R18【同性恋愛】究極純愛♡僕日『don't let go~偽りでもいいから~』【サブキャラloveスト3】

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━━━━━1章:彼

1「大好きな彼」

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 大好きな彼、大里 聖。
 彼とはセフレ歴3年。

 セフレと言うと性欲発散の為だけに会うイメージがあるけれど、彼は違った。どちらかと言うと、愛人みたいなイメージ。遊びには連れていってくれるし、ご飯だって連れていってくれる。そもそも、彼から性的なことを求めてくることは稀だった。

 彼とセフレになってから初めての僕の誕生日に、
『黒川、何か欲しいものある?』
 と聞かれた。
 誕生日を覚えていてくれたことがまず嬉しかった。彼はマメで優しい。セレブで末っ子なため、自由奔放なところはあるけれど。
『なんでもいい?』
『俺に手に入れられるものなら』
 なんでも買ってやると、言うように。
『あのね』
 コソッと、耳元で囁くと彼は驚いたのち
『お前は可愛いなぁ、彩都』
 と笑って抱き締めてくれた。

 “下の名前で呼んで欲しいなッ”

 彼は僕の望みを叶えてくれたのだ。
 そのあと、お祝いをしてくれて。
 二人きりの誕生日。

 周りからは、”彼のお気に入りのセフレ”という見られかたをしていたし、自分でもそれを感じてる。ずっと、そういう日々が続いてゆくと思っていた。

「聖くんッ」
 オーディオの置いてある長いサイドボードの上に、彼はだらっと腰かけて音楽を流している。名前を呼べば、おいでと言うように彩都に向かって両手を拡げた。彼は歌が上手い。いつも洋楽ばかりだけれど。

「なんて曲なの?」
 聖の膝の上にお膝抱っこされながら、歌を口ずさむ彼を見上げる。彼は長身でイケメンだ、背は180以上ある。金髪に近い色に染めているけれど、髪は艶々で。
「sugar」
 彼は曲名を告げると、続きを口ずさむ。開いたシャツの首もとには、シルバーアクセサリー。暖かい彼の温もりが心地よくて、彼の胸に頬を寄せる。どんな好きになったって、彼は振り向いてはくれない。きっと愛しいあの子を思って、ただ口ずさむのだ。

 恋人になれたなら、どんなに幸せだろう?
 セフレにさえこんなに甘く優しい。
 せめて冷たくしてくれたなら、離れられるのに。

「彩都、眠くなったの?」
「ふふッ」
「いいよ、おやすみ。側にいてあげるよ」
 頬をくすぐるように撫でると、彼は微笑んだ。

 ねえ?振り向いてくれなくてもいい。
 ずっと、側にいたい。

「起きたら、飯行こうな」
「うんッ」

 夜は大好きな彼に、抱いてもらおう。
 そんなことを思いながら彩都は目を閉じた。

 **

「何食べたい?」
 聖に問われ、彩都は聖を見上げた。
「ん?」

 聖くんって、カッコいいなぁ。
 キスしてくれないかな?

 軽く両手を握ると胸に置く。
 聖の親指の腹が唇に触れ、彩都はドキリとする。
「可愛い」

 あ...。

 心を見透かされてでもいるのだろうか?
 聖の顔が近づいてくるので、彩都は目を閉じた。

 ちゅッ...
 軽いキス。
 何故だろう?たったそれだけなのに、奥まで犯されているような気分になる。
「彩都」
 もっと欲しくて聖の首に腕を絡めると、
「ダメだよ」
 と拒否されてしまった。

 キスしたい。キスしたい。
 なんでダメなの? 

 物欲しそうに聖を見つめていると、彼は困った顔をする。
「彩都のことは、後で食べてあげるから。夕飯行こうよ」
 彩都は恥ずかしさに真っ赤になった。

 恥ずかしい!
 頭の中、聖くんとエッチすることでいっぱいになってる。

「えっと、パスタ食べたいッ」
「わかった。行こうか」
 聖は、彩都を膝から下ろすと手を掴んだ。彩都は、聖の腕に両腕を絡めた。彩都にとって、聖との時間は夢のような時間であった。外に出ると「寒くないか」と問われる。
「平気ッ」

 聖の好きな人は、めちゃくちゃ可愛い。クラスが違うからそれ以外のことは、あまり良く知らない。聖が言うには、塩対応で、クールらしい。冷たいのとはちょっと違うようだ。

 聖に好かれたくて
「僕、Sになってあげようか?」
 って言ったら、断られた。

 しょんぼりしていたら、聖はぎゅっと抱き締めてくれた、そして。
「彩都はそのままでいいよ」
 と、キスをくれた。

 恋人でもないのに恋人みたいに甘くて優しい。でもきっと、聖くんは誰にでも優しい。そう思うと、泣きたくなるんだ。僕だけじゃない。僕は、聖くんのセフレの一人に過ぎない。振り向いてくれなくてもいいなんて、ただの強がり。

 “ねえ、こっち向いてよ”

 彩都は、切ない気持ちで聖を見上げた。

 **

「ほんと、彩都は安上がりだなぁ」
 そう言って、聖はサラダをつついていた。

 美味しいレストランに連れていってくれると言ったのに、彩都は近くのファミレスを選んだからだ。

 嫌だったのかな?

 しょんぼりしていると、聖の指が首筋を撫でた。
「なんだ?旨くないのか?」
「違う。聖くん..嫌だったのかなって思って」
「気にしなくていいよ」
「だって..」
「ん?」
「早く帰って、聖くんとベタベタしたかったから..」
 小さな声でそういうと、彼は彩都の手を取り指先に口づけた。

「可愛いお姫様だな」
「うぅっ」
「早く食べちゃえよ」
 聖にじぃっと見つめられながら一所懸命口をモグモグさせる。
「今日、泊まっていけよな」
 聖からの甘いお誘いに心が跳ねた。


 **

 シャワーは別々。
 いつも、一緒に入ろうって言われるけれど恥ずかしいし、念入りに洗いたいから。
「彩都」
 いつまでも入っていると催促される。
「まだか?」
「待って」
「充分待った」

 シャワールームのドアの前で待たれていると、出るに出られない。
「なんでそこ立ってるの?」
「早く出てこいよ、拭いてやるから」
「大丈夫!」
「いいから出てこい」
「やだぁッ」

 だって、裸見られちゃう。
 そりゃ、エッチの時は見られるけど。

「彩都、俺のこと好きじゃないの?」
「ッ」

 ズルい、ズルいッ。
 そんなこと言われたら、出るしかないじゃんか。

「早く出ておいで」
「うぅ」
 シャワールームのドアをそっと開ける。
「タオルちょおだい」
「なんだよ、拭いてやるって」
「だ、だ、だって見えちゃうし」
「ついてるもん一緒なのに、なんでそんな恥ずかしがるかな」

 聖は、仕方ないなと言うようにタオルをくれた。
「早く向こういこう」
 タオルを身体に巻くと、シャワールームからでる。そこでまた、聖が笑う。
「なんで胸も隠すわけ?」
「恥ずかしいからッ」
「ひんむきたくなるよな」
「!」

 聖がこちらに腕を伸ばすので、ビクッと肩を揺らした。
「処女みたいなこと、いいやがって」
 ふわりと抱き上げられリビングに向かう。

 でも、知ってる。
 聖はビッチは嫌いだ。
 そして、恥じらいのある子に興奮することを。

「早く食べさせろよ、彩都」
「聖くん」
「ん?」
「大好き」
 リビングを抜け、ベッドルームへ。
「彩都は可愛いなぁ」
 チュッと口づけられて、心は期待でいっぱいになった。


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