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5*運命の代償
4 儚くて美しい兄【R】
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──お兄ちゃんッ。
カッコよすぎて失神しそう。
好きすぎる……。
「なんだよ、そんな顔して」
どんな顔をしていたというのだろうか? くすっと笑われる。
うっとりしているうちに、久隆自身に舌を這わされた。
「んッ……」
恋は不思議だ。十年以上も同じ家で暮らしてきたのに傍にいるとドキドキが止まらないし、嫌われたくないと思ってしまうから。
『久隆、圭一は好きな人とか恋人はいるのかな…』
以前父から問われたことを思い出す。大崎家主催のパーティーがある度、兄には縁談が持ち込まれる。あの性格、あの容姿、決められた将来。目的なんて分かっている。父は兄に一言も言わず全部断ってきた。
──都筑に逢わせるためだったのかな……。
父さんは、お兄ちゃんの幸せを一番に考えてくれているのだと思っていたのに。
都筑を無理矢理社長秘書にした話を聞いた時、不安しかなくて。
しかし久隆は兄に相談するわけにもいかなかった。兄は縁談を断っていることを知らないのだから。
「お兄ちゃん」
「うん?」
「もっとぎゅってして」
久隆の蕾に舌を這わせていた兄が少し驚いた表情をした。
変なことをいってしまったのだろうかと思っていると、久隆の足を下ろし傍に来てくれる。
髪を撫でる手を掴み口元に持っていくと、ちゅっと口づけた。抱き寄せられ、胸に顔を埋める。
兄は久隆をぐいっと引き寄せるとその双丘に手を伸ばす。どうやらその体勢で蕾を解すことにしたらしい。
「はあッ……お兄ちゃん。暖かい」
「抱き締めててやるから、感じて」
「んんッ……」
──もし父さんが、僕たちを引き裂こうというのなら。
僕はお兄ちゃんと……。
ぎゅっと兄にしがみつき、決心する。兄は誰にも渡さないと。
「あああッ」
だが、ジェルと共に蕾に指が挿入され考え事どころではなくなる。
「久隆に早く挿れたいよ」
そう耳元で囁かれ、久隆は真っ赤になったのだった。
好きな人に求められると、自分自身も欲情していくことを知った。
そして兄が自分をどれほど大切に思ってくれていたのかを。
『お兄ちゃ……ん?』
『ごめん、でもやめられない』
あの頃を思い出す。今ならあれが何をしていたのかわかる。
兄は久隆の蕾に指を抜き差ししながら自慰をしていたということが。
『もっと、声出し……て』
『んんッ……』
『久隆』
自分の欲望だけに走らず何年も耐え続けたのだ。そんな兄を想うと愛しさが増す。
──なんて愛しいのだろう?
僕の為に我慢していたなんて。
「もっと、キスして」
「今日はどうしたんだよ?」
兄は驚いた顔をしたものの、すぐに笑顔になる。
「愛してるよ、お兄ちゃん」
笑顔を返せば、口づけをくれる。そして、”もう我慢できないよ”と言われた。
ゆっくりと指を抜かれ、自分に覆いかぶさる兄を久隆は見つめていた。
「大好きだよ」
兄は久隆の蕾に自分自身をあてがうと、深く口づけをしながらくぷぷっと挿入していく。
「んッ……」
擦れる感触、摩擦で熱く感じる。何度も身体に教え込まれた快感が再び久隆を包んでゆく。きっとこれから先もこうやって抱き合い熱を分け合うのだろうと思いながら、舌を絡ませ兄にしがみつく。
──もっと愛して欲しい。
深く深く、どろどろに。
気が変になるほど。
「お兄ちゃん……」
「ん?」
「僕、圭一がお兄ちゃんで良かったって思うの」
兄が兄弟であることに悩んでいることも知らず久隆はそう口にする。
「だって、産まれた時からずっと好きな人と一緒にいられる」
「そう……だな」
