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2──解かれていく真実
♡9『瀬戸、聖と遭遇』
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****♡Side・瀬戸(友人)
「おい、お前」
喫茶店から出た辺りから誰かにつけられていることに気づいていた瀬戸は、駅への一本道で振り返った。
「そうだ、そこのお前」
瀬戸の他には彼しかいない。相手は周りをきょろきょろと見回すと自分自身に親指を向ける。瀬戸が頷くと観念したのかその場に立ち止まった。
「逃げるなよ」
一応、そう声をかけてからスーツの男に近づくと上着につけられた社章を見上げる。
「大里グループの社章だな。何故、俺をつけてる?」
「依頼がありまして」
「依頼主は誰だ。直に話がしたい」
相手は一つため息を漏らすと相手の名を告げた。
「OK。今すぐそいつに電話をかけろ」
用があるなら直接来ればいい。腹が立った瀬戸は相手に電話をかけさせると、直に話す選択をした。
「よう、クソガキ。俺に何か用か?」
電話口に出た相手は絶句している。
「こそこそ人のことを嗅ぎまわって。大里グループの御曹司が恥ずかしくないのか?」
知りたいことがあるなら直接話そうと持ち掛ければ、会おうと言われる。瀬戸は望むところだと思った。
そして彼の車で向かった先はK学園では二大セレブと言われる大里グループの末っ子で長男、【大里聖】のマンション。
一人暮らしとは良いご身分だなと思いながら彼の部屋に向かう。エレベーターの中で彼に関しての情報を集めつつ。
K学園には学生会や生徒会が運営、管理する裏掲示板というものがある。もっと大雑把に言えば【K学園生の推し活のための交流場】だ。
彼はそのサイトので展開されているモテランキングの常勝一位。名前くらいは瀬戸も知っていた。
「なかなかのイケメンじゃないか」
写真を眺めながら。
──この年下のイケメンが俺に何の用だと言うんだ。
久隆の幼馴染みのようだが。
指定された部屋の前でチャイムを鳴らす。喧嘩には自信がある。何かあっても大丈夫だろうと腕を組んでドアを見上げていると、すぐに彼はドア口に出た。
「どうぞ」
と柔らかい声。
「失礼する」
呼ばれたのだから躊躇うことはない。
「噂通り、綺麗な方ですね」
【大里聖】は久隆と同じ学年だと言うから瀬戸の一級下のはずだ。長身で……一言で述べると見た目はチャラい。
「惚れてもいいぞ」
チャラいが見た目はどちらかと言うと好みの方だった。
「え……」
彼は瀬戸の言葉に固まっている。
「冗談だ」
「冗談……ですか」
聖は瀬戸の腰に手を伸ばす。その仕草から随分と遊び慣れているのだなと感じた。だが彼が瀬戸を調べていたのは自分に興味があったからではないだろう。
「何故、俺のことを調べてる」
「気になって」
「俺がか?」
「あなたが久隆とどういった関係なのかと」
なるほどなと瀬戸は思った。彼の眼中には久隆しかいないのかと。
「久隆とはAGというゲーム内で出逢った友人だ」
”どうして彼に直接聞かない?”と問えば、聖は瀬戸から視線を逸らす。
「幼馴染みなんだろ?」
「そうですけど……恋人でもないのにそんなこと聞けます?」
「恋人でもないのにストーキングする方がどうかしていると思うが、な」
「正論ですね」
──彼は久隆のことが好きなのだろうか。
久隆の眼中にいるのは咲夜だけなのに。
自分と同じ相手を好きで、まったく望みがないという状況は瀬戸と同じ。瀬戸は彼に親近感が湧いたと同時に同情してしまう。自分なんかよりずっとずっと片思い歴は長いはずだ。
「お前は……」
「大里聖」
「大里は、久隆のことが好きなのか?」
「瀬戸先輩は随分と直球なんですね」
「回りくどいのは好きではないし、時間の無駄だろ? どうせ聞いていることは同じなんだし」
瀬戸の言葉に『合理主義なんですか』と彼。じっとこちらを見つめていた彼の瞳が細められる。どうしてそこで笑みを浮かべたのか瀬戸には分からない。
「さっきの、本当にただの冗談ですか?」
「何のことだ」
「俺は……あなたに興味が湧きました」
