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2章──変化していく関係
8・彼らのその後
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****♡Side・奏斗
「ところで、その後花穂とはどうなんだ?」
爽一に尋ねられて奏斗はむせた。
「どうもこうもないだろ。あれは期間限定で。和馬のことを……」
そこで奏斗は言葉を切る。
和馬を幸せにしたいと願って彼女の言葉に乗ったのは確かだ。それなのに自分は今、彼の幸せを願うどころか逃げ回っているのが現状ではないか。
「目測を誤ったかな」
と爽一。
なんのことだと言うようにそちらに目を向ければ、
「いや、こっちの話」
と言われてしまった。
「なあ、白石」
「ん?」
「もう、戻る気はないのか?」
それは和馬なのか、花穂なのか。
どちらにしても無理だと思った。
和馬に対して持っている感情は恐怖。
花穂はあっさりと終わりにしたのだ、今更どうこうなるはずもない。
「あのな、白石。俺はさ、お前次第だと思うんだ」
「うん?」
奏斗は意味が分からずに聞き返す。
「誰とどうなりたいのか、それは白石が決めることだから明確にする気はない。それはお前が決めたらいい」
”それはそれとして”と彼は続ける。
「相手が誰であろうが、それは白石次第だと思う。相手はお前の気持ちが分からないから引くんだろ」
弱気になっている自分。
それは指摘されなくても分かっているつもりだ。
けれど、自分を好いているのではないかと思った相手に簡単にそっぽを向かれるのだ。
自分にとって特別なことも、相手にとっては違うのだと知った時の絶望。
それと向き合えというのだろうか。
「人は皆、弱い。他人からどんなに強く見えようとも弱い生き物なんだよ、白石」
「なんだよ、教師みたいなこと言って」
「教師だし」
奏斗の冗談に彼が苦笑する。
「躊躇っている理由ってなんだ?」
「理由? そうだな、価値観の違いかな」
奏斗の言葉に、彼は顎に手をやりしばらく考えを巡らせているように見えた。
「それはもしかしたら、勘違いかもしれないぞ?」
”ちゃんと確認したのか?”と問われ、奏斗は首を横に数度振る。
正直、聞くのが怖かったのだ。
自分にとって特別なことが相手にとってなんでもないことであることを知ってしまうのが。
「好き、なのか?」
「それは、よく分からない」
一緒にいると心地よく、とても楽な相手だった。
想像とは全く違っていて、相手も同じ気持ちだったら良いとさえ思っていたのに。
「ちゃんと思っていることを伝えなければ、何も始まらないと思うぞ」
「そこで終わってしまったら?」
「んー……相手は多少なりとも好意があったから一緒にいようとしたんだろ? その結末が仮に別れだったとしても」
「相手にとってはただの遊びだったなら?」
奏斗の質問に爽一は眉を寄せる。
「何、お前。そんな性悪が好きなのか? それとも見る目がないのか……鈍感なのか」
酷い言われようだなと思うがそれが事実なのだろう。
「とにかく本人と話してみろよ」
「機会があれば」
「なんでそんな後ろ向きなんだよ」
恋愛は一人でするものではない。だから失敗することもあれば、うまくいかないこともある。それが当たり前であることくらい自分にもわかっていた。
どんなに好きになろうとも、相手の気持ち次第なんだということも。
「せんせーは傷心の相手をそっとしておこうとか思ったりはしないわけ?」
「放っておいてどうにかなるなら俺だってそうするさ」
”これでも心配してるんだぞ”と言われ、奏斗は頭を抱えて項垂れた。
元カノの件で奏斗がどうなったのか彼は知っている。
むしろ、爽一がいてくれたからなんとか笑えるようになったのだ。
「白石はちょっと真面目過ぎるし、一途すぎるんだよ」
「ダメなの、それ」
「ダメではないが、またあんな風になるのは……」
「あれは、俺が悪いのかよ」
泣きたくなってくる。
責められているわけではないことは分かっているのだ。
何も悪いことなんてしていないのに、逆恨みで酷いことをされたのは奏斗の方。彼はそれもわかっている。
