R18【同性恋愛】究極純愛♡僕日『don't let go～偽りでもいいから～』【ｻﾌﾞｷｬﾗloveｽﾄ3】

２部：『傍に居るよ、偽りでも』

７♡【君に幸せ半分こ】

十一月は、行事が多い。来年の生徒会の役員選挙に学園祭。中等部の頃、聖は生徒会副会長をしていた。Ｋ学園では、中等部と高等部で交流という行事がある。彩都は役員になったことがないので、実際に行ったことはないが、その年のバンドのセッションで聖はベースを担当したらしい。とてもカッコよかったと、噂しているのを聞いたことがある。今年の役員で知っているのは、今年度の副会長で一級上の鶴城《つるぎ》という体育会系のがっちりした体系の男子生徒。彼は今年、交流会でドラムを担当したらしい。

彼は、三年の美崎という美人で風紀委員長の男子生徒と付き合っているのだと、先日聖から聞いた。そんな彼らで、学園祭のファッションショーの演奏を担当するらしい。
「見たいな。聖くん、絶対カッコいいよね」
そういって、定位置であるサイドボードに腰かけている、聖に横抱きにされながら、彼を見上げると、
「見に来いよ」
と彼が笑う。
「行っていいの？」
「ああ、もちろん」
にっこり笑う彼に、彩都は嬉しくなりむぎゅっと抱きつく。


ほんとはね　いつだって
聖くんのこと　独り占めしていたい
大好きな君の　胸の中で君の心音　
聴いている時が　一番幸せ

ねえ　聖くんは知らないでしょ？
君の言葉が　僕を
一喜一憂させること
幸せいっぱいにしてくれること


「どうした、そんなニコニコして」
と、彼。髪を撫でる手が温かくて、囁く声が優しくて。
彩都は彼の胸に子猫のようにすり寄る。自分の居場所はここだと言わんばかりに。
「ううん。幸せだなって思って」
「そっか」
と彼が笑う。
「もし聖くんが、幸せじゃないって思ったら。僕の幸せ分けてあげるね」
可愛らしいことを言う彩都に、彼は目を細め、
「それは頼もしいな」
と一度は嬉しそうな顔をするが、
「でも、それだと彩都の幸せが減っちゃうだろ」
と眉を寄せた。彼はいつだって優しい。
「嬉しいことも、楽しいことも、幸せも。聖くんと半分こ」


だから　ずっと傍に居てよ
僕が　ずっとずっと　傷ついた君の傍に居て
その心　癒すから

振り向いてくれなくても良い
愛してくれなくても良い
偽りでもいいの

僕は君を　君の心癒してあげたいよ
そしていつか　心から笑ってよ　聖くん


「彩都」
「うん？」
彼に呼ばれ、再び聖を見上げる。
「何年かかるか分からないし、もしかしたら、一生かかるかも知れない。でも、俺が久隆への恋から卒業出来たら」
彼の綺麗な指先が、彩都の頬を撫でる。
「結婚しようか」
「え？」
「ずっと、それまで傍に居てくれるか？」

まさか、彼の口からそんなことを言われるとは思っていなかった彩都は、しばしフリーズしたのだった。