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2部:『傍に居るよ、偽りでも』
5♡【君のそばにいるよ】
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「いつにしたの?」
聖が専属の運転手に頼み、彩都と共に彼のマンションに向かう車の中で、そう問いかけた。詳しく知りたいというわけではない。ただ、彼と一緒に居られないのが、いつなのか知りたかっただけだ。
「まだ、未定だよ」
不安そうにしているように見えたのだろうか。彼は、微笑む。
こんな時、いつだって
僕は勘違いしてしまう
聖くんは知らないよね?
まるで恋人のようだって
錯覚してしまう事
錯覚だと気づいて
とても悲しくなること
どうしたら、手に入るのかな?
僕が欲しいのは
聖くんの心だけなのに
「家帰ったら、何かする?」
彼は彩都の心を知ってか、知らずかそんなことを口にする。彩都は、そっと彼の肩にもたれ掛かった。聖がそんな彩都の肩に腕を回す。
言わなくたって伝わることもある。でも、それは悲しいかな、以心伝心ではなく、二人だけのリズムだ。どんなに無理だと分かっていても、諦めきれないのはその場所を誰にも譲りたくないから。もし、自分が離れたなら。きっともう、彼は誰とも寝たりはしない。誰も傍に置いたりはしないだろう。
でも、もし。
彼が”大崎 久隆”への想いを断ち切ってしまったなら。自分以外の誰かが、彼の隣に座ることになる。それだけは、嫌だ。諦めたその先に、他の人がいるんて。
「映画、観ようよ。眠くなるまで」
彼が、もう彩都を抱きたくなと言うのなら、それでもいい。けれど、精神的な支えになれるのは、自分だけだと思いたい。そうであって欲しい。
「いいね。どんなの観たいんだ?」
彼は、優しい声で。
聖くんは 初めから優しかった
僕が思わず”セフレにして”なんて言っても
彼は真に受けなかった
ずっと大事にしてくれていた
僕が未経験な事 きっと気づいてた
逢いたくて逢いたくて
馬鹿な事いっても
優しい目で見ていただけ
あの時 聖くんが
僕を選んだのは 遊んでるわけじゃないって
信じてくれてたからだと思ってる
初めてを捧げる覚悟 ずっとしてたんだよ?
「笑えるやつがいいな。思いっきり笑って、楽しい気分になれる奴」
と彩都が言うと。
「何か嫌な事でもあったのか?」
と彼は心配そうな顔をした。元気になって欲しいのは聖くんなんだけどな、と思いながら彩都は首を横に振る。このまま、恋人になれたらいいのに、と思いながら。
「なら良いが。何かあったら、俺に直ぐ言えよ?あんなことは二度とごめんだからな」
聖は彩都がリンチされそうになった時のことを思い出したのか、悲痛な表情を浮かべる。
「うん。ちゃんというから心配しないで」
こくりと頷く彩都に、彼はちゅっと口づけをくれたのだった。
聖が専属の運転手に頼み、彩都と共に彼のマンションに向かう車の中で、そう問いかけた。詳しく知りたいというわけではない。ただ、彼と一緒に居られないのが、いつなのか知りたかっただけだ。
「まだ、未定だよ」
不安そうにしているように見えたのだろうか。彼は、微笑む。
こんな時、いつだって
僕は勘違いしてしまう
聖くんは知らないよね?
まるで恋人のようだって
錯覚してしまう事
錯覚だと気づいて
とても悲しくなること
どうしたら、手に入るのかな?
僕が欲しいのは
聖くんの心だけなのに
「家帰ったら、何かする?」
彼は彩都の心を知ってか、知らずかそんなことを口にする。彩都は、そっと彼の肩にもたれ掛かった。聖がそんな彩都の肩に腕を回す。
言わなくたって伝わることもある。でも、それは悲しいかな、以心伝心ではなく、二人だけのリズムだ。どんなに無理だと分かっていても、諦めきれないのはその場所を誰にも譲りたくないから。もし、自分が離れたなら。きっともう、彼は誰とも寝たりはしない。誰も傍に置いたりはしないだろう。
でも、もし。
彼が”大崎 久隆”への想いを断ち切ってしまったなら。自分以外の誰かが、彼の隣に座ることになる。それだけは、嫌だ。諦めたその先に、他の人がいるんて。
「映画、観ようよ。眠くなるまで」
彼が、もう彩都を抱きたくなと言うのなら、それでもいい。けれど、精神的な支えになれるのは、自分だけだと思いたい。そうであって欲しい。
「いいね。どんなの観たいんだ?」
彼は、優しい声で。
聖くんは 初めから優しかった
僕が思わず”セフレにして”なんて言っても
彼は真に受けなかった
ずっと大事にしてくれていた
僕が未経験な事 きっと気づいてた
逢いたくて逢いたくて
馬鹿な事いっても
優しい目で見ていただけ
あの時 聖くんが
僕を選んだのは 遊んでるわけじゃないって
信じてくれてたからだと思ってる
初めてを捧げる覚悟 ずっとしてたんだよ?
「笑えるやつがいいな。思いっきり笑って、楽しい気分になれる奴」
と彩都が言うと。
「何か嫌な事でもあったのか?」
と彼は心配そうな顔をした。元気になって欲しいのは聖くんなんだけどな、と思いながら彩都は首を横に振る。このまま、恋人になれたらいいのに、と思いながら。
「なら良いが。何かあったら、俺に直ぐ言えよ?あんなことは二度とごめんだからな」
聖は彩都がリンチされそうになった時のことを思い出したのか、悲痛な表情を浮かべる。
「うん。ちゃんというから心配しないで」
こくりと頷く彩都に、彼はちゅっと口づけをくれたのだった。
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