忙しいのか、なかなか大崎邸で見かけたことがないと、思っていたら大崎邸は実家ではなかったらしい。

「げ」

その日も勇ましく大崎邸に乗り込んで行ったら、たまたま夏海に出くわした。狂喜乱舞してもおかしくナイ状況でもあるのに留まったのは、圭一の様子が変だったからである。いつもの定番の無表情が、明らかに嫌そうな表情へと変わっていた。
「あら、愛花ちゃんじゃない。こんにちはー」
夏海は愛花に気づくと両手を振って挨拶してくれるが、圭一は不機嫌なままである。
「どうしましたの？圭一」
圭一に話かけたところで夏海に茶化された。
「そうしてると、二人ともお似合いじゃない」
と。

え？美しい、美しすぎるわたくしが
この美の女神に愛されし圭一とお似合い？
（なにもそこまでいってはいない）

つまり、わたくしは世界一美しい！
な、なんてこと
（どうしたらそうなるんだ）

「夏海さんったら！正直なんですから（愛花は、世界一美しい）」
照れてそういうと隣にいた圭一が
「は？」
と、素で声を漏らした。

＊＊＊＊

「夏海さん、俺と大里姉をくっつけたいわけ？」
愛花が自分に酔ってる間、圭一は夏海に抗議しているが愛花はまったく聞いていなかった。
「いいじゃない、お似合いよ！」
「またそんな適当な」
圭一はため息をつくと上へ昇っていく。そのことに愛花が気づいた時には圭一は二階にの踊り場に居た。
「あら？圭一？」

ちょ！ちょっと！
お似合いのわたくしを置いていくなんてどうかしてましてよ!?
（その考えがどうかしている）

「お待ちあそばせ」
愛花は慌てて彼を追う。愛花が圭一に追いつくと彼は踊り場で弟と話してしていた。
「お兄ちゃんッ」
「おいで、抱っこしてあげる」
いつ見てもべったりな兄弟である。うちの弟と大間違いだわ、などと思いながら二人に近づいた。久隆は小さな子のように圭一の胸に抱かれうとうしていた。なんとも可愛らしい。
なんと声をかけようか迷っていたら、後ろから夏海の声がした。

「んんん！それもいいわね！」
一体なんのことか？と首を傾げていると圭一が凄く嫌そうな顔をする。
「久隆をネタにするのはやめろよ？」
「なーんのことかしら？」
夏海はすっ呆ける。

何かしら?

愛花は夏海の腐り具合いのことには気づかなかった。

＊＊＊＊

「で、兄貴は？」
今度は何に影響されているのやら。毎度夏海は兄のことを違う呼び方をする。
「兄貴って…。父さんなら会社じゃないの？」
圭一はずり落ちそうな久隆を抱きなおし、後ろからついてくる夏海に返答する。
「じゃあ、書斎使い放題?」
「まて、うちはネカフェじゃないぞ」
「ひゃっふう！」
夏海はまったく聞かずにスキップしながら書斎に向かっていった。
「夏海さん相変わらず変わっておりますわね」
（お前が言うか!）

愛花は、わたくしまるで妻みたいですわーと思いながら圭一のあとをついてゆく。

妻？
否！危ない流されるところでしたわ
本来の目的を失いそうでしたわね
あくまでもわたくしの従者でしてよ！
（その野望が叶う日は来そうにないが）

「何して遊ぶんだ?」
リビングに入った圭一はリクライニングソファーに久隆を降ろすと、ＴＶボードの扉をあけずらりと並んだソフトから愛花に視線を移して問う。
「無双《むそ》りますわ！」
充分流されているのであった。