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三章 ━━━━【君と紡ぐ永遠の愛】
8.5 [罪と罰]
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****♡Side・圭一
『大崎一族と姫川一族の者が互いに惹かれ合うというのは一部間違いがあって…』
と、始まる都筑の兄の手記には真実が記載されていた。しかし、どんな経路でどんな風に調べたのかは詳しく描かれていない。もしかしたらそれは重要ではないのかもしれない。
『姫川一族は元々この土地の者ではなく移住者だった。自分はそれほどでもなかったが、一族の中には誰彼構わず惹きつけてしまう者も居たらしい』
正に都筑がその状態であるが、彼はそのことに気付いていなかった。
『そして偶然にも、姫川一族の者はみな大崎一族の人間にだけ惹かれてしまう。これが偶然なのか、何かあるのかは解明されていない。だから、惹かれ合うのではなく、姫川一族の者が大崎一族の者を選んでしまうというだけのことのようだ』
それが互いの一族の男児だけに起こる現象の為、互いに惹かれ合うと伝承されるようになったと括られていた。
つまり都筑の気持ち一つということ。
その事実を知った圭一は何時までもグダグダ拘っている場合ではないと焦りを感じた。
「俺は運が良かっただけなんだよ」
待っていて貰う自信を持つことが出来ず、自分の気持ちや理由を告げることをせず都筑の想いを拒否した直後、他の女性と形だけとはいえお付き合いを始める。それでも、都筑の気持ちは変わることはなかった。
佐倉にあんな事をされなければすんなり付き合えたかもしれない。
いや、これは自分に課せられた罪と罰。
都筑を大切にすることができなかった、守ることの出来なかった自分への。
これからもずっと、嫉妬は消えないだろう。それでも都筑を失うことは…手放すことは考えられない。だったら向き合うしかない。
「酷いことばかりしてごめん、愛してるよ。都筑」
「圭一さん」
「これから一生大事にするから、都筑をくれよ」
****
何度もあったチャンスを不意にしたのは自分だ。抱きたいくせに、自分のものにしたいくせに嫉妬でおかしくなる。
自分はこんなにも嫉妬深い人間だったのか。
「都筑」
引き寄せて耳元で懇願する。
「名前、呼んで。愛してるって言って」
「圭一さ…」
「さん、いらない」
強い口調で言うと、都筑は泣き出しそうな顔をして上目遣いで圭一を見上げた。圭一はそれを可愛らしいと感じる。
「圭一、愛してる」
無理矢理言わされている感を醸し出す都筑の唇を塞ぐと、彼をひょいっと抱き上げた。
「エッチしよう、都筑」
耳元でそっと告げると彼は真っ赤になる。ほんと可愛いなと思いながらベッドルームへ連れて行くとそっと彼をおろした。
「ほんとに抱いてくれる?」
『ああ』
****
やっと、都筑を手に入れた。
あの日、彼に逢いに自宅へ戻ったら南に
『佐倉が連れて行ったよ』
と言われ背筋が凍ったことを思い出す。それと同時に聞いた佐倉が都筑を抱いたという自慢の話。結局は自分自身との戦い。
長かった日々を思い出しながら、都筑を見つめていた。
そこで彼が泣いていることに気付く。
「どうして、泣くの?」
彼の頬を撫でるが都筑はハラハラと涙を溢すばかり。ゆっくりと前戯をし、丁寧に解して繋がったはずなのに
「都筑、なにが悲しいの?」
「全部なかったことにしたい」
彼はそういってぎゅっと圭一に抱きつくと、また涙を溢す。
「圭一さんだけが良かった…」
その言葉は深く胸に突き刺さる。
悪いのは自分だ。
「全部忘れたい」
圭一は都筑の言葉を黙って受け止めていた。愛した人をこんなに苦しめている。それが辛かった。
「俺は咎人だ…圭一さんのこと傷つけてばかり」
どうしてそんなこと言うんだよ。
心も身体も傷ついたのは都筑なのに。
俺のせいで。
「もう忘れてくれよ、頼むから。他のやつとのことなんて」
