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6*変わりゆく日常

8 兄へのサプライズ

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****♡Side・久隆(弟)

「で、何を買うんだ?」
 久隆は幼馴染みの”大里 聖”とデパートに居た。
 最近元気のない兄に内緒でプレゼントを買う為だ。
 兄を説得するのは骨が折れた。帰りは迎えに来てもらうことになっている。

『買い物に付き合うの、俺じゃダメなのか?』
 聖はセンスがいい。どうしても付き合って欲しかったし、あげる前から兄に中身がバレるのは嫌だった。
『お兄ちゃんに見られたくないのッ』
と涙目で訴えると、
『まさか、成人誌じゃ……』
とショックを受けた顔をされたが、買えるわけがない。
『そんなわけないでしょッ。パンツ買うのッ。勝負パンツ』
 久隆の苦しい言い訳に、兄は何故か顔を赤らめた。
 お陰で、勝負パンツも買わなければならない羽目に。

「んとね。腕時計と勝負パンツ」
 大里にそう告げると、彼は吹いた。
「しょ、勝負パンツ⁈」
 驚くのも無理ない。自分が兄とそういう関係なのを知らないのだから。
「僕だって買いたくないけど、とっさにそう嘘ついちゃったから」
「あ、なるほど」
 何故か、大里はすんなり納得した。
「ねえ、お兄ちゃんに似合いそうな、カッコよくてスタイリッシュなやつ選んで」
「わかった」
 時計は思ったよりも簡単に素敵なものが選べた。問題は勝負パンツである。

「むむッ」
「過激だなあ。何処隠してるのか分からない奴が、いっぱいだな」
と大里。
 K学一のモテ男などと呼ばれているが、こういうものに対する耐性はないらしい。
「前がはみ出るのは、ちょっとイヤだな」
と久隆が言うと、聖が何故か赤くなった。
「これにする」
「え」
 久隆の選んだパンツに困った顔をする彼。何故なら前は隠れるが、お尻は丸出しだからだ。腿と腰のあたりに紐のようなゴムがついている。
「これ、後ろ丸見えだぞ」
「それなりの買わないと、お兄ちゃん納得しないもん」
 それに、と久隆は続ける。
「履くとは言ってないし」

 聖はあまり乗り気ではなかったが、外で履くわけでもないので止めもしなかった。
 レジに行く少し前に兄に連絡入れるとデパートの駐車場で車に寄り掛かって、兄は待っていた。
 もちろん運転手付きだ。
「大里、付き合ってくれてありがと!」
 久隆が手を振ると、彼は軽く片手をあげ迎えの車に乗り去って行った。
「お兄ちゃんッ」
 むぎゅっと兄に抱きつくと、心配そうな顔をしていた兄がやっと笑顔になる。
「これ、お兄ちゃんにプレゼント!」
 持っていた小さなブラント物の手提げを兄に渡す。
「え?」
「車の中で開けてみて」
 甘えるように言うと兄は久隆の頭を撫で、久隆を車の中へ促したのだった。
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