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0章──それが恋に変わる時
16・イカれた教師の午後
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****♡Side・爽一
「あなた、いくら何でもイカレてるわよ」
「喧しい」
──そんなことは、俺が一番分かっている。
花穂はレモンティにストローを差し、爽一を見つめながら吸い上げる。
本日、仕事帰りに一緒に食事に行くことは昨夜から決まっていた。どうやら、楠が奏斗と一緒に映画に行くらしい。デートではないと聞いている。
──デートであってたまるか!
馬鹿野郎。
自分は楠の義姉とデートしておきながら、何を言っているんだと言うところであるが。
「学生の旅行に無理やり同行する教師が、何処の世界にいるのよ」
「ここだ」
「馬鹿でしょ」
花穂は可笑しそうに笑っている。
しかし、爽一の血圧は上がりっぱなしだ。決してケツの圧力ではない。
「うるさいな」
「白石 奏斗ってそんなに強敵なの?」
「勝てる気がしない」
爽一は額を抑えた。二人がイケナイことをしているところが思い浮かぶ。
──いや、待て。この場合どっちがタチなんだ?
白石なら誘い受け。
もしくは強引攻めと言ったところか。
『嫌だ……奏斗』
『和馬、でも身体は嫌がってないよ?』
『……っ』
『ほら、感じて』
『や……んんッ……やだ……奏斗ッ』
──ダメだ。
それはいけない。
爽一は自分の妄想に大ダメージを受けた。
いくら自分が彼を良くしようとしても立ちすらしない楠が、彼の腕の中でよがっている様子が浮かび、テーブルにガンッと額を打ち付ける。
「ちょっと、大丈夫?」
彼女がぎょっとして、爽一の顔を覗き込む。
「だいじょばない……」
「日本語もどうかしてるわよ」
「そもそも何で和馬は、電話に出ないんだ!」
「上映中は電源を切るのがマナーだからでしょ?」
”何、馬鹿なこと言ってるの?”というように、彼女が呆れ顔をする。
「和馬が白石にエッチなことされたら、お前のせいだからな」
爽一に理不尽なことを言われた彼女は眉を寄せ、
「ポルノ映画見ているわけじゃあるまいし。アクションでしょ?」
と反論した。
だが、爽一は、
「アクションでもエッチなシーンはあるだろ。その気になったらどうしてくれるんだ!」
と抗議を続け、
「何言ってんの。どうのしようもないでしょ」
と言われてしまう。
もっともである。
『和馬、この映画見てたら変な気分になってきた。責任とってくれる?』
『責任?』
『そ、和馬が慰めて』
『や……どこ触って』
──ダメだ!
そんなことは俺が許さない。
爽一は妄想が暴走し、自分の想像に振り回されていた。
一人で赤くなったり、青くなったりする爽一を、花穂は面白そうに眺めている。
「見てて飽きないわねえ」
頬を杖を突き、口元を歪め。
──なんて屈辱的なんだ!
くそッ。
と、その時。爽一のスマホが震えた。
「あら、和馬ね」
「あなた、いくら何でもイカレてるわよ」
「喧しい」
──そんなことは、俺が一番分かっている。
花穂はレモンティにストローを差し、爽一を見つめながら吸い上げる。
本日、仕事帰りに一緒に食事に行くことは昨夜から決まっていた。どうやら、楠が奏斗と一緒に映画に行くらしい。デートではないと聞いている。
──デートであってたまるか!
馬鹿野郎。
自分は楠の義姉とデートしておきながら、何を言っているんだと言うところであるが。
「学生の旅行に無理やり同行する教師が、何処の世界にいるのよ」
「ここだ」
「馬鹿でしょ」
花穂は可笑しそうに笑っている。
しかし、爽一の血圧は上がりっぱなしだ。決してケツの圧力ではない。
「うるさいな」
「白石 奏斗ってそんなに強敵なの?」
「勝てる気がしない」
爽一は額を抑えた。二人がイケナイことをしているところが思い浮かぶ。
──いや、待て。この場合どっちがタチなんだ?
白石なら誘い受け。
もしくは強引攻めと言ったところか。
『嫌だ……奏斗』
『和馬、でも身体は嫌がってないよ?』
『……っ』
『ほら、感じて』
『や……んんッ……やだ……奏斗ッ』
──ダメだ。
それはいけない。
爽一は自分の妄想に大ダメージを受けた。
いくら自分が彼を良くしようとしても立ちすらしない楠が、彼の腕の中でよがっている様子が浮かび、テーブルにガンッと額を打ち付ける。
「ちょっと、大丈夫?」
彼女がぎょっとして、爽一の顔を覗き込む。
「だいじょばない……」
「日本語もどうかしてるわよ」
「そもそも何で和馬は、電話に出ないんだ!」
「上映中は電源を切るのがマナーだからでしょ?」
”何、馬鹿なこと言ってるの?”というように、彼女が呆れ顔をする。
「和馬が白石にエッチなことされたら、お前のせいだからな」
爽一に理不尽なことを言われた彼女は眉を寄せ、
「ポルノ映画見ているわけじゃあるまいし。アクションでしょ?」
と反論した。
だが、爽一は、
「アクションでもエッチなシーンはあるだろ。その気になったらどうしてくれるんだ!」
と抗議を続け、
「何言ってんの。どうのしようもないでしょ」
と言われてしまう。
もっともである。
『和馬、この映画見てたら変な気分になってきた。責任とってくれる?』
『責任?』
『そ、和馬が慰めて』
『や……どこ触って』
──ダメだ!
そんなことは俺が許さない。
爽一は妄想が暴走し、自分の想像に振り回されていた。
一人で赤くなったり、青くなったりする爽一を、花穂は面白そうに眺めている。
「見てて飽きないわねえ」
頬を杖を突き、口元を歪め。
──なんて屈辱的なんだ!
くそッ。
と、その時。爽一のスマホが震えた。
「あら、和馬ね」
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