抱き締め返す腕が震える。
頼むから…俺以外のヤツのことなんて忘れて…。
都筑の全てになりたいよ。
「いくらでも刻むから」
欲しいものならなんでも与えてやるから。
俺の残りの人生全部、都筑にやるからっ…。
お願いだからさ。
「毎日抱いてあげるから」
泣きたくなるのを堪え、震える声で懇願する。都筑がハッとしてこちらを見つめ返した。
「もう、他のやつのことなんて考えないで」
「ごめんなさい」
「もう、いいから。忘れよう?」
言って返事も聞かずに口づける。彼が目を閉じるのがわかった。それを合図に再び腰を進めはじめる。
もう、誰にも触れさせはしないよ。
都筑は俺のものだから。
****
「あああッ…♡」
「凄い締め付け、そんなにいい?」
「いわな…でッ…やあッ」
しっかりと圭一にしがみつき腰を揺らされ甘い声をあげる都筑が可愛い。
「そんなに、俺の好き?」
耳元でそう問えば、都筑が真っ赤になるのがわかった。
「いじわる…」
「言ってよ、都筑。教えて」
首に巻きつけていた腕を緩めると、都筑は上目使いで圭一を見つめる。
それは反則だよ、都筑。
可愛い。愛しい。
”す・き”
と唇がゆっくりと動くのを圭一はじっと見ていた。官能的で腰にくるその仕草。なんて厭らしいのだろう、そう思い親指の腹で彼の下唇をなぞる。
もっと、犯して喘がせたい。
俺のものである証を身体に刻み込みたい。
もっと、俺だけ愛してよ、都筑。
ゆっくりと顔を近づけると唇を塞いだ。
「んんッ♡」
そのまま舌を絡めながら腰を動かし始めるとすぐに彼の息は上がり、甘い声を上げはじめる。
「あッ…圭一さんッ…そんなにしちゃ…やあッ」
ぐいっと彼の足を拡げ、深く繋がった。
「ふッ…んんんッ…ああッ♡」
「もっと、俺で感じて」
「はあッ…圭一さ…好きッ」
「愛してるよ」
さん、いらないって言ってるのに。
仕方のないヤツだな。
でも、可愛い。
首筋を吸い上げながら、何度も奥をついてやると更に切ない声をあげた。圭一はもっと感じさせてやろうと、都筑自身に指を絡めた。
「やッ…だめッ」
「良いの間違いだろ。ん?都筑」
『大崎一族と姫川一族の者が互いに惹かれ合うというのは一部間違いがあって…』
と、始まる都筑の兄の手記には真実が記載されていた。しかし、どんな経路でどんな風に調べたのかは詳しく描かれていない。もしかしたらそれは重要ではないのかもしれない。
『姫川一族は元々この土地の者ではなく移住者だった。自分はそれほどでもなかったが、一族の中には誰彼構わず惹きつけてしまう者も居たらしい』
正に都筑がその状態であるが、彼はそのことに気付いていなかった。
『そして偶然にも、姫川一族の者はみな大崎一族の人間にだけ惹かれてしまう。これが偶然なのか、何かあるのかは解明されていない。だから、惹かれ合うのではなく、姫川一族の者が大崎一族の者を選んでしまうというだけのことのようだ』
それが互いの一族の男児だけに起こる現象の為、互いに惹かれ合うと伝承されるようになったと括られていた。
つまり都筑の気持ち一つということ。
その事実を知った圭一は何時までもグダグダ拘っている場合ではないと焦りを感じた。
「俺は運が良かっただけなんだよ」
待っていて貰う自信を持つことが出来ず、自分の気持ちや理由を告げることをせず都筑の想いを拒否した直後、他の女性と形だけとはいえお付き合いを始める。それでも、都筑の気持ちは変わることはなかった。
佐倉にあんな事をされなければすんなり付き合えたかもしれない。
いや、これは自分に課せられた罪と罰。
都筑を大切にすることができなかった、守ることの出来なかった自分への。
これからもずっと、嫉妬は消えないだろう。それでも都筑を失うことは…手放すことは考えられない。だったら向き合うしかない。
「酷いことばかりしてごめん、愛してるよ。都筑」
「圭一さん」
「これから一生大事にするから、都筑をくれよ」
****
何度もあったチャンスを不意にしたのは自分だ。抱きたいくせに、自分のものにしたいくせに嫉妬でおかしくなる。