「は?」
どういう流れで彼の心境がそうなったのか瀬戸にはまったく理解できなかった。
「おい、お前」
喫茶店から出た辺りから誰かにつけられていることに気づいていた瀬戸は、駅への一本道で振り返った。
「そうだ、そこのお前」
瀬戸の他には彼しかいない。相手は周りをきょろきょろと見回すと自分自身に親指を向ける。瀬戸が頷くと観念したのかその場に立ち止まった。
「逃げるなよ」
一応、そう声をかけてからスーツの男に近づくと上着につけられた社章を見上げる。
「大里グループの社章だな。何故、俺をつけてる?」
「依頼がありまして」
「依頼主は誰だ。直に話がしたい」
相手は一つため息を漏らすと相手の名を告げた。
「OK。今すぐそいつに電話をかけろ」
用があるなら直接来ればいい。腹が立った瀬戸は相手に電話をかけさせると、直に話す選択をした。
「よう、クソガキ。俺に何か用か?」
電話口に出た相手は絶句している。
「こそこそ人のことを嗅ぎまわって。大里グループの御曹司が恥ずかしくないのか?」
知りたいことがあるなら直接話そうと持ち掛ければ、会おうと言われる。瀬戸は望むところだと思った。
そして彼の車で向かった先はK学園では二大セレブと言われる大里グループの末っ子で長男、【大里聖】のマンション。
一人暮らしとは良いご身分だなと思いながら彼の部屋に向かう。エレベーターの中で彼に関しての情報を集めつつ。
K学園には学生会や生徒会が運営、管理する裏掲示板というものがある。もっと大雑把に言えば【K学園生の推し活のための交流場】だ。
彼はそのサイトので展開されているモテランキングの常勝一位。名前くらいは瀬戸も知っていた。
「なかなかのイケメンじゃないか」
写真を眺めながら。
──この年下のイケメンが俺に何の用だと言うんだ。
久隆の幼馴染みのようだが。
指定された部屋の前でチャイムを鳴らす。喧嘩には自信がある。何かあっても大丈夫だろうと腕を組んでドアを見上げていると、すぐに彼はドア口に出た。
「どうぞ」
と柔らかい声。
「失礼する」
呼ばれたのだから躊躇うことはない。
「噂通り、綺麗な方ですね」
【大里聖】は久隆と同じ学年だと言うから瀬戸の一級下のはずだ。長身で……一言で述べると見た目はチャラい。
「惚れてもいいぞ」
チャラいが見た目はどちらかと言うと好みの方だった。
「え……」
彼は瀬戸の言葉に固まっている。
「冗談だ」
「冗談……ですか」
聖は瀬戸の腰に手を伸ばす。その仕草から随分と遊び慣れているのだなと感じた。だが彼が瀬戸を調べていたのは自分に興味があったからではないだろう。
「何故、俺のことを調べてる」
「気になって」
「俺がか?」
「あなたが久隆とどういった関係なのかと」
なるほどなと瀬戸は思った。彼の眼中には久隆しかいないのかと。
「久隆とはAGというゲーム内で出逢った友人だ」
”どうして彼に直接聞かない?”と問えば、聖は瀬戸から視線を逸らす。
「幼馴染みなんだろ?」
「そうですけど……恋人でもないのにそんなこと聞けます?」
「恋人でもないのにストーキングする方がどうかしていると思うが、な」
「正論ですね」
──彼は久隆のことが好きなのだろうか。
久隆の眼中にいるのは咲夜だけなのに。
自分と同じ相手を好きで、まったく望みがないという状況は瀬戸と同じ。瀬戸は彼に親近感が湧いたと同時に同情してしまう。自分なんかよりずっとずっと片思い歴は長いはずだ。
「お前は……」
「大里聖」
「大里は、久隆のことが好きなのか?」
「瀬戸先輩は随分と直球なんですね」
「回りくどいのは好きではないし、時間の無駄だろ? どうせ聞いていることは同じなんだし」
瀬戸の言葉に『合理主義なんですか』と彼。じっとこちらを見つめていた彼の瞳が細められる。どうしてそこで笑みを浮かべたのか瀬戸には分からない。
「さっきの、本当にただの冗談ですか?」
「何のことだ」
「俺は……あなたに興味が湧きました」
「は?」
どういう流れで彼の心境がそうなったのか瀬戸にはまったく理解できなかった。
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