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1話『君の気持ちがわからない』
3・嫉妬に狂いてサスペンス?!
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****♡Side・副社長(皇)
「なんで、泣いてるんだ?」
皇は無理やりにでも彼を自分のものにするつもりで、仮眠室に連れ込んだ。だが実際のところ、彼をぎゅっと抱きしめてじっとしていただけだった。ハラハラと頬を伝う涙に気づいた塩田が、背中を撫でてくれる。
「別れたくないよ、塩田」
涙が止まらなかった。
「俺の何がいけないんだよ。こんなに好きなのに」
震える声で彼に問う。
忙しい合間を縫って苦情係の手伝いをするのは、塩田に会いたいから。少しでも彼と一緒に居たかったから。
指輪を贈ろうとしていた矢先に、別れたいと言われ絶望した。
「皇はさ……淡泊なのか?」
「はい?」
突然のことで何を言われているのか分からない。
「恋人の営みとか」
そこで、言われていることがなんなのか理解する。性欲は人並みにあるはずだ。そしてはッとする。無知なはずの塩田にそんな知恵をつけたのは誰なのかと。まさか自分以外の人と……。そう思ったら殺意がこみ上げた。
「塩田、誰かとヤッたのか?」
「は?」
今度は彼が怪訝な顔をする。
「俺の塩田に手を出しやがって。許さない、殺してやる」
「なに物騒なこといってるんだよ」
「俺がどれだけ我慢したと思って……」
皇が一人怒り狂っていると、
「なんで我慢するんだ?」
と不思議そうな顔をされた。
「え?」
皇が冷静さを取り戻し、じっと彼を見つめる。塩田は首を傾げ、こちらを見つめていた。
「いや、だって。塩田は初めてなんだろ?」
「そうだよ」
「男同士でのやり方知ってるのか?」
皇がそう質問すると、少し目を泳がせ、
「勉強はしたよ」
と答える。
──もしかして、俺とそういうことしても良いと思っててくれたってこと?
唐突に彼が別れようと言った理由を理解し、皇は慌てた。
「塩田、あのさっ」
自分はなんて馬鹿なのだと思った。塩田だって男。性欲くらいあるに決まっている。全く手を出さない自分に不信感を抱いたのかもしれない。
「俺はしたい」
皇の言葉を遮る塩田の強い意志。
「皇が好きだから、したい」
「ごめん!」
うまい言葉が見つからず、謝ることしかできない自分はカッコ悪いなと思う。
「塩田は初めてだから、大事にしたかっただけなんだ」
「他の人としてるのかと思った」
「しないし!」
こんな時なのに、性欲が暴走しそうになっている。
──初めては夜景の綺麗なところでって決めてたのに。
皇はロマンチストであった。素敵な演出をして、彼をその気にさせてと計画していたのだ。だが大切すぎてなかなか手を出せずにいた。
「別れるなんて、言うなよ。塩田」
「傷つけて、ごめんな」
「俺は、塩田と結婚したいと思ってる」
皇の言葉に目を見開く、塩田。
「そんなに俺のこと、好きなのか?」
「無論だ」
言って皇は再び彼をぎゅっと抱きしめたのだった。
「なんで、泣いてるんだ?」
皇は無理やりにでも彼を自分のものにするつもりで、仮眠室に連れ込んだ。だが実際のところ、彼をぎゅっと抱きしめてじっとしていただけだった。ハラハラと頬を伝う涙に気づいた塩田が、背中を撫でてくれる。
「別れたくないよ、塩田」
涙が止まらなかった。
「俺の何がいけないんだよ。こんなに好きなのに」
震える声で彼に問う。
忙しい合間を縫って苦情係の手伝いをするのは、塩田に会いたいから。少しでも彼と一緒に居たかったから。
指輪を贈ろうとしていた矢先に、別れたいと言われ絶望した。
「皇はさ……淡泊なのか?」
「はい?」
突然のことで何を言われているのか分からない。
「恋人の営みとか」
そこで、言われていることがなんなのか理解する。性欲は人並みにあるはずだ。そしてはッとする。無知なはずの塩田にそんな知恵をつけたのは誰なのかと。まさか自分以外の人と……。そう思ったら殺意がこみ上げた。
「塩田、誰かとヤッたのか?」
「は?」
今度は彼が怪訝な顔をする。
「俺の塩田に手を出しやがって。許さない、殺してやる」
「なに物騒なこといってるんだよ」
「俺がどれだけ我慢したと思って……」
皇が一人怒り狂っていると、
「なんで我慢するんだ?」
と不思議そうな顔をされた。
「え?」
皇が冷静さを取り戻し、じっと彼を見つめる。塩田は首を傾げ、こちらを見つめていた。
「いや、だって。塩田は初めてなんだろ?」
「そうだよ」
「男同士でのやり方知ってるのか?」
皇がそう質問すると、少し目を泳がせ、
「勉強はしたよ」
と答える。
──もしかして、俺とそういうことしても良いと思っててくれたってこと?
唐突に彼が別れようと言った理由を理解し、皇は慌てた。
「塩田、あのさっ」
自分はなんて馬鹿なのだと思った。塩田だって男。性欲くらいあるに決まっている。全く手を出さない自分に不信感を抱いたのかもしれない。
「俺はしたい」
皇の言葉を遮る塩田の強い意志。
「皇が好きだから、したい」
「ごめん!」
うまい言葉が見つからず、謝ることしかできない自分はカッコ悪いなと思う。
「塩田は初めてだから、大事にしたかっただけなんだ」
「他の人としてるのかと思った」
「しないし!」
こんな時なのに、性欲が暴走しそうになっている。
──初めては夜景の綺麗なところでって決めてたのに。
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「別れるなんて、言うなよ。塩田」
「傷つけて、ごめんな」
「俺は、塩田と結婚したいと思ってる」
皇の言葉に目を見開く、塩田。
「そんなに俺のこと、好きなのか?」
「無論だ」
言って皇は再び彼をぎゅっと抱きしめたのだった。
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