その上で、奏斗の生き方は不器用すぎると言いたいのだろう。
「ところで、その後花穂とはどうなんだ?」
爽一に尋ねられて奏斗はむせた。
「どうもこうもないだろ。あれは期間限定で。和馬のことを……」
そこで奏斗は言葉を切る。
和馬を幸せにしたいと願って彼女の言葉に乗ったのは確かだ。それなのに自分は今、彼の幸せを願うどころか逃げ回っているのが現状ではないか。
「目測を誤ったかな」
と爽一。
なんのことだと言うようにそちらに目を向ければ、
「いや、こっちの話」
と言われてしまった。
「なあ、白石」
「ん?」
「もう、戻る気はないのか?」
それは和馬なのか、花穂なのか。
どちらにしても無理だと思った。
和馬に対して持っている感情は恐怖。
花穂はあっさりと終わりにしたのだ、今更どうこうなるはずもない。
「あのな、白石。俺はさ、お前次第だと思うんだ」
「うん?」
奏斗は意味が分からずに聞き返す。
「誰とどうなりたいのか、それは白石が決めることだから明確にする気はない。それはお前が決めたらいい」
”それはそれとして”と彼は続ける。
「相手が誰であろうが、それは白石次第だと思う。相手はお前の気持ちが分からないから引くんだろ」
弱気になっている自分。
それは指摘されなくても分かっているつもりだ。
けれど、自分を好いているのではないかと思った相手に簡単にそっぽを向かれるのだ。
自分にとって特別なことも、相手にとっては違うのだと知った時の絶望。
それと向き合えというのだろうか。
「人は皆、弱い。他人からどんなに強く見えようとも弱い生き物なんだよ、白石」
「なんだよ、教師みたいなこと言って」
「教師だし」
奏斗の冗談に彼が苦笑する。
「躊躇っている理由ってなんだ?」
「理由? そうだな、価値観の違いかな」
奏斗の言葉に、彼は顎に手をやりしばらく考えを巡らせているように見えた。
「それはもしかしたら、勘違いかもしれないぞ?」
”ちゃんと確認したのか?”と問われ、奏斗は首を横に数度振る。
正直、聞くのが怖かったのだ。
自分にとって特別なことが相手にとってなんでもないことであることを知ってしまうのが。
「好き、なのか?」
「それは、よく分からない」
一緒にいると心地よく、とても楽な相手だった。
想像とは全く違っていて、相手も同じ気持ちだったら良いとさえ思っていたのに。
「ちゃんと思っていることを伝えなければ、何も始まらないと思うぞ」
「そこで終わってしまったら?」
「んー……相手は多少なりとも好意があったから一緒にいようとしたんだろ? その結末が仮に別れだったとしても」
「相手にとってはただの遊びだったなら?」
奏斗の質問に爽一は眉を寄せる。
「何、お前。そんな性悪が好きなのか? それとも見る目がないのか……鈍感なのか」
酷い言われようだなと思うがそれが事実なのだろう。
「とにかく本人と話してみろよ」
「機会があれば」
「なんでそんな後ろ向きなんだよ」
恋愛は一人でするものではない。だから失敗することもあれば、うまくいかないこともある。それが当たり前であることくらい自分にもわかっていた。
どんなに好きになろうとも、相手の気持ち次第なんだということも。
「せんせーは傷心の相手をそっとしておこうとか思ったりはしないわけ?」
「放っておいてどうにかなるなら俺だってそうするさ」
”これでも心配してるんだぞ”と言われ、奏斗は頭を抱えて項垂れた。
元カノの件で奏斗がどうなったのか彼は知っている。
むしろ、爽一がいてくれたからなんとか笑えるようになったのだ。
「白石はちょっと真面目過ぎるし、一途すぎるんだよ」
「ダメなの、それ」
「ダメではないが、またあんな風になるのは……」
「あれは、俺が悪いのかよ」
泣きたくなってくる。
責められているわけではないことは分かっているのだ。
何も悪いことなんてしていないのに、逆恨みで酷いことをされたのは奏斗の方。彼はそれもわかっている。
その上で、奏斗の生き方は不器用すぎると言いたいのだろう。
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