呟くように言った兄を不思議に思っていると、
「これからもずっと一緒だ」
と寂しそうに微笑んだ。
カッコよすぎて失神しそう。
好きすぎる……。
「なんだよ、そんな顔して」
どんな顔をしていたというのだろうか? くすっと笑われる。
うっとりしているうちに、久隆自身に舌を這わされた。
「んッ……」
恋は不思議だ。十年以上も同じ家で暮らしてきたのに傍にいるとドキドキが止まらないし、嫌われたくないと思ってしまうから。
『久隆、圭一は好きな人とか恋人はいるのかな…』
以前父から問われたことを思い出す。大崎家主催のパーティーがある度、兄には縁談が持ち込まれる。あの性格、あの容姿、決められた将来。目的なんて分かっている。父は兄に一言も言わず全部断ってきた。
──都筑に逢わせるためだったのかな……。
父さんは、お兄ちゃんの幸せを一番に考えてくれているのだと思っていたのに。
都筑を無理矢理社長秘書にした話を聞いた時、不安しかなくて。
しかし久隆は兄に相談するわけにもいかなかった。兄は縁談を断っていることを知らないのだから。
「お兄ちゃん」
「うん?」
「もっとぎゅってして」
久隆の蕾に舌を這わせていた兄が少し驚いた表情をした。
変なことをいってしまったのだろうかと思っていると、久隆の足を下ろし傍に来てくれる。
髪を撫でる手を掴み口元に持っていくと、ちゅっと口づけた。抱き寄せられ、胸に顔を埋める。
兄は久隆をぐいっと引き寄せるとその双丘に手を伸ばす。どうやらその体勢で蕾を解すことにしたらしい。
「はあッ……お兄ちゃん。暖かい」
「抱き締めててやるから、感じて」
「んんッ……」
──もし父さんが、僕たちを引き裂こうというのなら。
僕はお兄ちゃんと……。
ぎゅっと兄にしがみつき、決心する。兄は誰にも渡さないと。
「あああッ」
だが、ジェルと共に蕾に指が挿入され考え事どころではなくなる。
「久隆に早く挿れたいよ」
そう耳元で囁かれ、久隆は真っ赤になったのだった。
好きな人に求められると、自分自身も欲情していくことを知った。
そして兄が自分をどれほど大切に思ってくれていたのかを。
『お兄ちゃ……ん?』
『ごめん、でもやめられない』
あの頃を思い出す。今ならあれが何をしていたのかわかる。
兄は久隆の蕾に指を抜き差ししながら自慰をしていたということが。
『もっと、声出し……て』
『んんッ……』
『久隆』
自分の欲望だけに走らず何年も耐え続けたのだ。そんな兄を想うと愛しさが増す。
──なんて愛しいのだろう?
僕の為に我慢していたなんて。
「もっと、キスして」
「今日はどうしたんだよ?」
兄は驚いた顔をしたものの、すぐに笑顔になる。
「愛してるよ、お兄ちゃん」
笑顔を返せば、口づけをくれる。そして、”もう我慢できないよ”と言われた。
ゆっくりと指を抜かれ、自分に覆いかぶさる兄を久隆は見つめていた。
「大好きだよ」
兄は久隆の蕾に自分自身をあてがうと、深く口づけをしながらくぷぷっと挿入していく。
「んッ……」
擦れる感触、摩擦で熱く感じる。何度も身体に教え込まれた快感が再び久隆を包んでゆく。きっとこれから先もこうやって抱き合い熱を分け合うのだろうと思いながら、舌を絡ませ兄にしがみつく。
──もっと愛して欲しい。
深く深く、どろどろに。
気が変になるほど。
「お兄ちゃん……」
「ん?」
「僕、圭一がお兄ちゃんで良かったって思うの」
兄が兄弟であることに悩んでいることも知らず久隆はそう口にする。
「だって、産まれた時からずっと好きな人と一緒にいられる」
「そう……だな」
呟くように言った兄を不思議に思っていると、
「これからもずっと一緒だ」
と寂しそうに微笑んだ。
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