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四章 ━━━━【この世で一番愛しい人】
1♡愛しい彼
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****♡Side・姫川 都筑(社長秘書)
「圭一さん」
圭一は、白いシャツの腕を捲り、洗い物をしていた。何か手伝うと言っても断られ、都筑は手持無沙汰。カウンターの上には色とりどりの料理が並んでいる。料理は二人で手分けして作った。男二人が立っても余裕のあるカウンターキッチン。彼は大崎グループの次期副社長。社長が、運命の相手を喪い、病んでしまった為、本来なら時期社長だったはずが、弟の久隆にその座を譲ったのだ。いつ、社長がいなくなっても良いように。
───もし自分が、彼を喪ってしまったなら。
きっと自分と社長と変わらないであろう。もう、圭一のいない世界は想像がつかない。自分には圭一が必要だ。
「ん?腹減ったのか、もう終わるから」
茶わんばかり見てないで、自分の方も見て欲しいなどとはとても言えず、都筑は曖昧な笑みを浮かべた。最後の調理器具を水切りバットの上に置くと、タオルで手を拭き、都筑の隣へ。
「圭一さん、好き」
小皿を都筑の前に置こうとした彼が、驚いて手を止める。しかし、微笑を浮かべると、都筑の方は見ずに、
「ん、愛してる」
と呟くように返事をくれた。
「こっち、見て欲しい」
「なんだよ、今日の都筑はいやに強引だな」
「だって、やっとちゃんと恋人に…」
口ごもる都筑を優しい目で見つめていた彼は、ちゅっと口づけをくれる。
「ご飯食べよう。今日は記念日だよ、都筑」
「もっとイチャイチャしたい」
「都筑のケツが壊れるから、またあとでな」
「なッ!」
エッチという意味ではなかったのに、そんなことを言われてしまい都筑は真っ赤になった。
「今度は何をやろうか」
やろうとは、あげるという意味のようだ。バレンタインに貰った高級時計、無理やり恋人の証としてつけられたリング。どちらも宝物だが、高給時計をくれた時にもらった彼のファーストキスが一番嬉しかった。
「さっき頂きました。圭一さんの初めて」
都筑がサラダを小皿に盛りながら、そう答えると、彼がお茶を吹く。
「ちょ…」
今度は圭一が赤くなる番らしい。
「あんなにモテるのに、誰ともしなかったんでしょ?」
「俺はモテない」
何年も連続でK学園のイケメンランキング一位に君臨しているにも関わらず、告白されたことがないのは、彼の幼馴染みが変な噂を流していたためだ。しかも、K学園モテ男ランキング一位はその幼馴染みの弟である。圭一は、しょっちゅうストーカーされるくせに、モテるとは思っていなかった。しかも、ストーキングされていてもスルーである。と、言うより単なる天然だ。
「それに、俺は都筑にだけモテたい」
という彼のその言葉に、都筑はため息をついたのだった。
「圭一さん」
圭一は、白いシャツの腕を捲り、洗い物をしていた。何か手伝うと言っても断られ、都筑は手持無沙汰。カウンターの上には色とりどりの料理が並んでいる。料理は二人で手分けして作った。男二人が立っても余裕のあるカウンターキッチン。彼は大崎グループの次期副社長。社長が、運命の相手を喪い、病んでしまった為、本来なら時期社長だったはずが、弟の久隆にその座を譲ったのだ。いつ、社長がいなくなっても良いように。
───もし自分が、彼を喪ってしまったなら。
きっと自分と社長と変わらないであろう。もう、圭一のいない世界は想像がつかない。自分には圭一が必要だ。
「ん?腹減ったのか、もう終わるから」
茶わんばかり見てないで、自分の方も見て欲しいなどとはとても言えず、都筑は曖昧な笑みを浮かべた。最後の調理器具を水切りバットの上に置くと、タオルで手を拭き、都筑の隣へ。
「圭一さん、好き」
小皿を都筑の前に置こうとした彼が、驚いて手を止める。しかし、微笑を浮かべると、都筑の方は見ずに、
「ん、愛してる」
と呟くように返事をくれた。
「こっち、見て欲しい」
「なんだよ、今日の都筑はいやに強引だな」
「だって、やっとちゃんと恋人に…」
口ごもる都筑を優しい目で見つめていた彼は、ちゅっと口づけをくれる。
「ご飯食べよう。今日は記念日だよ、都筑」
「もっとイチャイチャしたい」
「都筑のケツが壊れるから、またあとでな」
「なッ!」
エッチという意味ではなかったのに、そんなことを言われてしまい都筑は真っ赤になった。
「今度は何をやろうか」
やろうとは、あげるという意味のようだ。バレンタインに貰った高級時計、無理やり恋人の証としてつけられたリング。どちらも宝物だが、高給時計をくれた時にもらった彼のファーストキスが一番嬉しかった。
「さっき頂きました。圭一さんの初めて」
都筑がサラダを小皿に盛りながら、そう答えると、彼がお茶を吹く。
「ちょ…」
今度は圭一が赤くなる番らしい。
「あんなにモテるのに、誰ともしなかったんでしょ?」
「俺はモテない」
何年も連続でK学園のイケメンランキング一位に君臨しているにも関わらず、告白されたことがないのは、彼の幼馴染みが変な噂を流していたためだ。しかも、K学園モテ男ランキング一位はその幼馴染みの弟である。圭一は、しょっちゅうストーカーされるくせに、モテるとは思っていなかった。しかも、ストーキングされていてもスルーである。と、言うより単なる天然だ。
「それに、俺は都筑にだけモテたい」
という彼のその言葉に、都筑はため息をついたのだった。
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