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1話『君の気持ちがわからない』
2・塩田の本心と悩み
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****♡Side・塩田
「どうした?」
いつものように板井と休憩を取っていた時のこと。
板井は最近離婚した苦情係の課長とお付き合いを始めた。
なんでもお付き合い後すぐ、身体の関係になったらしい。
その話を聞いて塩田は思わず、
「皇って、ほんとに俺のこと好きなのかな」
と声にしてしまった。
塩田は付き合い始めて一年経つ恋人がいる。手ぐらいは握るし、キスもするがそれ以上の関係ではない。
塩田の言葉に、
「なんで?」
と板井。
「だって、恋人ってそういうことするんだろ?」
塩田にとって皇は初めての恋人。
しかし彼には以前婚約者がいた。塩田は未経験だが、皇は恐らく経験者だ。それなのに何もしてこないというのは、いかがなものか。
「付き合って一年だろ? 副社長は不能なのか?」
皇の元婚約者は女性。
もしかしたら男相手ではそんな気分にならないのかもしれないと塩田は思った。
──毛色の変わったおもちゃが欲しかっただけなのかな。
塩田にとって皇は、初めは全く興味のない相手だった。課長である唯野が部署を不在にすることが多いので、ヘルプに来ているだけなのかと思っていたのだ。
しかし彼が多忙なことを知り、わざわざうちの課を気にかけてくれているのだと気づく。
いつも、
「元気か? 愚民ども。俺様が業務を手伝ってやろう」
と尊大な態度でやってくる。
単なる面白い人なのかと思っていた。しかし彼は凄く仕事のできる人だった。いつの間にか人の二倍も三倍も仕事をこなして去っていく。
ある日、
『なんでうちの部署ばかり手伝いに来るんだ?』
と聞いたことがある。
その頃には課長がいなくても三人でなんとか業務をこなすことができていたからである。
すると彼は、
『塩田に会いたいから』
と笑った。
──ただの冗談だと思っていたのに。
その後、彼が婚約解消していたこと知ったのだ。
驚いた塩田は皇に、
『なんで別れたんだ?』
と聞いた。
その時彼は、
『塩田が好きだから』
と言った。
真剣な眼差しで。
しばらくして、彼に付き合わないか? と言われたのである。
「塩田はどうなんだ? そういうことしたいのか?」
と板井に問われ、現実に引き戻された。
したことないことをしたいのか? と問われても正直返答に困る。
ただ、
「俺以外の人としてるんじゃないかな、って思っちゃうんだ」
塩田はフェンスに身を乗り出すと、屋上からの景色に目を移す。
──嫉妬しちゃうんだよ。
皇は、俺のこと……どう思っているんだろう?
「本人に聞いてみたら?」
と板井。
「そうだな」
一日考えて、どう切り出そうか迷っていた。
しかし自分の口から出た言葉は、
「別れたい」
と言う言葉だったのだ。
いざ彼を目の前にすると、嫉妬でおかしくなりそうだった。こんなの良くない。自分は彼の傍にいるべきじゃないと塩田は思っていたのだった。
「どうした?」
いつものように板井と休憩を取っていた時のこと。
板井は最近離婚した苦情係の課長とお付き合いを始めた。
なんでもお付き合い後すぐ、身体の関係になったらしい。
その話を聞いて塩田は思わず、
「皇って、ほんとに俺のこと好きなのかな」
と声にしてしまった。
塩田は付き合い始めて一年経つ恋人がいる。手ぐらいは握るし、キスもするがそれ以上の関係ではない。
塩田の言葉に、
「なんで?」
と板井。
「だって、恋人ってそういうことするんだろ?」
塩田にとって皇は初めての恋人。
しかし彼には以前婚約者がいた。塩田は未経験だが、皇は恐らく経験者だ。それなのに何もしてこないというのは、いかがなものか。
「付き合って一年だろ? 副社長は不能なのか?」
皇の元婚約者は女性。
もしかしたら男相手ではそんな気分にならないのかもしれないと塩田は思った。
──毛色の変わったおもちゃが欲しかっただけなのかな。
塩田にとって皇は、初めは全く興味のない相手だった。課長である唯野が部署を不在にすることが多いので、ヘルプに来ているだけなのかと思っていたのだ。
しかし彼が多忙なことを知り、わざわざうちの課を気にかけてくれているのだと気づく。
いつも、
「元気か? 愚民ども。俺様が業務を手伝ってやろう」
と尊大な態度でやってくる。
単なる面白い人なのかと思っていた。しかし彼は凄く仕事のできる人だった。いつの間にか人の二倍も三倍も仕事をこなして去っていく。
ある日、
『なんでうちの部署ばかり手伝いに来るんだ?』
と聞いたことがある。
その頃には課長がいなくても三人でなんとか業務をこなすことができていたからである。
すると彼は、
『塩田に会いたいから』
と笑った。
──ただの冗談だと思っていたのに。
その後、彼が婚約解消していたこと知ったのだ。
驚いた塩田は皇に、
『なんで別れたんだ?』
と聞いた。
その時彼は、
『塩田が好きだから』
と言った。
真剣な眼差しで。
しばらくして、彼に付き合わないか? と言われたのである。
「塩田はどうなんだ? そういうことしたいのか?」
と板井に問われ、現実に引き戻された。
したことないことをしたいのか? と問われても正直返答に困る。
ただ、
「俺以外の人としてるんじゃないかな、って思っちゃうんだ」
塩田はフェンスに身を乗り出すと、屋上からの景色に目を移す。
──嫉妬しちゃうんだよ。
皇は、俺のこと……どう思っているんだろう?
「本人に聞いてみたら?」
と板井。
「そうだな」
一日考えて、どう切り出そうか迷っていた。
しかし自分の口から出た言葉は、
「別れたい」
と言う言葉だったのだ。
いざ彼を目の前にすると、嫉妬でおかしくなりそうだった。こんなの良くない。自分は彼の傍にいるべきじゃないと塩田は思っていたのだった。
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