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1章──本当のはじまり
3・狂っていく自分【微R】
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****♡Side・岸倉 爽一(教師)
『先生、奏斗が戻って来ない……』
情事のあと、彼は心配そうに部屋の入口を見つめた。
理由なんてわかっている。まるで、見せつけるように二人が抱き合っていたからだ。
『俺、探してくる』
彼はそう言うと、浴衣姿のまま部屋を飛び出していった。
──和馬が、愛しい。
全て許せるほどに。
自分が奏斗を巻き込んだのは、汚い欲望の為だ。
ドロドロと心の中に渦巻くものは何なのか。考えても分からなかった。ただ、いつでも冷静で、大人な奏斗のプライドを打ち砕きたかったのかもしれない。
”お前だって、同類だろう”
と。
奏斗の初恋について、誰より知っているのは自分だと言い切れる。
心の均衡を保てず、彼女と喧嘩別れしてしまった奏斗。冷静になったその後、彼女を探し回ったというが相手の住所は知らず、唯一の共通点だった塾を彼女は辞めてしまっていた。
だだ、教師である爽一は思っている。この辺で受験の為に塾に通うならば、K学園付属大学を狙っているのではないかと。他に有名大学を狙うならば、市外の塾に通うものが多い。K学園は少し特殊な所なのだ。特に、推薦は。
爽一もK学園出身だから分かる。しかし爽一はその事を奏斗に教えることはしなかった。ここで再会出来ないのならば、それもまた運命なのだと教えたかったから。
──選択を誤ったかも知れないな。
自分がそのことを教えていれば、今頃彼女と寄りを戻していたに違いない。
自分の選択が、ライバルを増やす結果になってしまうとは。自分は別に、奏斗が嫌いなわけではない。後悔とは何か、この先選択を間違えないように教えたかっただけなのだ。
そう、教師として。
──白石の恋愛対象は、女性だけだと思ったが。
目測を見誤ったようだな。
きっと本人ですら、戸惑っているに違いないと爽一は思っていた。
では、和馬はどうだろうか。彼にとって、奏斗は特別になり始めている。親友を超えて。
嫌がっていたはずなのに、爽一に助けを求めていたはずなのに。爽一に触れられた時だけでは、起こり得なかった変化があった。
『んんッ……はあッ』
彼は確かに感じていた、奏斗に突かれながら。
──俺、そんなに下手だったかな。
自分はどうかしている、と思った。
他の男に愛しい和馬が犯され、喘ぐ姿を見て興奮をしたのだ。そして、そんな彼に犯されたいと願った。
和馬が、前も後ろも快感でおかしくなりそうな姿を見て、爽一は満たされたのだ。自分はなんて異常なのかと思う。愛しい彼を、自分だけの腕に留めて置きたいと願っているはずなのに。
こんなダメな自分を、奏斗に罵られたいのかもしれない。
──相当イカレてるな、俺。
爽一は、自分の狂った感覚に、深いため息をつくのだった。
『先生、奏斗が戻って来ない……』
情事のあと、彼は心配そうに部屋の入口を見つめた。
理由なんてわかっている。まるで、見せつけるように二人が抱き合っていたからだ。
『俺、探してくる』
彼はそう言うと、浴衣姿のまま部屋を飛び出していった。
──和馬が、愛しい。
全て許せるほどに。
自分が奏斗を巻き込んだのは、汚い欲望の為だ。
ドロドロと心の中に渦巻くものは何なのか。考えても分からなかった。ただ、いつでも冷静で、大人な奏斗のプライドを打ち砕きたかったのかもしれない。
”お前だって、同類だろう”
と。
奏斗の初恋について、誰より知っているのは自分だと言い切れる。
心の均衡を保てず、彼女と喧嘩別れしてしまった奏斗。冷静になったその後、彼女を探し回ったというが相手の住所は知らず、唯一の共通点だった塾を彼女は辞めてしまっていた。
だだ、教師である爽一は思っている。この辺で受験の為に塾に通うならば、K学園付属大学を狙っているのではないかと。他に有名大学を狙うならば、市外の塾に通うものが多い。K学園は少し特殊な所なのだ。特に、推薦は。
爽一もK学園出身だから分かる。しかし爽一はその事を奏斗に教えることはしなかった。ここで再会出来ないのならば、それもまた運命なのだと教えたかったから。
──選択を誤ったかも知れないな。
自分がそのことを教えていれば、今頃彼女と寄りを戻していたに違いない。
自分の選択が、ライバルを増やす結果になってしまうとは。自分は別に、奏斗が嫌いなわけではない。後悔とは何か、この先選択を間違えないように教えたかっただけなのだ。
そう、教師として。
──白石の恋愛対象は、女性だけだと思ったが。
目測を見誤ったようだな。
きっと本人ですら、戸惑っているに違いないと爽一は思っていた。
では、和馬はどうだろうか。彼にとって、奏斗は特別になり始めている。親友を超えて。
嫌がっていたはずなのに、爽一に助けを求めていたはずなのに。爽一に触れられた時だけでは、起こり得なかった変化があった。
『んんッ……はあッ』
彼は確かに感じていた、奏斗に突かれながら。
──俺、そんなに下手だったかな。
自分はどうかしている、と思った。
他の男に愛しい和馬が犯され、喘ぐ姿を見て興奮をしたのだ。そして、そんな彼に犯されたいと願った。
和馬が、前も後ろも快感でおかしくなりそうな姿を見て、爽一は満たされたのだ。自分はなんて異常なのかと思う。愛しい彼を、自分だけの腕に留めて置きたいと願っているはずなのに。
こんなダメな自分を、奏斗に罵られたいのかもしれない。
──相当イカレてるな、俺。
爽一は、自分の狂った感覚に、深いため息をつくのだった。
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