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三章 ━━━━【君と紡ぐ永遠の愛】
6.5 [愛の檻]
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****♡Side・圭一
都筑..
ベッドにぐったりと横たわる都筑の髪を圭一は撫でる。愛しい彼の寝顔をじっと見つめていた。
このままではいけない
分かっている
都筑を閉じ込めてしまいたい
もう、何処へもいけないように
圭一は感情と理性の間で揺れていた。どうすれば救われるのだろう?いや、どうしたら抜け出せるのだろうか?嫉妬に苦しみ、都筑を束縛したい気持ちに支配されてゆく。
父には頼れない
あの人は自分のことで手一杯だ
これ以上負担をかけるわけにはいかない
それに、都筑と引き裂かれるかもしれない
都筑は父にとって愛した人の大切な弟..
真咲さんがどれだけ都筑を大切にしていたのか知っている
ならば、どうすれば良いというのだろうか?と圭一は額に手をやると“真咲さんがいたら..”と呟いた。まさか、都筑が同じ事を考えているとも知らずに。
今度、真咲さんのところへ行こう
報告がてらに
圭一は、真咲の墓参りに行こうと決めた。都筑の目が覚めたなら帰らなければならない。部屋の隅には土産が山になっていた。車で来ていて良かったと少しホッとした。
「うぅん..」
都筑がそっと目を開ける。そして、じっと圭一に見つめられていることに気づくと真っ赤になった。
「身体、大丈夫?」
圭一は小さく微笑んで、そう彼に問いかけたのだった。
****
「都筑」
圭一は上体を起こした都筑を胸に抱き締める。
このまま都筑を連れ去って
どこか遠くで暮らしたい
都筑と二人で..二人だけで
「愛してるよ」
そう囁けば、都筑は顔をあげた。圭一は彼にそっと口づける。
愛しい
都筑が愛しくて堪らない
彼が目を閉じ圭一の胸に頬を寄せる。圭一はその髪に指を差し入れ、ちゅッと髪に口づけた。
「そろそろ、帰らないとな」
ため息混じりに吐き出すように告げると、彼はなんだか寂しそうな表情をする。
「そんな顔しない、同棲するんだから」
「そう、ですね」
「なんだよ?」
俯く彼が気になり顎を掴んだ。
俺が弱いから
都筑を抱けないから、こんな顔をさせてしまうんだ
都筑は眉を寄せてため息をついて
「帰ったら、また忙しいのでは?」
と諦めたように言う。
「親父に、都筑との婚約の話をするよ。同棲のことも。土日はちゃんと休みも貰うから、だから」
“そんな顔するな”。彼にそう告げれば酷く驚いた表情に変わる。
「そん..」
圭一は何時だって会社を優先してきた。全ては家族のため。ずっと自分を犠牲にし、都筑すら手放した。その圭一の口から出た言葉とは思えず、都筑は言葉を詰まらせる。
「大丈夫だ。帰ったら荷造りが待ってる」
圭一は立ち上がると散らばった都筑の衣類を拾いあげ、
「帰ろう、都筑」
とニコッと微笑んだ。
都筑..
ベッドにぐったりと横たわる都筑の髪を圭一は撫でる。愛しい彼の寝顔をじっと見つめていた。
このままではいけない
分かっている
都筑を閉じ込めてしまいたい
もう、何処へもいけないように
圭一は感情と理性の間で揺れていた。どうすれば救われるのだろう?いや、どうしたら抜け出せるのだろうか?嫉妬に苦しみ、都筑を束縛したい気持ちに支配されてゆく。
父には頼れない
あの人は自分のことで手一杯だ
これ以上負担をかけるわけにはいかない
それに、都筑と引き裂かれるかもしれない
都筑は父にとって愛した人の大切な弟..
真咲さんがどれだけ都筑を大切にしていたのか知っている
ならば、どうすれば良いというのだろうか?と圭一は額に手をやると“真咲さんがいたら..”と呟いた。まさか、都筑が同じ事を考えているとも知らずに。
今度、真咲さんのところへ行こう
報告がてらに
圭一は、真咲の墓参りに行こうと決めた。都筑の目が覚めたなら帰らなければならない。部屋の隅には土産が山になっていた。車で来ていて良かったと少しホッとした。
「うぅん..」
都筑がそっと目を開ける。そして、じっと圭一に見つめられていることに気づくと真っ赤になった。
「身体、大丈夫?」
圭一は小さく微笑んで、そう彼に問いかけたのだった。
****
「都筑」
圭一は上体を起こした都筑を胸に抱き締める。
このまま都筑を連れ去って
どこか遠くで暮らしたい
都筑と二人で..二人だけで
「愛してるよ」
そう囁けば、都筑は顔をあげた。圭一は彼にそっと口づける。
愛しい
都筑が愛しくて堪らない
彼が目を閉じ圭一の胸に頬を寄せる。圭一はその髪に指を差し入れ、ちゅッと髪に口づけた。
「そろそろ、帰らないとな」
ため息混じりに吐き出すように告げると、彼はなんだか寂しそうな表情をする。
「そんな顔しない、同棲するんだから」
「そう、ですね」
「なんだよ?」
俯く彼が気になり顎を掴んだ。
俺が弱いから
都筑を抱けないから、こんな顔をさせてしまうんだ
都筑は眉を寄せてため息をついて
「帰ったら、また忙しいのでは?」
と諦めたように言う。
「親父に、都筑との婚約の話をするよ。同棲のことも。土日はちゃんと休みも貰うから、だから」
“そんな顔するな”。彼にそう告げれば酷く驚いた表情に変わる。
「そん..」
圭一は何時だって会社を優先してきた。全ては家族のため。ずっと自分を犠牲にし、都筑すら手放した。その圭一の口から出た言葉とは思えず、都筑は言葉を詰まらせる。
「大丈夫だ。帰ったら荷造りが待ってる」
圭一は立ち上がると散らばった都筑の衣類を拾いあげ、
「帰ろう、都筑」
とニコッと微笑んだ。
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