R18 【同性恋愛】『咎人を愛した漆黒の天使は永遠の愛を紡ぐ』

三章 ━━━━【君と紡ぐ永遠の愛】

3.5 [ためらい]

　＊＊＊＊♡Side・圭一

　連れだって旅館の外に出ると、温泉街は賑やかだった。手を繋ぎ食べ物屋を探して歩くが、隣の都筑がとても嬉しそうなので圭一はそちらにばかり気を取られてしまう。

「良い匂い」
　都筑が立ち止まったのは鰻屋の前であった。
　圭一は、迷わず
「ここにしようか？」
　と問いかければまた、都筑が嬉しそうに頷く。

　正直、圭一は焦っていた。
　テーブルについた都筑は注文を終えると近くに飾ってある絵を眺めている。

　都筑と愛を確かめる行為をしたいと思っていたのに、佐倉のせいでこんなことになってしまった。
　都筑は思った以上に、他の人と行為に及んでしまったことを悔やんでいる。
　休日はあと２日。
　日常に戻ればまた多忙な日々がやってくるに違いない。
　都筑にはこれからもずっと一緒だなどと言ったものの、もしまた何かあれば都筑が奪われてしまうかもしれない。

　やっと手に入れたのに。
　また奪われるなんて耐えられない。
　さすがに佐倉はしばらく何もしてこないだろうが、ライバルは佐倉だけではない。

　早く都筑の傷を治し、彼に自分を刻み込みたい。
　俺なしでは生きていけないほどに自分の虜にしたい。
「あの、圭一さん？」
　まるで、品定めでもするかのようにねっとりとした視線を浴びせてしまったのだろうか？
　都筑が恥ずかしそうに、圭一を見つめる。
「ん？」
「そんなに見つめられると、困ります」
「悪い」
　今すぐにでも組敷きたい衝動を押さえつつ、圭一はお茶を口に運んだ。