自分はこんなにも嫉妬深い人間だったのか。
「都筑」
引き寄せて耳元で懇願する。
「名前、呼んで。愛してるって言って」
「圭一さ…」
「さん、いらない」
強い口調で言うと、都筑は泣き出しそうな顔をして上目遣いで圭一を見上げた。圭一はそれを可愛らしいと感じる。
「圭一、愛してる」
無理矢理言わされている感を醸し出す都筑の唇を塞ぐと、彼をひょいっと抱き上げた。
「エッチしよう、都筑」
耳元でそっと告げると彼は真っ赤になる。ほんと可愛いなと思いながらベッドルームへ連れて行くとそっと彼をおろした。
「ほんとに抱いてくれる?」
『ああ』
****
やっと、都筑を手に入れた。
あの日、彼に逢いに自宅へ戻ったら南に
『佐倉が連れて行ったよ』
と言われ背筋が凍ったことを思い出す。それと同時に聞いた佐倉が都筑を抱いたという自慢の話。結局は自分自身との戦い。
長かった日々を思い出しながら、都筑を見つめていた。
そこで彼が泣いていることに気付く。
「どうして、泣くの?」
彼の頬を撫でるが都筑はハラハラと涙を溢すばかり。ゆっくりと前戯をし、丁寧に解して繋がったはずなのに
「都筑、なにが悲しいの?」
「全部なかったことにしたい」
彼はそういってぎゅっと圭一に抱きつくと、また涙を溢す。
「圭一さんだけが良かった…」
その言葉は深く胸に突き刺さる。
悪いのは自分だ。
「全部忘れたい」
圭一は都筑の言葉を黙って受け止めていた。愛した人をこんなに苦しめている。それが辛かった。
「俺は咎人だ…圭一さんのこと傷つけてばかり」
どうしてそんなこと言うんだよ。
心も身体も傷ついたのは都筑なのに。
俺のせいで。
「もう忘れてくれよ、頼むから。他のやつとのことなんて」
抱き締め返す腕が震える。
頼むから…俺以外のヤツのことなんて忘れて…。
都筑の全てになりたいよ。
「いくらでも刻むから」
欲しいものならなんでも与えてやるから。
俺の残りの人生全部、都筑にやるからっ…。
お願いだからさ。
「毎日抱いてあげるから」
泣きたくなるのを堪え、震える声で懇願する。都筑がハッとしてこちらを見つめ返した。
「もう、他のやつのことなんて考えないで」
「ごめんなさい」
「もう、いいから。忘れよう?」
言って返事も聞かずに口づける。彼が目を閉じるのがわかった。それを合図に再び腰を進めはじめる。
もう、誰にも触れさせはしないよ。
都筑は俺のものだから。
****
「あああッ…♡」
「凄い締め付け、そんなにいい?」
「いわな…でッ…やあッ」
しっかりと圭一にしがみつき腰を揺らされ甘い声をあげる都筑が可愛い。
「そんなに、俺の好き?」
耳元でそう問えば、都筑が真っ赤になるのがわかった。
「いじわる…」
「言ってよ、都筑。教えて」
首に巻きつけていた腕を緩めると、都筑は上目使いで圭一を見つめる。
それは反則だよ、都筑。
可愛い。愛しい。
”す・き”
と唇がゆっくりと動くのを圭一はじっと見ていた。官能的で腰にくるその仕草。なんて厭らしいのだろう、そう思い親指の腹で彼の下唇をなぞる。
もっと、犯して喘がせたい。
俺のものである証を身体に刻み込みたい。
もっと、俺だけ愛してよ、都筑。
ゆっくりと顔を近づけると唇を塞いだ。
「んんッ♡」
そのまま舌を絡めながら腰を動かし始めるとすぐに彼の息は上がり、甘い声を上げはじめる。
「あッ…圭一さんッ…そんなにしちゃ…やあッ」
ぐいっと彼の足を拡げ、深く繋がった。
「ふッ…んんんッ…ああッ♡」
「もっと、俺で感じて」
「はあッ…圭一さ…好きッ」
「愛してるよ」
さん、いらないって言ってるのに。
仕方のないヤツだな。
でも、可愛い。
首筋を吸い上げながら、何度も奥をついてやると更に切ない声をあげた。圭一はもっと感じさせてやろうと、都筑自身に指を絡めた。
「やッ…だめッ」
「良いの間違いだろ。ん?都筑」
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